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管理職の「時間がない」は、忙しさそのものよりも、重要な仕事に時間を確保できない“設計不在”で起きがちです。ポイントは、①優先順位を決めて時間を先取りする、②会議・割り込みをルール化して守る、③権限移譲を仕組みとして回すの3つに集約できます。
まずは1週間のタイムログで現状を可視化し、次に「やる/予定に入れる/任せる/やらない」を決めていきましょう。
本記事の結論
権限移譲:段階的に任せる範囲を広げ、判断基準と確認ポイントをセットにして、任せても品質が落ちない状態を作ります。
優先順位:重要度×緊急度で「今やる/予定に入れる/任せる/やらない」を決め、重要タスクの時間を先に確保します。
会議・割り込み:会議の目的と終了条件、割り込みの一次受けと判断基準をルール化し、管理職の時間を守ります。
管理職が「時間がない」原因は3つ
管理職の時間不足は、①プレイヤー業務の増加、②会議・割り込みの多さ、③権限移譲が進まず意思決定が集中する、の3つで起きやすいです。原因が混ざると対策も散らばるため、まずは「何が時間を溶かしているか」を分解して把握しましょう。

プレイヤー業務が増えて重要業務の時間が削られる
プレイングマネジャーとして成果も求められる状況では、目の前の対応が優先されやすく、マネジメントの本丸である「方向付け」「意思決定」「育成」に時間が割けなくなります。結果として、チームの生産性が上がらず、管理職の負荷がさらに増える悪循環に陥りがちです。
まずは、自分が担っているプレイヤー業務のうち「本来は任せられるもの」と「管理職が残すべきもの」を仕分けし、任せる対象を明確にします。ここで重要なのは、いきなり全委譲するのではなく、後述する段階移譲の考え方で少しずつ移すことです。
会議と割り込みが時間を細切れにする
会議は1回あたりの時間が短くても、準備・移動・切り替えのコストが積み上がると、まとまった集中時間を奪います。さらに割り込みが頻発すると、管理職の時間が「細切れ」の状態になり、意思決定や企画などの重い思考が必要な仕事ほど後回しになります。
対策の第一歩は、会議と割り込みを「個別に頑張って処理する対象」ではなく、「ルールで設計する対象」と捉えることです。会議は目的・意思決定点・終了条件、割り込みは一次受けと判断基準を整え、管理職の時間を守る仕組みに変えていきます。
権限移譲が進まず意思決定が集中する
管理職の時間不足の核心は、意思決定が集まり続けることにあります。意思決定の質を担保したいという責任感から、判断の入口に自分を置き続けると、承認待ちや相談が雪だるま式に増えます。解決には、任せる範囲と判断基準を言語化し、ログ(記録)で統制する設計が必要です。「任せると品質が落ちる」という不安は、丸投げが原因で起きることが多いため、段階移譲と判断基準の整備で解消できます。
まずは1週間から!タイムログで“時間の漏れ”を特定する
最初にやるべきは、予定表ではなく実績ベースで「何に時間が使われたか」を見える化することです。1週間だけでも記録すると、会議・割り込み・承認待ちなど“想定外の消耗”が数字で把握でき、改善の当たりを付けられます。
タイムログは予定ではなく実績で取る
タイムマネジメントの改善は、現状把握が曖昧だと必ず失速します。予定表は「理想の使い方」であり、実際の時間の使われ方(会議の延長、突発対応、承認待ち、相談対応)とは一致しません。そのため、まずは1週間だけでよいので、実績ベースで記録します。時間は15〜30分で十分です。重要なのは精緻さよりも「カテゴリの一貫性」で、同じ種類の時間が同じ箱に入るようにしておくと分析がしやすくなります。
カテゴリを揃えると改善ポイントが見える
