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経費精算業務において、承認漏れによる差し戻しは大きな課題です。「また同じミスで戻ってきた…」と、ため息をつく日々を送っている方もいるのではないでしょうか。承認漏れは、業務の遅延だけでなく、従業員からの不満や上司からの評価低下にもつながりかねません。
この記事では、経費承認の承認漏れに焦点を当て、その原因を徹底的に解剖します。申請者のミス、承認者の見落とし、複雑な承認フローなど、原因を特定し、具体的な対策を提示します。
さらに、経費承認フローの改善方法や、今日から実践できる6つの対策、そして万が一承認漏れが発生した場合のリカバリー方法まで、詳しく解説します。この記事を読めば、あなたも自信を持って経費承認業務に取り組めるようになり、業務効率を劇的に改善できるでしょう。まずは、承認漏れゼロを目指して、原因と対策を一緒に見ていきましょう!
経費承認の承認漏れ、なぜ起きる?原因を徹底解剖!
「また、経費の承認が漏れてしまった…」経費精算業務を担当されている方なら、一度はこのような経験があるのではないでしょうか?承認漏れは、業務効率を著しく低下させるだけでなく、従業員からの不満や企業の信用問題に発展することもあります。
ここでは、経費承認における承認漏れの原因を徹底的に解剖し、その対策を具体的に解説します。あなたの会社が抱える問題点を明確にし、スムーズな経費精算を実現するための第一歩を踏み出しましょう!
承認漏れが発生する3つの主な原因

経費承認の承認漏れは、大きく3つのタイプの要因に集約できます。まず申請者側の要因です。申請書類の不足や提出忘れ、勘定科目の誤選択といった初歩的なミスが発端となり、フロー全体が足止めされるケースが後を絶ちません。続いて承認者側の要因があり、多忙ゆえの見落としや確認不足、単純な承認忘れが代表例です。チェック体制が脆弱な組織ほど頻発しやすい点も特徴です。
最後に見逃せないのがシステムや承認フロー自体の問題で、複雑に入り組んだルート設計やシステムエラー、通知遅延・漏れが重なることでヒューマンエラーを助長します。これら三つは互いに影響し合いながら問題を深刻化させるため、個別対策に加えて相互作用を踏まえた包括的な改善が不可欠です。次節では、それぞれの原因をさらに掘り下げていきましょう。
原因別:具体的な承認漏れ事例
具体的な事例を通して、承認漏れがどのように発生するのかを理解することは、対策を講じる上で非常に重要です。
経費区分 | 典型ミス(例) | ✅チェック |
---|---|---|
交通費 | 領収書の添付漏れ/経路の記載ミス/利用区間の入力誤り/最安経路でない申請 など | |
接待交際費 | 接待相手・目的の記載漏れ/店名・金額の入力ミス/社内だけの接待・目的不明確 など | |
出張費 | 旅費規程に沿わない申請/宿泊費上限超過/最適でない移動手段の選択 など |
交通費
領収書の添付漏れや、経路の記載ミス、利用区間の入力誤りなど、申請者のミスが原因で承認が滞るケースがあります。また、承認者が領収書を見落としたり、経路を十分に確認しなかったりすることも、承認漏れにつながる可能性があります。例えば、電車賃とタクシー代が混在している場合に、それぞれの金額の内訳が不明確であったり、最も安い経路での申請でなかったりすると、承認作業が遅延する原因となります。
接待交際費
接待相手や目的の記載漏れ、飲食店の名称や金額の入力ミスなど、申請内容の不備が原因となることが多いです。承認者は、内容の妥当性や上限金額を超えていないかなどを確認する必要がありますが、件数が多い場合や、内容が複雑な場合に、見落としが発生しやすくなります。例えば、接待相手が社内の人間のみであったり、目的が不明確であったりすると、経費として認められない可能性があります。
出張費
旅費規程に沿った申請が行われていないケースや、宿泊費の金額が上限を超えているケースなど、申請者のミスが原因となることが多いです。また、出張期間や目的、移動手段などを確認する承認者の負担も大きいため、承認漏れが発生しやすくなります。例えば、移動手段が最も安い方法でなかったり、宿泊費が規定の金額を超えていたりすると、承認が遅れる原因となります。
これらの事例は、業種や企業の規模によっても異なります。例えば、建設業では、現場ごとの経費管理が複雑になりやすく、申請内容の確認に時間がかかる傾向があります。IT企業では、リモートワークの普及により、交通費や通信費の申請が増加し、承認業務が煩雑になることがあります。中小企業では、経理担当者の人数が少なく、承認業務に割ける時間が限られているため、承認漏れが発生しやすくなる傾向があります。
承認漏れがもたらす3つの悪影響
経費承認の承認漏れは、単に業務効率を低下させるだけではありません。企業にさまざまな悪影響を及ぼします。
