電子帳簿保存法

 電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度とは?改正後の変更点や要件をわかりやすく解説!

公開日:2020.11.08更新日:2022.07.27
2022年1月施行の電子帳簿保存法改正でスキャナ保存について税務署の事前承認手続きが不要に

2022年の電子帳簿保存法改正により、企業の経理部はさまざまな対応を求められています。その1つに、国税関係書類のスキャナ保存があります。細かく複雑な変更があるため、対応すべき内容を把握しきれていない方が多いかもしれません。

また、法改正により罰則も強化されています。知らない間に禁止されている行為をしてしまうと、罰則を適用される可能性があります。

そこで本記事では、スキャナ保存制度の概要と法改正後の変更点をわかりやすく解説します。注意点を踏まえて網羅的に説明しますので、記事の内容を参考にスキャナ保存を始めてみてください。

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度とは

スキャナ保存制度は、紙の書類を電子データに変換して保存する制度です。一定の条件にしたがってデータ化・保存を行えば、紙の原本を破棄することができます。

書類を紙で保存している企業もまだ多くありますが、倉庫代など保存場所にコストがかかります。また、紛失する可能性を考えると、紙保存はリスクが大きいでしょう。

スキャナ保存制度を利用することで、このような紙保存におけるデメリットやリスクを一手に解消できます。

以前までは、スキャナ保存は導入における要件達成のハードルが高く、導入に踏み切れない企業が多い実情がありました。そのような状況の中、2022年に電子帳簿保存法が改正されたことで、スキャナ保存が進めやすい環境になっています。

電子帳簿保存法改正によるスキャナ保存制度の変更点

改正電子帳簿保存法では、スキャナ保存制度が大幅に変更されました。スキャナ保存に関わる変更点としては4つあります。

1.タイムスタンプの付与期限延長

1つ目の変更点はタイムスタンプの付与期限が長くなったことです。スキャン後のタイムスタンプ付与期限が3日以内から、2ヵ月と7営業日以内に変更されました。この変更によって、急いでタイムスタンプの付与作業を行う必要がなくなり、業務的な負担はかなり軽減されます。

2.適正事務処理要件の廃止

2つ目の変更点は、適正事務処理要件の廃止です。第三者による原本と電子データの同一性定期点検がなくなりました。定期点検が不要になったことで、電子化後に原本の即時廃棄が可能になっています。

3.検索項目の簡素化

3つ目の変更点は検索項目が「年月日」「取引金額」「取引先」の3つに簡素化されたことです。法改正により、日付・金額の範囲指定検索や2つ以上の任意項目の組み合わせ検索が不要となっています。

4.罰則の強化

4つ目の変更点は罰則の強化です。手続きが簡単になった一方で罰則が強化され、不正があった場合に科される重加算税に10%が加算されるようになりました。この罰則強化で、手続き簡略化に伴う不正拡大を防ぐ狙いがあります。

スキャナ保存制度の要件とは

改正点を踏まえて、2022年5月現在におけるスキャナ保存制度の要件についてまとめました。(太字の部分が、今回の改正で変更があったものになります。)



書類の区分


重要書類 一般書類
資金や物の流れに直結・連動する書類 資金や物の流れに直結・連動しない書類
契約書・納品書など 見積書・注文書など
入力期間の制限【早期入力方式】 国税関係書類に係る記録事項の入力を受領等後、速やか(おおむね7営業日以内)に行う
【業務処理サイクル方式】 国税関係書類に係る記録事項の入力、その業務処理に係る通常の期間(最長2ヵ月以内)経過後、速やか(おおむね7営業日以内)に行う
※国税関係書類の受領等から入力までの事務処理に関する規定を定めている場合に限る
一定水準以上の解像度及びカラー画像による読み取り解像度が200dpi相当以上、かつ赤・緑・青の階調が256以上(24ビットカラー)
タイムスタンプの付与入力期間内に日本データ通信協会が認定する業務に対するタイムスタンプ(電磁的記録が改ざんされていないことを保存期間を通じて確認でき、課税期間中の任意の期間を指定し、一括して検証できるものに限る)を1の入力単位ごとの電磁的記録に記録事項に付す
※国税関係書類に係る記録事項の入力が期間内に行われたのが確認できる場合は、タイムスタンプの付与要件に変えられる
読取情報の保存解像度、諧調、大きさに関する情報を保存すること
該当する書類の大きさがA4以下の場合、情報の保存は不要
バージョン管理国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について、訂正または削除を行った場合には、事実・内容を確認可能な電子計算機処理システム・訂正・削除を行うことができない電子計算処理システムを使用する
入力者等情報の確認記録事項の入力を行う者とその者を直接監督する者の情報を確認可能な状態にしておく
帳簿との相互関連性の確保電磁的記録と帳簿の記録事項の相互性を確認可能な状態にしておく
見読可能装置の備付け等14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンター、操作説明書を備付ける
電子計算機処理システムの概要書等の備付け電子計算機処理のシステム概要を記載した書類やシステム開発の書類、操作説明書、保存に関する事務手続きを明らかにした書類を備付ける
検索機能の確保取引年月日などの日付、取引金額・取引先での検索
日付・金額に係る記録項目の範囲指定検索
2つ以上の任意の記録項目の組み合わせ検索