記録のカテゴリは、少なくとも「会議」「割り込み対応」「承認・意思決定」「重要タスク(企画・改善)」「その他」を揃えると、どこに漏れがあるかが見えます。加えて、割り込みかどうか、意思決定の有無をチェックできる形にしておくと、管理職特有の時間の溶け方が特定できます。分析のコツは、合計時間だけでなく「発生頻度」と「細切れ度合い」も見ることです。短時間の割り込みが多い場合は一次受け設計が効き、会議が多い場合は会議設計が効きます。
まずは1週間だけ、予定ではなく「実際に使った時間」を記録します。15〜30分で十分なので、会議・割り込み・承認対応など“時間が溶ける要因”をカテゴリ別に可視化しましょう。
表1:タイムログ記入テンプレ(1週間)
| 日付 | 時間(開始-終了) | カテゴリ | 内容 | タグ | 次アクション(担当・期限) | メモ(詰まり/再発原因) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 例:1/23 | 09:00-09:30 | 会議 | 週次MTG(方針決定) | 緊/重/割なし/決あり | 資料修正(Aさん・1/25) | 参加者過多で長引いた |
記録が取れたら、カテゴリ別の合計時間をざっくり集計し、最も時間を使っている領域を特定します。改善は一度に全部やらず、まずは上位カテゴリに対して1つだけ打ち手を選びましょう。
表2:カテゴリ別集計シート
| カテゴリ | 合計時間(h) | 気づき(上位3つ) | 改善アイデア(まず1つ) |
|---|---|---|---|
| 会議 | 例:情報共有会議が多い | 例:共有は非同期へ切替 | |
| 割り込み対応 | 例:一次受け不在で集中が途切れる | 例:一次受け担当を決める | |
| 承認・意思決定 | |||
| 重要タスク(企画・改善) | |||
| その他 |
タイムログで「時間が溶ける要因」が見えたら、次は改善を回す型に落とし込みます。進め方の全体像は、以下の記事で整理しているので、あわせて参照すると迷いにくくなります。
1週間で決める改善は“まず1つ”に絞る
タイムログを取ると、改善点は必ず複数出てきます。しかし最初から全部変えると運用が崩れ、元に戻りやすくなります。1週間のログから「最も時間を溶かしている上位1カテゴリ」を選び、改善アイデアもまず1つに絞ります。例えば、会議が最多なら「目的と終了条件を必須化」、割り込みが最多なら「一次受けを決める」、承認が最多なら「まとめ処理の時間帯を設定」など、シンプルな一手から始めます。
優先順位の付け方の肝は重要度×緊急度で時間を先取りすること
管理職のタイムマネジメントは、優先順位を付けるだけでなく「重要な仕事の時間を先に確保する」ことが要です。重要度×緊急度でタスクを4象限に分け、「今やる/予定に入れる/任せる/やらない」を決めると、重要タスクが後回しになりにくくなります。

4象限は判断の型として使う
重要度×緊急度の4象限は、タスクを“分類するため”だけのものではなく、「何をいつやるか」を決める判断の型です。管理職は緊急案件が増えやすいため、放置すると「緊急だが重要ではない」対応が膨らみ、重要な仕事が押し出されます。4象限で「今やる」「予定に入れる」「任せる」「やらない」を決め、重要タスクを“先にカレンダーへ入れる”ことで、後回しを防げます。
重要だが緊急ではない仕事を予定として固定する
組織が前に進む仕事(育成、改善、仕組み化、計画、関係者調整)は、重要でも緊急になりにくく、放置されやすい領域です。ここを守るには、タスク管理よりもスケジュール設計が効きます。具体的には、週の前半に「重要タスク枠」を先に確保し、会議はその残りに入れる運用にします。重要タスク枠は、短くてもよいので“毎週必ず同じ時間”に置くと、継続しやすくなります。
