電子帳簿保存法

注文書の電子化は法改正でどう変わる?保存方法から注意点まで詳しく解説

更新日:2024.02.13

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2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、要件が緩和され、注文書の電子化を進めやすくなりました。

一方で、注文書等の取引に関する書類を電子データで受け取った場合には、電子データのまま保存することが義務付けられます。つまり、これまで書面で保存してきた企業や個人事業主も体制の転換が求められていきます

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そのような方々のために、この記事では注文書の電子化を進めるための方法と注意点をまとめました。ぜひ参考にしてください。

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電子帳簿保存法の改正と変わる注文書保存

ここでは、電子帳簿保存法の改正とそれに伴う注文書保存の変更点について解説していきます。

注文書保存の変更点

2022年1月に改正された電子帳簿保存法では、税務署からの事前承認の廃止、タイムスタンプ期間の延長、検索要件の緩和、適正事務処理要件の廃止と、電子データ化の要件が緩和されました。

その一方で、申告の際に起きた違反や漏れ等への罰則が強化されたことには注意が必要です。

なお電子取引の保存については、一定の条件下で施行から2年間(2022年1月〜2023年12月)の宥恕(ゆうじょ)期間が設けられています。つまり、電子保存の準備が整わない企業への配慮がなされたという形になります。しかし、あくまでこれは宥恕(大目にみる)措置であり、すでに電子取引の電子データ化は義務化されているため、どの事業者も遅かれ早かれ電子化への移行が求められていくというわけです。

また2年間の宥恕措置が終了したあとの2024年1月からは、注文書の電子化に移行できない企業について猶予措置が適用されます。

この猶予措置は以下全ての要件を満たす場合に認められます。

  • 保存要件に従って保存できなかった相当の理由があり、所轄の税務署に相当の理由があると認められること
  • 税務調査時に要求されたデータのダウンロードの求めに応じること
  • 税務調査時に要求された書面の提示または提出の求めに応じられること

なお国税庁通達(原本)においては、以下の通り記載されています。

「「相当の理由」とは事業者の実情に応じて判断するものであるが、例えば、システム等や社内でのワークフローの整備が間に合わない場合等がこれに該当する。」   

参考:国税庁| 電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)(令和5年6月)
電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和5年6月)

ケースバイケースではありますが、システムやワークフローの整備が間に合わない、資金繰りや人手不足により対応が 難しいといった事業者の経営判断は「相当の理由」として考慮されます。 

ただし、経営者の信条に基づく等、理由なく保存要件に従っていない場合は猶予措置の適用は受けられません。 (猶予措置の適用を受ける場合、税務署への事前申請等は不要です) 

なお、この猶予措置は恒久的な措置ではないことに注意が必要です。 「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」にもあるとおり、あくまでも「相当の理由」とされた事情が解消されるまでの 措置であり、事情が解消された後に行う電子取引については、当然適用されません。

またこの「相当の理由」に関して、明確な基準は設けられておらず、所轄の税務署長の裁量次第といった部分は否めません。よって猶予措置があるからといって、電子帳簿保存法に対応しなくて良いということではありません。

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注文書の種類に応じた保存方法(電子・紙)

先ほど確認したように改正電帳法によって、電子取引による注文書は紙での出力保存は認められず、電子データでの保存が義務付けられました。一方、自社で作成した注文書の控え、また取引先から受け取った紙の注文書は、引き続き紙での保存が認められています。

ここでは、書類を紙と電子データで保存する方法を解説していきます。

紙で注文書を保存する場合、以下の方法があります。

  • 自社で作成した注文書の控えを印刷して保管する。
  • 取引先から受け取った紙の注文書の原本を保管する。

一見容易に思える紙での保存ですが、管理のための手間や費用、必要となった書類を探し出すための時間など、デメリットも大きいです。業務効率化、保管コスト削減を目指す場合、電子データでの保存へ移行することをおすすめします。

電子データで保存する場合、以下の方法が挙げられます。

  • スキャンしてデータ化
  • Word、Excel等のソフトウェアの利用
  • 電子化ツールの導入

スキャンしてデータ化 

一般的な注文書の保存方法としては、スキャンによるデータ化があります。スキャナーを用いて書類を読み取ることで簡単に電子化することができます。

自社で作成した注文書の控え、取引先から受け取った紙媒体の注文書はスキャナーでの電子データ化による保存が認められています。

以前は、スキャンした書類は3日以内のタイムスタンプの付与が必要でしたが、電子帳簿保存法の改正により、タイムスタンプの付与期間の延長や受領者の自署の不要、さらにデータの変更履歴が残るシステムを利用したときにはタイムスタンプが不要になる旨などが定められました。

スキャナ保存について詳しくは、下記の記事を併せてご覧ください。

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Word・Excel等のソフトウェアの利用

WordやExcelのようなソフトを用いて注文書や発注書などを作ることも可能です。また、社内でGoogleアカウントを作成すれば、Googleドキュメントやスプレッドシートで同様に作成可能です。費用面などを理由として、専用ツールの導入が難しい場合はぜひ検討してみましょう。