参照元
電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】

スキャナ保存の対象書類

スキャナ保存の対象書類は国税関係書類の中で、決算関係書類や帳簿を除くすべての書類と規定されています。基本的には、紙媒体で受領した以下のような取引関係書類が対象となります。

  • 領収書
  • 注文書
  • 請求書
  • 契約書
  • 納品書

他にも、取引先から受領した紙書類が対象となります。

また、自己発行書類の写しもスキャナ保存の対象です。そのため、請求書や見積書などの控えもスキャナ保存の対象となります。

スキャナ保存の対象ではない書類

スキャナ保存が認められていない書類には、帳簿と決済関係書類があります。具体的には以下のような書類です。

  • 現金出納帳
  • 仕訳帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 固定資産台帳
  • 経費帳
  • 総勘定元帳

決算関係書類の具体例は下記のとおりです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 棚卸表
  • 決算に関して作成されたその他の書類

これらの決算に関係する書類に関してはスキャナ保存の対象ではありません。そのため、電子帳簿等保存の要件に則って電子保存を行う必要があります。

スキャナ保存のメリットとデメリット

スキャナ保存にはメリットがある一方で、デメリットも存在するのが事実です。ここでは、スキャナ保存を行うメリットとデメリットを解説します。

スキャナ保存のメリット

1.コストの削減

1つ目のメリットはコストカットです。国税関係書類の保存期間は法人の場合原則7年もあり、書類の種類も多岐にわたるので、保管する書類の量が膨大になります。企業によっては、社内の書庫では保管しきれず外部に書庫を借りるケースがあります。

保管場所を確保する費用負担も軽くはないので、スキャナ保存することで大きなコストカットが期待できます。ファイリングや書類のタグ付けといった、経理部門の作業負担や管理負担も軽減できるでしょう。

2.データ確認の効率化

2つ目はデータ確認の効率化です。紙の書類を電子上で一括管理することで、社内の各部門のデータを共有しやすくなります。そのため、経理部門が見ている元帳などの帳票データと証憑のスキャナデータを確認しやすくなります。紙で保存しているときよりも検索性が上がり、突合作業の効率もアップするでしょう。

3.調査スピード向上

3つ目のメリットは調査への対応スピードが上がることですスキャナ保存の導入により会計監査や税務調査にもスピーディに対応できるようになります。

スキャナ保存のデメリット

1.スキャンの手間は必要

1つ目のデメリットは業務面での手間です。領収書の原本をスキャンするには手間がかかります。大規模な事業所では、ほぼ専属の担当がいるような場合もあり、属人性が高く担当者が負担を抱えてしまう可能性があります。

2.スキャン用機器の準備が必要

2つ目のデメリットは機器を用意する手間です。スキャナ保存制度の要件を満たすためには、データの真実性を担保する機器を用意する必要があります。14インチ以上のディスプレイを備えたパソコンも必要なので、初期費用がかかることを想定しておきましょう。

導入後は、スキャナ保存の運用ルールを徹底しなければならず、業務フローを作成して社内に周知して管理する必要があります。スタート時には社内も混乱するので、経理担当者の負担が大きなものとなります。

3.社内周知が手間

3つ目のデメリットは指導や導入時の説明に手間がかかることです。データより、紙の方が管理しやすいという人もいるでしょう。社内の協力体制を築くには、営業や現業サイドのメリットを説明して納得してもらわなければなりません。制度が社内に浸透せず、中途半端なものにならないように事前準備は必須です。

このような手間を省きたい場合、「TOKIUMインボイス」のような請求書等の受領・スキャン作業から代行してもらえるサービスを導入すると、業務効率化が実現できるでしょう。

スキャナ保存の注意点

スキャナ保存を導入して原本を破棄するには、定められた要件を満たさなければなりません。その上で、スキャナ保存にかかる費用を削減するために、以下で紹介する注意点を確実におさえておきましょう。