任せる基準とやらない基準を明文化する
「任せる」や「やらない」は、感覚で運用するとぶれます。特に管理職は“責任”があるため、やらない決断が難しくなりがちです。そのため、任せる基準(例:定型、影響が限定、判断基準が明確)と、やらない基準(例:目的不明、意思決定が不要、効果が小さい)をチームで共有します。共有することで、依頼側も持ち込み方が整い、割り込みの質も改善します。
会議を減らすのではなく“設計”しよう
会議は回数を減らすよりも、目的と意思決定点を明確にして短く確実に終わる形へ設計するのが効果的です。アジェンダ、必要な参加者、終了条件を揃えるだけで、同じ結論に到達するまでの時間を圧縮できます。
会議の目的を「決める」に寄せる
情報共有を会議で行うと、参加者の人数と時間が膨らみ、意思決定が遅れがちです。会議は「決める場」に寄せ、共有は非同期へ寄せるのが基本です。会議の招集時点で、目的が「意思決定」か「論点整理」かを明示し、共有だけであれば資料共有に切り替える運用にします。これだけで会議総量が減り、意思決定の質も上がりやすくなります。
参加者を最小にして意思決定の速度を上げる
会議の参加者が増えるほど、合意形成のコストが上がり、時間も長くなります。参加者は「決定者」「論点の当事者」「必要な専門知見」に限定し、聞くだけ参加は議事メモで代替します。参加者を絞ると、会議の密度が上がり、次アクションも明確になります。結果として、会議の総時間だけでなく、会議後の調整時間も減らせます。
会議は回数を減らすより、目的と意思決定点を揃えて短く確実に終わる形にするのが効果的です。以下のテンプレで、会議の設計を標準化しましょう。
表3:会議設計用テンプレート
| 項目 | テンプレ(記入例) | 運用ルール(ポイント) |
|---|---|---|
| 会議の目的 | 例:〇〇の方針を決める/意思決定する(情報共有のみは避ける) | 目的が「共有」だけなら、原則は非同期(資料・チャット)に切り替える |
| 意思決定点 | 例:A案/B案のどちらにするか、期限はいつにするか | 会議の最後に「決まったこと/保留/宿題」を必ず言語化する |
| 参加者 | 例:決定者(1名)+論点の当事者(必要最小限) | 「聞くだけ参加」を減らし、必要なら議事メモで共有する |
| 事前資料 | 例:1枚要約(目的・背景・選択肢・推奨案・判断材料) | 資料がない会議は原則開催しない(例外は緊急対応のみ) |
| アジェンダ | 例:①前提確認(5分)②論点(15分)③決定(10分)④次アクション(5分) | 各議題に「制限時間」を付け、超えたら決定者が打ち切る |
| 終了条件 | 例:意思決定が完了し、次アクション(担当・期限)が確定している | 終了条件を満たしたら予定より早く終える |
| 会議時間 | 例:25分/50分(30/60分にしない) | 固定枠を短くして、集中を前提にする |
| 議事メモ | 例:決定事項/保留/宿題(担当・期限)/次回の要否 | テンプレで統一し、検索できる場所に集約する |
終了条件と次アクションを固定して会議を短くする
会議を短くする最大のコツは、終了条件を先に決めることです。「何が決まれば終わりか」「何が決まらなければ持ち帰るか」を明示し、時間内に結論が出ない場合は決定者が打ち切る運用にします。会議の最後には、決定事項、保留、宿題(担当・期限)を必ず言語化し、議事メモとして残します。これにより、会議の“やりっぱなし”が減り、再会議の発生も抑えられます。
割り込み対応をルール化して時間を守る
割り込みをゼロにするのは現実的ではないため、一次受けと判断基準を決めて“その場で奪われる時間”を減らします。緊急度・影響度・期限の有無を基準に、即対応・後回し・担当へ委譲を切り分けると、重要タスクの集中時間を守れます。