業務効率の低下
承認漏れが発生すると、申請者への差し戻し、再申請、承認者の再確認など、余計な業務が発生し、業務効率が低下します。修正作業や再申請にかかる時間だけでなく、承認者も再度確認する必要があるため、全体の業務時間が長くなります。
従業員からの不満
承認が遅れることで、従業員の資金繰りに影響が出たり、モチベーションが低下したりする可能性があります。「経費精算が遅い」という不満は、企業へのエンゲージメントを低下させる要因にもなり得ます。従業員は、立て替えた経費の精算を心待ちにしているため、遅延は不満につながりやすいです。
会社の信用失墜
承認漏れが頻発すると、コンプライアンス意識の低い会社という印象を与え、対外的な信用を損なう可能性があります。特に、税務調査などで問題が発覚した場合、企業の信用は大きく失墜します。不正経費の計上や、適切な会計処理が行われていない場合、税務署からの追及や、取引先からの信用失墜につながる可能性があります。
これらの悪影響を回避するためにも、承認漏れの原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

承認漏れをゼロに!すぐに実践できる6つの対策
承認漏れをゼロにするために、今日から実践できる6つの対策をご紹介します。

対策1:経費申請ルールの明確化と徹底
経費申請に関するルールを明確にし、従業員に徹底することが、承認漏れ防止の第一歩です。
経費規程の作成・改定
経費規程は、経費の範囲、申請方法、承認プロセスなどを定めた社内ルールです。明確で分かりやすい経費規程を作成し、法改正やインボイス制度への対応なども含めて定期的に見直しましょう。テンプレートや他社事例を参考に、従業員が迷わないよう具体的に記述することが大切です。
以下の記事では、経費精算規定の作り方を詳しく解説していますので参考にしてください。
チェックリストの活用
申請時に必要な書類や情報、勘定科目などをまとめたチェックリストを作成し、申請者に配布しましょう。これにより、申請漏れや記入ミスを減らすことができます。各項目を網羅し、見やすく整理することが重要です。
法律上の注意点
経費精算に関する法令(電子帳簿保存法やインボイス制度など)を理解し、適切に対応する必要があります。法改正に対応した経費規程を作成し、従業員に周知徹底しましょう。
他社の事例紹介
経費規程の作成にあたっては、自社の状況に合わせて、業界や企業規模が近い企業の事例を参考にすると、より効果的なルールを策定できます。
対策2:事前申請の義務化と徹底
経費が発生する前に申請を行う「事前申請」を義務化することで、承認漏れを未然に防ぐことができます。
事前申請のメリット
経費の発生前に承認を得ることで不正利用を抑制できます。また、予算管理にも役立ち、無駄な経費の発生を防ぐことにも繋がります。例えば、出張前に費用を把握し、予算内に収まるよう調整できます。
徹底するための社内周知方法
事前申請の重要性を従業員に理解してもらうために、社内報や研修などを活用して、周知徹底を図りましょう。目的やメリットを具体的に説明し、理解を深めることが大切です。
インセンティブ設計
事前申請を積極的に行う従業員に対してインセンティブを与えることで、定着を促すことができます。例えば、申請件数が多い従業員を表彰したり、ポイントを付与したりする方法が考えられます。
ペナルティ設定
申請漏れや、承認を得ずに経費を使用した場合にはペナルティを設けることで、従業員の意識改革を促すことができます。例えば、申請が遅れた場合に経費の一部を自己負担とするなどの措置が考えられます。
対策3:承認フローの見直しと最適化
承認フローを見直し、無駄なプロセスを排除することで、承認のスピードを向上させ、承認漏れを防止できます。
承認フロー設計のステップ
まず、現在の承認フローを可視化して問題点を洗い出します。次に、承認ルートの簡素化や承認者の権限の見直しなど、具体的な改善策を検討します。どこで時間がかかっているか、どのプロセスが非効率かを把握することが重要です。
以下の記事では、経費精算ワークフロー最適化の事例を掲載していますので参考にしてください。
承認者・申請者両者にとって使いやすいフローのポイント
承認フローは、承認者と申請者の両者にとって使いやすいように設計することが重要です。承認ルートの簡素化や、一定金額以下の経費申請を自動承認する仕組みの導入も有効です。
複数承認者の設定
一人の承認者に負担が集中しないように、複数承認者を設定するのも有効です。また、承認者の不在時にも対応できるよう、代理承認者を設定しておくと、よりスムーズな承認が可能になります。
対策4:申請・承認状況の可視化
申請・承認状況を可視化することで、進捗状況を把握しやすくなり、承認漏れを防止できます。
進捗状況の見える化
