仕訳FAQ

決算整理仕訳とは?具体的なやり方を分かりやすく解説!

公開日:2022.02.21更新日:2022.09.18

経理担当者にとって決算は大イベントであり最重要業務です。月次決算・四半期決算と色々ありますが本決算は特別です。決算整理仕訳のなかには、四半期決算では行わない年に一度の作業もあります。
やるべき決算整理仕訳は多く、処理もれがないか毎回ドキドキします。何度チェックしても、もれがないか不安になるものです。
決算整理仕訳は、作業の意味を理解してやれば、もれてしまっても途中で気付くことができます。どこかで数字に違和感を覚えるからです。
前年の伝票の数字を直すだけの決算整理仕訳を卒業するべく、決算整理の意味とやり方について仕訳例をあげてご説明します。

決算整理とは?わかりやすく解説

決算整理とは当年の会計期間の正しい損益計算書や貸借対照表を作成するため、決算時点において最終的な修正を行うことです。
例えば、すでに仕訳された取引が当会計期間に該当するものかを判別し、該当しないものは決算整理の対象になります。また、企業の日常の営業活動のなかで発生している可能性のある取引でも、取引が発生するたびに帳簿に記すのではなく、一度に記録したほうがよいものもあります。このため、1年の総まとめである決算時に、まとめて計算を行います。
具体的には、1.~4.の作業のことです。
1. 売上が当期と翌期分で入り混じっていないかを確認して正しい会計期間分に調整します。
2. 翌期の費用ですでに当期に支払ってしまったものは、当期に処理した科目から「前払費用」に振り替えて調整します。
3. 本来当期に支払べき費用でまだ支払っていないものを、「未払費用」「未払金」で費用に計上します。
4. 棚卸の振替、消費税区分の確認、減価償却費の計上、有価証券の時価評価等

決算整理のやり方と仕訳を手順ごとに解説!

決算整理には基本的な確認項目があります。決算整理の結果をもとに行う仕訳のこと決算整理仕訳といいます。
決算整理で内容と数字をつかめていれば機械的に仕訳するだけです。決算整理をすすめるにあたり、具体的な手順とチェック項目を仕訳例を使いながらご説明します。

手順1.売上の確認

チェック1.は会計基準の「発生主義」にのっとった売上が計上されているかを確認することです。物品を販売した場合は納品した日に売上を計上します。入金日に売上を計上するのではありません。入金実績に関係なく、当期に納品された金額がすべて売上に計上されているかを確認します。
もし、3月31日が決算日の会社で、営業担当が3月31日の夕方に物品を納品して売上を計上しなければ、納品した物品の代金は売上計上もれとなります。そういった取引がないか確認するのです。逆に、納品していないのに売上を計上していれば翌期の売上とします。
仕訳例:売り上げを計上する場合

借方貸方
売掛金110,000売上100,000
  仮受消費税10,000

手順2.現金・預金の確認

チェック2.は現金や預金の残高が合計残高試算表の期末残高と一致しているか確認することです。日常業務で残高確認をしていれば差異がでることはありません。
◆現金は現物を確認する
◆預金は銀行発行の残高証明書又は預金通帳で決算日の残高を確認する
もし、預金残高と合計残高試算表の期末残高とに差異があれば次の項目を確認します。
・利息の計上もれ
・未取付小切手(小切手を作成しており、帳簿上は支出処理をしているが、相手先が受領した小切手の換金をしていない)や、未取立小切手(銀行が取り立てていないため入金がされていない)
仕訳例:未取付小切手があった場合

借方貸方
当座預金300,000買掛金300,000

以上の2点に該当がなければ、月次単位の残高照合を行い、差異が発生した月を特定して入出金と伝票の数字を合わせます。細かく確認する時間がなければ、月末残高と照合した差異を「2」と「9」で割ってみます。
「2」で割り切れれば、その額の伝票が二重入力されている可能性が大です。「9」で割り切れれば、数字の桁違いや位の入れ替りの可能性が大です。

手順3.当期費用の確認

チェック3.は当期に計上すべき費用を確認することです。未処理の当期費用や、翌期の費用を当期費用で処理されているものを把握します。あわせて、交際費や寄付金など注意が必要な科目が正しく処理されているか確認します。交際費の中にも会議費で処理できるものもあります。
当期費用を確認するうえで注意することは「重要性の原則」です。光熱費などは通常毎月ほとんど変動がありませんから未払金にするかは精査が必要です。監査法人や会計士が入っていれば打合せをして基準を決めます。
事業所が多くある場合は、事業所単位で処理が違うことのないように全社で未払金・前払費用を計上する基準を共有して処理する必要があります。