割り込みを個人戦にしない 一次受けを設ける
割り込みが管理職に直撃している状態は、組織設計の問題として扱うのが適切です。一次受け担当(または窓口)を決め、相談や依頼の入口を整理するだけで、集中時間は大きく改善します。一次受けは、内容を整理して担当へ振る、必要情報を揃える、緊急度と影響度を判定する役割を担います。管理職が対応するのは、判断が必要なものに限定します。
判断基準を揃えて対応レーンを固定する
割り込み対応が増える原因の一つは、都度の判断で処理していることです。緊急度、影響度、期限、意思決定の要否を基準に、即対応・後回し・委譲のレーンを固定します。固定すると、依頼側も「何を揃えて持ってくればよいか」が分かり、相談の質が上がります。結果として、管理職の即答負担が減り、意思決定の時間が確保しやすくなります。
割り込みはゼロにできないため、一次受けと判断基準を決めてその場で奪われる時間を減らします。以下の質問テンプレで対応レーンを固定しましょう。
表4:割り込み対応テンプレート(一次受けと判断基準)
| 確認項目 | 質問テンプレ | 切り分け(判断) |
|---|---|---|
| 緊急度 | 「いつまでに決める必要がありますか?」 | 今日中/今週中/期限なし で対応レーンを分ける |
| 影響度 | 「止まる業務・関係者はどこですか?」 | 影響が大きいものだけ“即対応”に寄せる |
| 意思決定の要否 | 「判断が必要ですか?それとも情報共有ですか?」 | 情報共有は非同期へ(チャット・メモ) |
| 前提情報 | 「判断材料(選択肢・メリデメ・推奨案)は揃っていますか?」 | 材料がない相談は“持ち帰り”にし、次回の持ち方を指定する |
| 担当の妥当性 | 「いま対応すべき担当は誰ですか?」 | 一次受け→担当へ振り分け(管理職が直接持たない) |
| 対応レーン | 「この件は、即対応/定例で相談/担当に委譲 のどれですか?」 | レーンを固定し、割り込みを“その場の判断”にしない |
| 記録 | 「決定事項と次アクション(担当・期限)を残します」 | 口頭で終わらせず、メモに残して再発を防ぐ |
相談の持ち方を整えると即答が減る
割り込みの多くは「判断材料が揃っていない相談」です。判断材料(前提、選択肢、メリデメ、推奨案)が揃っていない場合は持ち帰りにし、次回はテンプレに沿って持ち込むようにルール化します。これを徹底すると、割り込みの回数だけでなく、同じ案件の“往復”も減り、結果的にチーム全体の処理速度も上がります。
品質を落とさない段階移譲で権限移譲を成功させよう
権限移譲が進まない最大の原因は、「任せる範囲」と「判断基準」が曖昧なまま丸投げになることです。段階的に任せる範囲を広げ、判断基準・確認ポイントをセットにすると、任せても品質が落ちにくくなります。
権限移譲は「丸投げ」ではなく、判断基準と確認ポイントをセットにして段階的に進めるのがコツです。以下のテンプレで、任せる範囲を明文化しましょう。
表5:権限移譲テンプレート
| 段階 | 任せる範囲(例) | 判断基準 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 段階1:同席 | 判断の場に同席し、論点整理を担当に任せる | 判断は上長(管理職)が行う | 論点・選択肢・推奨案がメモで残っている |
| 段階2:下書き | 担当が案を作り、管理職が承認・修正する | リスク・影響が大きい判断は必ず上長レビュー | 判断材料(メリデメ、根拠、関係者)が揃っている |
| 段階3:事後報告 | 担当が判断し、事後に結果を報告する | 一定金額・顧客影響・法務/コンプラは例外として事前相談 | 判断の理由と結果が残っている(追跡できる) |
