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AIエージェントは、プログラミングをせず画面の操作だけで作れる「ノーコードツール」を使えば、5つのステップで形にできます。目的を決め、ツールを選び、指示(プロンプト)を設計し、社内の資料を覚えさせ、テストして公開する。この流れにそえば、初めてでも、特定の業務を任せられるAIエージェントを形にできます。
作り方は、ノーコードツールを使う方法と、プログラミングで開発する方法の2通りです。本記事は、初めての方でも今日から試せるノーコードの手順を中心に説明します。さらに、経費規程の問い合わせ対応や経費チェックなど、経理・バックオフィス業務のエージェントの作り方も扱います。社内で通すために欠かせない、内部統制上の位置づけも整理します。AIエージェントとは何かという概念は別の記事でくわしく扱い、本記事は「作り方」に集中します。
AIエージェントとは?仕組み・活用シーンとRPA・チャットボットとの違い
ChatGPTなどの生成AI(学習したデータをもとに文章や画像を新しく作り出すAI)は、質問に答えるところで止まります。一方AIエージェントは、「先月分の経費申請の不備をまとめておいて」と頼めば、必要な作業を自分で組み立てて、最後まで実行します。作り方を理解するうえで、まずこの「自律して動く」という特徴を押さえておくことが大切です。
AIエージェントは、4つの部品からできています。考える頭脳となる生成AI、答えの根拠になるナレッジ、実際に作業を行う外部サービスとの接続、そしてやり取りの流れを覚えておく記憶(メモリ)です。作り方とは、つまり、これらの部品をそろえて組み立てる作業のことです。
▼ AIエージェントを構成する4つの部品
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| 生成AI(頭脳) | 指示を理解し、手順を考える |
| ナレッジ(覚えさせる社内資料) | 規程やマニュアルを読み込ませ、答えの根拠にする |
| 外部サービスとの接続(手足) | 他のサービスを操作し、作業を実行する |
| メモリ(記憶) | やり取りの流れを覚えておく |
4つ目のメモリは、経理で使うときに注意が要る部品です。メモリは会話の流れを保持するしくみで、利用者ごとに分けられるか、全社で共有されるかはツールによって異なります。特定の社員の申請内容や給与に関する情報など、他の人に見せられない内容を扱う場合は、メモリの保存範囲と保存期間を必ず確認してください。
よく似たものに、RPAやチャットボットがあります。違いを整理しておくと、自分が作りたいものがどれかを判断しやすくなります。RPA(パソコン上の操作を人の代わりに繰り返すソフト)は、決められた手順をそのとおりに実行する自動化です。手順が変わると動けません。チャットボットは、質問に答えることが中心です。これに対しAIエージェントは、状況に応じて手順を自分で考え、判断しながら実行する点が異なります。
▼ AIエージェント・RPA・チャットボットの違い
| 種類 | 得意なこと | 動き方 |
|---|---|---|
| RPA | 決まった手順の自動化 | 手順どおりに繰り返す |
| チャットボット | 質問への応答 | 聞かれたことに答える |
| AIエージェント | 目的の達成 | 自分で手順を考えて実行する |
作るイメージをつかむために、どんな業務に使われているかを見ておきましょう。AIエージェントは、情報を集めて整理したり、決まったルールにもとづいて一次対応したりする仕事で広く活用されています。
▼ AIエージェントの代表的な活用シーン
| 活用シーン | 任せられること |
|---|---|
| 社内の問い合わせ対応 | 規程やマニュアルにもとづいて質問に答える |
| 情報収集・リサーチ | 複数の情報源を調べて要点をまとめる |
| ナレッジ検索 | 社内資料から必要な情報を探して提示する |
| 定型作業の下書き作成 | 決まった手順の入力内容を下書きとして用意する |