申請状況や承認状況をダッシュボードなどで可視化し、関係者全員がリアルタイムで状況を把握できるようにします。申請のステータスを視覚的に表示し、誰がどの申請を承認すべきかを明確にすることが可能です。
アラート機能
承認期限が近づいている場合や、承認が滞っている場合に、アラート通知を送る機能を導入しましょう。承認漏れを未然に防ぐために非常に有効な機能です。
未承認案件の一覧表示
未承認案件を一覧表示し、承認者が確認しやすくする機能を導入しましょう。これにより、承認者は未承認の申請を効率的に確認し、承認作業を行えます。
対策5:経費精算システムの導入
経費精算システムの導入は、承認漏れ防止に非常に有効です。
経費精算システム導入の具体的な手順
まず自社のニーズに合ったシステムを選定し、導入準備を進めます。その後、システムを導入し、従業員への教育を実施して運用を開始します。機能、価格、導入事例などを比較検討することが重要です。
自社に最適なシステムの選び方
機能、価格、導入事例などを比較検討し、自社の規模や業務内容に合ったシステムを選びましょう。クラウド型のシステムは、導入・運用が比較的容易で、テレワークにも対応しやすいメリットがあります。
以下の記事では、経費精算システムを比較していますので参考にしてください。
対策6:承認者への教育・研修の実施
承認者に対して、経費規程やシステム操作方法に関する教育・研修を実施することで、承認漏れを防止できます。
経費規程の理解度向上
経費規程の内容を理解させ、適切に承認業務を行えるように、定期的な研修を実施しましょう。研修では、規程の目的や具体的なルールを説明し、質疑応答の時間を設けることで理解を深めます。
不正防止
不正な経費申請を見抜くための知識やスキルを習得させる研修も重要です。不正事例の紹介やチェックポイントなどを解説し、承認者の不正に対する意識を高めることができます。
システム操作方法
経費精算システムの操作方法を習득させ、スムーズに承認業務を行えるようにしましょう。研修で実際にシステムを操作してもらうことで、承認者のスキルを向上させることができます。
ステップ別!経費承認フロー改善の具体例
経費承認フローを改善するための具体的なプロセスを、ステップごとにご紹介します。
現状のフロー分析:問題点の洗い出し
まずは、現在の経費承認フローを詳細に分析し、問題点を洗い出すことから始めます。
現状のフローを可視化
現在の経費承認フローをフロー図などで可視化し、全体の流れを把握します。これにより、承認のプロセスを視覚的に理解しやすくなります。
問題点の特定
承認漏れが発生しやすい箇所、承認に時間がかかっている箇所、人的ミスが発生しやすい箇所など、問題点を具体的に特定します。例えば、承認者の数が多すぎる、申請書類の形式が統一されていない、といった問題点が挙げられます。
アンケート調査
従業員に対して、経費精算に関するアンケート調査を実施し、現場の声を集め、問題点を把握します。不満や改善点などを尋ね、従業員の意見を収集することが有効です。
改善目標の設定:KGI/KPIの明確化
改善目標を設定し、KPI(重要業績評価指標)を設定します。
業務効率の向上
経費精算業務にかかる時間や、承認にかかる時間を短縮することを目標とします。
承認時間の短縮
承認にかかる時間を、具体的に何時間短縮するかを目標として設定します。
承認漏れ件数の削減
承認漏れの件数を、具体的にどの程度削減するかを目標として設定します。例えば、「承認漏れ件数を1ヶ月あたり10件から5件に減らす」といった目標を設定することができます。
改善策の実行:具体的なアクションプラン
設定した目標を達成するために、具体的な改善策を実行します。
ペーパーレス化
領収書や申請書類のペーパーレス化を推進し、業務効率を向上させます。これにより、書類の保管スペースを削減し、検索性を向上させることができます。
自動承認の導入
一定の条件を満たした経費申請については、自動承認を行う機能を導入します。これにより、承認者の負担を軽減し、承認時間を短縮することができます。
経費精算システムの活用
経費精算システムを導入し、承認フローの効率化を図ります。これにより、申請、承認、経理処理のプロセスを効率化し、人的ミスを削減することができます。
効果測定と継続的な改善
改善策を実行した後は、効果測定を行い、継続的な改善を行います。
KPI達成度の評価
設定したKPIの達成度を評価し、改善策の効果を測定します。これにより、改善策の効果を客観的に評価し、次の改善策を検討することができます。
KPI指標 | 導入前(例) | 導入後3か月 | 改善率 |
---|---|---|---|
承認漏れ件数(月間) | 10件 | 3件 | ‑70% |
平均承認時間(申請→承認) | 48時間 | 12時間 | ‑75% |
差し戻し率 | 15% | 5% | ‑66% |