| 段階4:自走 | 担当が判断・実行し、定例で改善点のみ共有する | 判断基準に沿って運用し、基準外はエスカレーション | 月次で指標(品質・リードタイム・再発)をレビューする |
権限移譲が止まる理由は任せる範囲の曖昧さ
権限移譲が進まないのは、部下の能力不足だけが原因ではありません。多くの場合、「どこまで任せてよいか」「何を守ればよいか」が言語化されていないため、任せる側も任される側も不安になります。最初にやるべきは、任せる対象の仕事を棚卸しし、定型・判断が明確・影響が限定といった条件のものから優先して任せることです。
段階移譲で丸投げを防ぎ学習を促す
段階移譲は、同席→下書き→事後報告→自走のように、任せる範囲を段階的に広げる考え方です。いきなり自走を求めると、判断がぶれたり、確認が増えて結局管理職の負担が減りません。段階ごとに「管理職がどこまで関与するか」を決め、部下の経験が積み上がる形を作ることが、品質とスピードの両立に繋がります。
権限移譲は、いきなり任せ切るのではなく、段階的に「任せる範囲」と「確認の頻度」を調整するのが失敗しにくい進め方です。具体的な進め方や任せる範囲の決め方は、以下の記事も参考にしてください。
判断基準と確認ポイントが品質を支える
委譲の品質を支えるのは、判断基準と確認ポイントの記録です。例えば、一定金額以上、顧客影響が大きい、法務やコンプラに関わるなどは例外として事前相談にする、といった基準を明文化します。さらに、判断の理由と結果を記録として残すと、後からレビューでき、改善にも繋がります。記録があることで、任せる側の不安も減り、委譲が継続しやすくなります。
バックオフィスの経理部門が繁忙期の時間を守る工夫
バックオフィスや経理など繁忙期がある部門では、当日の頑張りで乗り切るより、事前に詰まりやすい工程を潰してピークを平準化することが重要です。締切・差し戻し・承認待ちの発生源を先に整理し、チェックリスト化して運用に埋め込みます。
繁忙期は当日の頑張りではなく前倒し設計で勝つ
繁忙期は、締切が集中し、関係者も忙しくなるため、当日対応だけでは必ず詰まります。勝ち筋は「前倒し」と「標準化」で、締切一覧、必須項目、提出形式、判断基準を先に整え、処理が止まる要因を減らします。特にバックオフィスでは、差し戻しや承認待ちが連鎖しやすいため、差し戻し要因の棚卸しと予防策(テンプレ化、ルール周知)が効果的です。
繁忙期は、当日の頑張りで乗り切るより、事前に詰まりやすい工程を潰してピークを平準化するほうが確実です。まずは2〜4週間前から、締切・判断基準・提出形式を先に整えます。
表6:繁忙期前チェックリスト(2〜4週間前)
| チェック項目 | 狙い(時間を守るポイント) | 担当 | 期限 | 完了 |
|---|---|---|---|---|
| 締切・優先順位を「見える化」して共有(締切一覧) | 後出しの依頼を減らし、先に時間を確保する | □ | ||
| 差し戻しが多い要因を棚卸し(入力不足/証憑不備/規程不一致など) | 繁忙期の“詰まり地点”を先に潰す | □ | ||
| 判断基準(例外対応・承認条件)を1枚にまとめる | 判断の属人化を防ぎ、承認待ちを減らす | □ | ||
| 問い合わせ窓口(一次受け)と連絡ルールを決める | 割り込みを管理職に直撃させない | □ | ||
| 必要データの提出形式を統一(テンプレ/必須項目) | 手戻り(再依頼)を減らし、処理時間を短縮する | □ |
割り込みと承認待ちを減らす運用ルールを置く
繁忙期に時間が溶ける最大要因は、割り込みと承認待ちです。一次受けを設け、問い合わせの入口を整理し、管理職は判断が必要なものに集中できるようにします。承認については、都度対応ではなく、まとめ処理の時間帯を設定すると切り替えコストが減ります。加えて、判断基準を1枚にまとめて共有しておくと、そもそもの承認依頼が整い、往復が減ります。