電子化ツールの導入

電子化ツールを導入すれば、効率よく社内の注文書の電子化が進められるでしょう。特に、JIIMA認証(電帳法の要件を満たしていると認証されたもの)を受けている文書管理システムを選べば、安心して利用できます。

そのような電子帳簿保存ソフトの中でおすすめなのが、「TOKIUM電子帳簿保存」です。

代表的な文書管理システム「TOKIUM電子帳簿保存」では、あらゆる国税関係書類(見積書・請求書・納品書・契約書・発注書等)をオンラインでまとめて管理することが可能です。

書類の電子管理ができることに加え、原本の受領とスキャン・データ入力・保管まで代行されます。そのため、電子帳簿保存法に対応する追加の手間をなくせるだけでなく、紙と電子データの二重管理からも解放され、完全なペーパーレス化を実現できます。

TOKIUM電子帳簿保存は、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けているサービスです。月額費用は、基本利用料(1万円〜)+書類の保存件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数は無制限なので、従業員が何名で利用しても追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで電子帳簿保存法への対応が可能です。

「法対応と業務効率化を同時に実現したい」という方は、下記リンクから詳細資料をご覧ください。

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法人・個人で異なる注文書の保存期間

次に、注文書の保存期間について見ていきましょう。注文書の保存期間は主体が法人か、個人事業主かによって変わります。

法人の場合

主体が法人の場合、注文書や発注書は「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存」と税法にて定められています。また、欠損金の繰越控除(赤字部分を翌年の利益から控除できる仕組み)を適用するなら、帳簿書類の保管期間は10年となるので、これらの書類は10年間社内で適切に保管した方が確実と言えるでしょう。

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個人事業主の場合

主体が個人事業主の場合、青色申告・白色申告を問わず注文書の保管期間は5年です。法人と同様、確定申告の期限から5年間になります。

ただ、個人事業主の場合でも、課税売上1000万円以上の消費税納税事業者は帳簿書類の保管期間が7年となります。よって個人事業主の場合、会計に関する書類はまとめて7年保存しておくと覚えておきましょう。

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注文書を電子化するメリット

なぜ注文書の電子化が推奨されるのでしょうか。

業務効率化やコストの観点から、注文書を電子化するメリットについて解説していきます。

業務の効率化 

まず、紙の注文書であればオフィスでしか作業することができなかったり、データ入力や書類を探し出す手間があったりと膨大な業務負担がつきまといます。電子化によりデータ検索等ができるようになれば管理が容易になるため、大幅な業務効率化が見込まれるでしょう。

また電子化が進むことで、場所や時間に縛られず作業ができるようになるため、テレワークがしやすくなります。よって、業務の効率化をさらに進めていきたいと考えている企業であれば、注文書の電子データ化は導入すべきと言えるでしょう。

コストの削減

次に、コスト面におけるメリットについて説明していきます。書類の電子化を進めることで、印刷や送付にかかるコストや手間が省くことができ、さらには担当者の人件費の削減なども期待できます。

また企業の規模が大きくなれば、その分印刷、発送、人件費等のコストはかさんで行くため、長い目で見ればかなりのコストカットが見込まれるでしょう。

経年劣化、盗難、紛失、災害、汚染等のリスクの削減

書類を電子化してクラウドで管理することによって、経年劣化、災害、汚染等の心配なく半永久的に良質な状態で注文書を維持・管理することができます。またセキュリティ対策の観点から見ても、紛失・盗難リスクの軽減が見込まれ、管理の属人化を防ぐことにも繋がります。

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注文書を電子化する際の注意点

注文書のメリットや保存方法について説明してきましたが、ここでは電子化を進める際の注意点を3つ解説していきます。

運用フロー、社内ルールを統一する 

まず、電子化ツールを導入する際には、あらかじめ社内でマニュアルやガイドラインを作成しておくようにしましょう。整備されたルールやガイドラインがなければ、パソコンやツールに苦手意識がある社員をはじめ、社内で混乱が起きる可能性があります。

その一環として、まずは社内でファイル名、フォルダの構造を整備し、検索性を高めましょう。これにより、電子保存した際に目当ての書類がすぐに見つかるようになり、業務を効率的に進めることができるようになるでしょう。

電子化する書類を選別する

また、電子化すべき書類とそうでないものをしっかりと選別する基準を作りましょう。電子化するかどうかの選定基準を作ることで、社内での混乱を予防することと併せて、不必要なものまで電子化して、作業の手間や検索性の悪化が生じることの防止につながります。

セキュリティ対策を徹底する

そして、電子ならではのセキュリティ対策の徹底です。不正アクセス、情報漏洩は会社に甚大な被害をもたらす可能性があります。これを防ぐため、アクセス権限の設定、セキュリティ研修を行う等の対策を重ねましょう。場合によっては、セキュリティツールの導入を検討しても良いでしょう。また、社内で定期的なバックアップを行うことも効果的です。

まとめ

今回の記事では特に注文書の電子化のやり方について、解説しました。電子帳簿保存法の改正に伴い、より国税関係書類の電子データ化が容易になりました。これを機に書類の電子化を進めることで、大幅な業務効率化を実現できるでしょう。

業務効率化や紙媒体の管理費用の削減を図りたいと考えている企業は、電子帳簿保存ソフトの導入を検討してみましょう。

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