平均経費精算処理日数(申請→精算完了) | 7日 | 2日 | ‑71% |
改善効果の分析
改善策の効果を分析し、課題や改善点を見つけ出します。これにより、改善策の改善点を見つけ出し、更なる改善につなげることができます。
継続的な改善サイクルの確立
効果測定の結果を踏まえ、改善策を継続的に見直し、改善サイクルを確立します。これにより、経費承認フローを常に最適な状態に保つことができます。
承認漏れ発生!原因別リカバリー&再発防止策
万が一、承認漏れが発生してしまった場合の、具体的なリカバリー方法と、再発防止策をご紹介します。
申請者のミスによる承認漏れ:原因特定と対策
申請者のミスによる承認漏れが発生した場合、原因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。
書類の再提出依頼
申請者に、不足している書類の再提出を依頼します。その際には、具体的に何が不足しているのかを明確に伝え、スムーズな再提出を促すことが重要です。
申請方法の再教育
申請方法について、再度、申請者に説明し、理解を深めてもらいます。経費規程や申請手順などを改めて説明し、理解を深めることが重要です。
申請チェックリストの活用
チェックリストを活用し、申請漏れを防ぎます。チェックリストは、申請の各項目を網羅し、申請者が確認しやすいように、見やすく整理することが重要です。
チェック項目 | 具体確認ポイント | ✅ |
---|---|---|
経費区分・勘定科目 | 勘定科目が業務内容と一致しているか | |
支払日/利用日 | 日付の抜け・誤入力がないか | |
金額・通貨 | 税込/税抜、通貨単位を正確に入力したか | |
証憑類の添付 | 領収書・請求書など必要書類をアップロード済みか | |
事前申請番号 | 稟議・事前申請IDを必ず紐付けたか | |
規程上限の遵守 | 交通費・宿泊費・接待費が社内上限を超えていないか | |
接待情報(該当時) | 接待相手・目的・人数を明確に記載したか | |
出張情報(該当時) | 期間・目的・移動手段が旅費規程に沿っているか | |
交通費経路(該当時) | 最安経路/IC運賃で算出されているか | |
インボイス要件 | 適格請求書・登録番号を確認し、税区分を選択したか |
承認者のミスによる承認漏れ:原因特定と対策
承認者のミスによる承認漏れが発生した場合、以下の対策を講じます。
承認漏れアラートの設定
承認期限が近づいている場合や、承認が滞っている場合に、アラート通知を送る機能を設定します。この機能は、承認漏れを未然に防ぐために非常に有効です。
承認者間の情報共有
承認者間で、申請状況や承認状況を共有し、連携を強化します。これは、承認の遅延を防ぎ、業務効率を向上させるために重要です。
ダブルチェック体制の構築
複数の承認者で、申請内容をダブルチェックする体制を構築します。これにより、承認の精度を高め、不正を防ぐことができます。
システムやフローの問題による承認漏れ:原因特定と対策
システムやフローの問題が原因で承認漏れが発生した場合、以下の対策を講じます。
システム設定の見直し
システムの設定を見直し、承認フローが適切に設定されているかを確認します。システムの適切な設定は、承認フローをスムーズに進めるために重要です。
承認フローの再設計
承認フローを再設計し、より効率的なフローに改善します。無駄なプロセスを排除し、承認時間を短縮することを目的とします。
システムベンダーへの問い合わせ
システムベンダーに問い合わせ、問題解決のためのサポートを受けます。システムの専門家であるベンダーは、問題解決のためのアドバイスやサポートを提供してくれます。
再発防止策:定期的な見直しと社員教育の徹底
原因別の対策を講じた上で、再発防止策として、以下の点を徹底しましょう。
定期的な見直しと改善
定期的に、経費規程や承認フローを見直し、改善を行います。これは、経費承認フローを常に最適な状態に保つために重要です。
社員教育の徹底
申請者と承認者に対して、定期的に教育を実施し、知識やスキルの向上を図ります。社員教育は、経費承認の精度を高め、不正を防ぐために重要です。
まとめ
この記事では、経費承認における承認漏れの原因、対策、フロー改善方法を解説しました。承認漏れは、申請者のミス、承認者のミス、システムやフローの問題が原因で発生します。これらの原因を理解し、経費規程の明確化、事前申請の義務化、承認フローの見直し、経費精算システムの導入など、さまざまな対策を講じることで、承認漏れは防止できます。
まずは、自社の現状を把握し、問題点を洗い出すことから始めましょう。そして、この記事で紹介した対策を参考に、自社に合った改善策を実行してください。経費承認の承認漏れをゼロにし、スムーズな経費精算を実現するために、今すぐ行動しましょう。