繁忙期は、割り込みと承認待ちが連鎖すると、時間が一気に細切れになります。一次受けとまとめ処理の時間帯を決め、日次で“詰まり地点”を外す運用に切り替えましょう。
表7:繁忙期の運用チェックリスト(当日〜期間中)
| チェック項目 | 狙い(時間を守るポイント) | 担当 | 頻度 | 完了 |
|---|---|---|---|---|
| 毎日の最重要タスク(上位3つ)を先に予定へ固定 | 緊急対応に飲まれず、重要な処理を前に進める | 毎日 | □ | |
| 割り込み対応は一次受けで集約し、管理職は判断に集中 | 集中時間を守り、意思決定の停滞を防ぐ | 常時 | □ | |
| 承認・例外判断は「まとめ処理」の時間帯を設定 | 都度対応を減らし、切り替えコストを下げる | 毎日 | □ | |
| 差し戻しは“原因タグ”を付けて記録(入力不足/根拠不足など) | 同じ差し戻しの再発を減らし、処理を加速する | 随時 | □ | |
| 日次で「詰まり地点」を共有(会議は10分で終える) | 早期に詰まりを外し、ピークを平準化する | 毎日 | □ |
繁忙期に時間が溶けやすい代表例が、承認待ちや差し戻しの連鎖です。承認が滞る原因の特定や、詰まりを減らす考え方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
繁忙期後の振り返りで次回の負荷を下げる
繁忙期が終わった直後の振り返りは、次回の負荷を決める重要な工程です。タイムログと差し戻し記録から上位要因を3つに絞り、対策はまず1つに絞って改善します。判断基準やテンプレは、現場に合わないと形骸化するため、実態に合わせて更新し、周知までセットで行います。これにより、繁忙期のたびに同じ苦労を繰り返す状態を避けられます。
以下のチェックリストを利用して、タイムログや差し戻し記録から上位要因を3つに絞り、対策はまず1つだけ更新して運用に埋め込みましょう。
表8:繁忙期後の振り返りチェックリスト(次回を楽にする)
| チェック項目 | 狙い(時間を守るポイント) | アウトプット(最低限) | 期限 | 完了 |
|---|---|---|---|---|
| タイムログ・差し戻し記録から“上位3要因”を特定 | 次回の改善を一点突破にする | 上位3要因+対策案1つ | 繁忙期後1週間 | □ |
| 判断基準の更新 | 属人化を減らし、承認待ちを短縮する | 1枚基準の改訂版 | 繁忙期後2週間 | □ |
| 一次受け・問い合わせルールの見直し | 割り込みを減らし、集中時間を守る | ルール改訂+周知文 | 繁忙期後2週間 | □ |
| テンプレ(提出形式・必須項目)の改善 | 差し戻しと再依頼を減らす | テンプレ更新(必須項目追加) | 繁忙期後1か月 | □ |
管理職のタイムマネジメントでよくある失敗と対策
タイムマネジメントが失敗しやすいのは、①可視化せずに気合で回す、②会議だけ減らして意思決定が遅れる、③割り込みを個人戦で処理する、④委譲が丸投げになる、⑤ルールが形骸化する、の5つです。仕組みとして回るように、記録→見直し→ルール更新のサイクルを前提に置きます。
可視化せずに気合で回してしまう
タイムマネジメントの改善は、気合や根性で継続できるものではありません。現状把握がないまま施策を打つと、効果測定ができず、改善が続きません。まずは1週間のタイムログで実績を取り、カテゴリ別に上位要因を特定します。そのうえで改善は1つに絞り、効果が出たら次の一手に進むのが現実的です。
会議だけ減らして意思決定が遅れる