仕訳例:当期払った保険料が翌期の分だった場合

借方貸方
前払費用100,000保険料100,000

仕訳例:給与が20日締で21日~末日分が未払いの場合

借方貸方
従業員給与700,000未払費用700,000

仕訳例:納品された消耗品の代金が未処理の場合

借方貸方
消耗品費80,000未払費用88,000
仮受消費税8,000  

仕訳例:仮払金を消耗品費処理する場合

借方貸方
消耗品費80,000仮払金88,000
仮受消費税8,000  

手順4.有価物や棚卸資産の確認

チェック4.は切手や印紙などの有価物と棚卸資産を確認することです。切手や印紙などの有価物は購入時に当期費用で処理されていますが在庫は当期費用ではないからです。
また、決算時点でまだ売れていない商品の仕入金額は、当期の費用ではありません。実際に売れた金額を売上原価、売れ残った分は期末商品棚卸高といいます。売上原価のみを費用とし、期末商品棚卸高は、商品として流動資産に属する勘定に振り替えます。
仕訳例:棚卸商品の決算仕訳

借方貸方
商品50,000期末商品棚卸高50,000

手順5. 消費税区分の確認

チェック5.は消費税区分の確認をすることです。
現在の国内売上は基本的に消費税10%(消費税率7.8%,地方消費税率2.2%)ですが、食品、新聞などの売上は、軽減税率の8%が適用されます。
一方、費用は課税・非課税・不課税などさまざまです。印紙税や公官庁に払う手数料(登記簿や住民票の発行手数料)は非課税です。合計残高試算表の残高に円単位の端数がでていれば税区分が課税になっている可能性があります。
仕訳例:印紙を課税から非課税へ振替する場合

借方貸方
租税公課1,000租税公課926
  仮払消費税74

また、切手は在庫の時点では非課税であり、使用した時点で課税になります。使用するたびに振替するのは煩雑なので、多くの会社は継続適用を条件に購入時に課税処理し、期末在庫を貯蔵品に振り替えています。

手順6.税金の確認

チェック6.は税金の処理もれを確認することです。銀行の利息や配当金は源泉徴収税控除後の金額が入金されます。
実際の利息や配当金にかかる所得税を利息計算書や配当金支払通知書に記載された源泉徴収税額によりチェックして、控除された所得税の計上もれがないかを確認します。
仕訳例:受取利息を正しく処理した場合

借方貸方
預金84,685受取利息100,000
所得税・復興特別所得税15,315  

仕訳例:受取利息の入金額は処理済みで源泉所得税だけを処理する場合

借方貸方
所得税・復興特別所得税15,315受取利息15,315

源泉徴収税額』について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

手順7.固定資産の確認

チェック7.は固定資産の減価償却額が正しいかを確認します。固定資産は毎月償却していくものです。基本的には12か月分償却されているはずですので、12か月分の合計償却額が、固定資産台帳に記載された金額と一致しているかを確認します。
ただし、残存価格1円になった時点で償却処理は終わり簿価1円となります。会計ソフトを利用していれば自動仕訳機能で月次更新すれば償却処理がされます。

手順8.有価証券の期末時価を確認

チェック8.は決算時の時価で評価替えする有価証券とその時価を確認します。ここでいう有価証券は売買目的のもので帳簿価額を、決算時の時価(期末時価)で計算し直します。期末時価との差額は有価証券評価損益として処理します。
仕訳例:有価証券の評価替えで評価損を計上する場合

借方貸方
有価証券評価損100,000売買目的有価証券100,000

関連会社や子会社の株式、満期保有目的の債券については減損の要否を判定する必要があります。

手順9.未収入金の確認

チェック9.は未収入金を確認することです。営業活動以外で発生した1年以内に回収予定のものをいいます。概算納付している労働保険料や中間納付がある消費税も該当することがあります。
仕訳例:労働保険料を未収入金計上する場合

借方貸方
未収入金100,000法定福利費100,000

労働保険料は期末には概算納付額と確定申告額を計算して、概算額が多ければ還付されますので未収入金に計上する必要があります。
消費税は未収消費税を単独の勘定科目で設定している場合があります。消費税の納付額は「仮受消費税(預かり消費税)-仮払消費税」で計算します。納付額より概算納付した額が多ければ差額は未収消費税となります。
消費税については「消費税の中間納付額の計算方法は?押さえておくべきポイントを解説」で詳しく解説していますので参考にしてください。