スキャナ保存の入力期間を過ぎたら紙のまま保存する

スキャナ保存制度では、定められた入力期間内に保存する必要があります。入力期間を過ぎてしまった書類は、要件に沿って処理した上で紙のまま保存することになります。

入力期間を過ぎてしまうと、スキャナ保存した書類が「要件を満たさない電磁的記録」となるためです。

スキャン作業だけでなく、タイムスタンプも必ず付与する

入力期間内にスキャン作業を完了しているだけでは、要件を満たせません。タイムスタンプを付与することで、はじめて完了したと認められます。

スキャナ保存した書類は、変更履歴を完全に確認できなければなりません。これがタイムスタンプ付与の目的で、それによってはじめて「真実性の確保」ができます。

「一般財団法人日本データ通信協会」が定める基準を満たすタイムスタンプ事業者には「タイムビジネス信頼・安心認定証」が交付されます。「タイムビジネス信頼・安心認定証」が、事業者選びの基準になります。

ただし、訂正・削除の記録が残るシステムの保存に限り、タイムスタンプは不要です。記録の確認ができる会計システムの中には、タイムスタンプ付与機能が用意されているものもあります。

不備のあるスキャナ画像はNG

スキャナ画像には、一定の解像度が求められます。その上で、書類が正しくスキャンされていなければなりません。ピントが合っていない画像や、一部が切れた画像は不備とされます。システムには、削除や訂正の履歴を完全に保存することが必須条件です。

スキャナ保存を始めるには?

スキャナ保存には事前の準備が必要です。事前の準備で特に重要なのは以下の3つです。

  • データ化した書類を検索できるシステム整備
  • データ変更履歴がわかるシステムの導入orタイムスタンプの準備
  • 条件を満たすスキャナの準備

条件を満たすスキャナやシステム導入など準備の上、スキャナ保存を始めましょう。

データ化した書類を検索できるようにしておく

スキャンしたデータは、日付・金額・取引先の3つで検索できる必要があります。単にスキャナデータを保管しておくだけでは、条件を満たしていないので注意しましょう。ただし例外として、税務調査時のデータ提供では、組み合わせ検索ができなくても問題ありません。

訂正削除の履歴がわかるシステムかタイムスタンプを利用する

真実性を確保するために、変更履歴がわかるシステムを使う必要があります。変更履歴がわかるシステムを利用できない場合は、タイムスタンプの利用が必要です。

電子データは、改ざんされてもわかりにくい特徴があります。そのため、改ざんの可能性がないことを証明する必要があります。証明するために用意するのが、変更履歴がわかるシステムとタイムスタンプです。改正後の保存に対応するためには、システムを導入しなければならないケースもあります。
タイムスタンプについては、以下の記事で詳しく解説しています。

要件の解像度・階調を満たすスキャナを用意する

スキャナ保存には、画像の解像度が明確に規定されています。スキャナ自体に関しても、条件を満たす機器を用意しなければなりません。解像度が200dpi相当以上、赤色、緑色及び青色の諧調がそれぞれ256諧調以上(24ビットカラー)が必要なので、条件を満たせるスキャナを準備しておきましょう。一般書類の場合は、グレースケールで問題ありません。

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例えばTOKIUMインボイス(株式会社TOKIUM)を導入すると、請求書や納品書等のあらゆる国税関係書類を紙・電子データの形式問わず受領代行してもらえます。加えて、受領の段階でのタイムスタンプ付与+原本保管までがサービス内容に含まれているため、導入企業側は電子帳簿保存法への対応と請求書受領業務の効率化が実現可能となります。

なお、TOKIUMインボイスは、電子帳簿保存法対応の証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証元の日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に利用しているサービスです。ぜひこの機会にご検討ください。

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まとめ

2022年の電子帳簿保存法改正で、スキャナ保存は導入しやすくなりました。ただし、導入するには改正後もきちんと要件を満たし続ける必要があります。対象となる書類の確認方法や、スキャナ保存をする際の注意点などを把握しておきましょう。

スキャナなどの機器も、解像度や諧調など所定の要件を満たすものが必要です。また、タイムスタンプは一定の条件では不要になりますが、そのためにはデータ変更履歴がわかるシステムが求められます。

条件が緩和されたといえ、スキャナ保存は負担の大きな作業です。しかし、経理を効率化できるシステムを活用すれば自動化が実現できます。既存の業務体制で対応が難しいと感じたら、システムの導入を検討してみてください。

電子帳簿保存法に対応する上で、事務処理規程を備え付けるか、タイムスタンプを付与して運用すべきかについて、以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!

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