会議を減らすこと自体が目的になると、意思決定が遅れ、別の形で調整コストが増えます。会議は「減らす」より「設計する」が本筋です。目的、意思決定点、参加者、終了条件、次アクションを揃え、会議が終わった時点で前に進む状態にします。共有だけの会議は非同期へ切り替え、決める会議に集中させます。
割り込みを個人戦で処理して疲弊する
割り込みは、個人の頑張りで抑え込むほど増えます。一次受けの不在、判断基準の不統一、相談の持ち方のばらつきが原因で、管理職が即答に追われる状態になります。一次受けと対応レーンを固定し、判断材料が揃わない相談は持ち帰りにしてテンプレ化します。割り込みの質が上がると、割り込みの量も下がりやすくなります。
委譲が丸投げになり品質が落ちる
委譲で品質が落ちるのは、任せる範囲と判断基準が曖昧なまま、結果だけを求めてしまうケースです。段階移譲で経験を積ませ、判断基準で統制する設計が必要です。委譲は一度で完成しません。最初は小さく任せ、レビューで学習を回し、任せる範囲を徐々に広げることが、最終的な時間削減に繋がります。
ルールが形骸化して元に戻る
ルールが守られないのは、ルールの目的が共有されていないか、現場に合っていないことが多いです。目的と効果(短縮、待ち時間削減、差し戻し削減)を明確にし、運用を見直す場を固定します。週次・月次で「何がうまくいったか」「何が現実に合わないか」を確認し、ルールを更新し続けると、形骸化を防ぎやすくなります。
【FAQ】管理職のタイムマネジメントでよくある質問
最後に、管理職がつまずきやすい論点(会議、割り込み、委譲、評価、チーム運用)をFAQ形式で整理します。記事内の型(テンプレ)に沿って実行すれば、短期間でも改善効果を確認しやすくなります。
FAQ-1 管理職のタイムマネジメントは、まず何から始めるべきですか?
最初は「忙しい理由」を推測せず、1週間のタイムログで実績を見える化するのが最短です。次に、重要度×緊急度でタスクを4象限に分け、重要だが緊急ではない仕事の時間を先に予定へ入れると、改善が継続しやすくなります。
FAQ-2 会議が多すぎて時間が確保できません。減らすべきですか?
回数を減らすより、目的・意思決定点・終了条件を揃えて「短く確実に終わる形」に設計するのが効果的です。情報共有だけの会議は非同期(資料・チャット)へ切り替え、会議は「決める場」に限定します。
FAQ-3 割り込みが多く、集中できません。どう対処しますか?
割り込みはゼロにできないため、一次受けと判断基準(緊急度・影響度・期限)を決めて対応レーンを固定します。相談の持ち方(判断材料の有無、選択肢、推奨案)を揃えるだけでも、管理職が即答に追われる時間を減らせます。
FAQ-4 権限移譲すると品質が落ちそうで不安です。どう進めれば良いですか?
権限移譲は丸投げではなく、段階移譲(同席→下書き→事後報告→自走)で進めると品質を保ちやすいです。判断基準と確認ポイントをセットにすれば、任せても統制が効きます。
FAQ-5 チームの納得感がなく、ルールが形骸化します。どう防げますか?
ルールは「守るため」ではなく「時間を取り戻すため」のものなので、目的と得られる効果(短縮・待ち時間削減・差し戻し削減)を先に共有します。加えて、週次・月次で“運用を見直す場”を固定し、実態に合わせて更新すると形骸化しにくくなります。
まとめ
管理職のタイムマネジメントは、忙しさを減らすよりも「重要な仕事に時間を確保できる設計」に変えることがポイントです。まずは1週間のタイムログで現状を可視化し、重要度×緊急度で「今やる/予定に入れる/任せる/やらない」を決めて、重要タスクの時間を先に確保しましょう。
次に、会議は目的・意思決定点・終了条件を揃えて短く確実に終わる形にし、割り込みは一次受けと判断基準で対応レーンを固定します。最後に、権限移譲は段階移譲と判断基準をセットにして進めれば、品質を保ったまま管理職の時間を取り戻せます。