決算整理の基本的な作業としては以上の1.~9.になります。
ちなみに、土地は決算期ごとに時価による簿価の修正を行いません。取得時に「取得価格+仲介手数等」を簿価に計上しています。時価が上がっていれば「含み益」、下がっていれば「含み損」のまま決算処理をします。
また、連結決算を組む場合は連結する会社間の債権債務の相殺をします。他にも賞与引当金・退職給付引当金・貸倒引当金なども必要があれば仕訳します。

決算仕訳の具体例

決算整理の手順とチェック項目をご説明しましたが、実務ではいろいろな仕訳が発生します。決算仕訳で多いのは手順3.の「前払費用」「未払費用・未払金」と手順9.の「未収入金」です。具体的な状況と仕訳例をあげますので参考にしてください。

1.前払の場合の仕訳例

翌期の費用を当期に支払った時に仕訳が発生します。1.~4.の場合も該当します。
1. 2年契約で社宅の損害保険料を支払い翌期分を前払いした場合
前払費用②の場合

借方貸方
前払保険料30,000支払保険料30,000

2. 4月以降の社員の通勤費を3月に支払いした場合
前払費用③の場合

借方貸方
前払人件費10,000従業員給与 (通勤費)10,000

3. 4月以降の工期の契約をし3月に契約書に印紙を貼付した場合
前払費用④の場合

借方貸方
前払費用10,000租税公課10,000

2.未払費用・未払金の場合の仕訳例

当期の費用が処理されていない時に仕訳が発生します。1.~5.の場合も該当します。
1.複合機のカウンター料金は月遅れで請求がくるため前回請求の同額を概算計上する場合
未払費用・未払金①の場合

借方貸方
維持管理費10,000未払金11,000
仮払消費税1,000  

2.借入金の利息が未払いの場合
未払費用・未払金②の場合

借方貸方
支払利息100,000未払利息100,000

3.ブランド手数料などの看板代が翌月払いの場合
未払費用・未払金③の場合

借方貸方
支払手数料500,000未払手数料550,000
仮払消費税50,000  

4.給与の締日が20日で21~末日までの未払給与を計上する場合(恒常的な残業があれば前月の実績を考慮して概算按分して計上します。)
未払費用・未払金④の場合

貸方貸方
従業員給与 (基本給)860,000未払給与900,000
従業員給与 (残業)40,000  

5.通常、社会保険料が翌月末に引き落とされるので決算月の会社負担の社会保険料を処理する場合
未払費用・未払金⑤の場合

借方貸方
法定福利費850,000未払費用850,000

※月末が休日で社会保険料が翌月に引き落とされる場合は決算日時点で2ヶ月分が未払費用として計上されることになります(給与引きした社員負担分は預り金のままです)
※確定拠出年金や厚生年金基金に加入している場合も未払費用として処理が必要です。

3.未収入金の場合の仕訳例

当期に支払ったもののなかで立替払したものや還付されるもの、また、未回収の雑収入があれば仕訳が発生します。1.~4.の場合も該当します。
1.社員が支払駐車場代を会社が立替払い(仮払金で出金)して翌月給与引きしている場合
未収入金①の場合

借方貸方
未収入金10,000仮払金 (地代)10,000

2.商品を販売して販売実績により奨励金などが翌期に支払われる場合
未収入金②の場合

借方貸方
未収入金100,000雑収入100,000

3.前年に比べ従業員への年間支払給与額が減ったため労働保険料の概算納付額が確定申告額より多い場合
未収入金③の場合

借方貸方
未収入金250,000法定福利費250,000

4.消費税の中間納付(仮払金で出金)が確定申告額より多い場合
未収入金④の場合

借方貸方
仮受消費税700,000仮払消費税600,000
未払消費税200,000仮払金 (税金)300,000

まとめ

決算は会社の通知表を作るようなものです。決算整理作業は煩雑で経理担当者にとっては負担ですが、一年間の業績を反映した正しい貸借対照表、損益計算書、並びに株主資本等変動計算書といった財務諸表を作成することはとても重要です。
これらの財務諸表をもとに事業報告書が作られ、投資家や銀行などが会社の評価をする時の判断材料となるからです。そのことを理解して業務にあたりましょう。

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