4つ目の「定型作業」について、経理で使う場合はひとつ線を引いておきます。会計システムや申請システムへの実際の登録までエージェントに行わせる場合は、専用のアカウントの付与と操作ログの取得が前提になります。誰の判断による入力かを追跡できない状態での自動登録は、内部統制上の指摘対象になりやすいためです。はじめは「下書きを作るところまで」にとどめ、送信や登録は人が行う設計にしておくのが安全です。
表の4つに共通するのは、「ゴールは決まっているが、そこに至る手順は毎回少しずつ変わる」業務だという点です。手順も入力内容も完全に固定なら、RPAのほうが速く確実に処理できます。状況に応じた軽い判断が要る業務こそ、AIエージェントの得意分野です。
AIエージェントそのものの概念や、できることをもっと知りたい場合は、関連記事でくわしく解説しています。

作る前の準備:業務の洗い出し・社内での確認・開発方法の選択
作る前に決めることは3つです。何を任せるか、社内で使ってよいか、そしてどう作るか。ここを曖昧にしたまま作り始めると、動くけれど誰も使わないエージェントができあがります。
まず、何を任せるかを決めます。探すのは「答えの出どころ(規程やマニュアル)は決まっているが、聞かれ方が毎回違う」業務です。たとえば経費規程の問い合わせは、規程という正解は1つでも、「懇親会は?」「タクシーは?」「出張中の昼食は?」と質問の形が毎回変わります。逆に、手順も入力内容も完全に固定なら、AIより単純な自動化のほうが安く確実です。最初の対象は、欲張らず一つに絞ってください。
▼ AIエージェントに任せやすい業務・人が担うべき業務
| 任せやすい業務 | 人が担うべき業務 |
|---|---|
| 規程やマニュアルを根拠にした一次回答 | 重要な意思決定 |
| 情報の収集・整理 | 相手への配慮が必要な対応 |
| 申請内容の下書き作成・一次確認 | 例外・トラブルの最終判断 |
次に、社内で使ってよいかを確認します。ノーコードツールに読み込ませる社内資料は、外部のサーバーに保存されます。着手前に情報システム部門へ、次の4点を確認してください。この確認記録は、あとで稟議を通すときの添付資料としてそのまま使えます。
▼ 社内資料を読み込ませる前に情報システム部門へ確認する4点
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 学習利用 | 入力したデータがサービスの改善や学習に使われない設定にできるか |
| 保存先・保存期間 | データがどこに保存され、いつまで残るか |
| 業務利用の可否 | 無料プランでも利用規約上、業務での利用が認められているか |
| アカウントの引き継ぎ | 退職・異動のときにアカウントと作成したエージェントを引き継げるか |
最後に、どう作るかを決めます。方法は2通りあり、次の章で比べます。
AIエージェントの作り方は2通り|ノーコードとコード開発の早見表
ノーコードとコード開発の違い
AIエージェントの作り方は、大きく2つに分かれます。ノーコードのツールで作る方法と、プログラミングで作る方法です。手軽さと自由度が異なるため、目的と自分のスキルに合わせて選びます。
▼ ノーコードとコード開発の比較
| 観点 | ノーコード | コード開発 |
|---|---|---|
| 必要なスキル | 専門知識は不要 | プログラミングの知識が必要 |
| 手軽さ | 高い(短時間で作れる) | 低い(開発に時間がかかる) |
| 自由度 | 用意された範囲で作る | 自由に作り込める |
| 向いている人 | まず試したい・現場で使いたい人 | 独自の処理を実現したい開発者 |
はじめての方や、現場の業務で早く使いたい方には、ノーコードが向いています。画面の指示にそって設定するだけで、短時間でエージェントを作れます。既存システムと細かく連携させたい、独自の複雑な処理を組み込みたい、という場合だけ、コード開発が選択肢になります。
ツールを選ぶ8つの基準
ノーコードのツールも、コード開発用のフレームワーク(開発を助けるひな型)も、いまは数多くあります。製品名で迷う前に、選ぶ基準を持っておくと決めやすくなります。機能や料金だけでなく、社内の資料を扱う以上、データの取り扱い・権限・ログの3点を必ず入れてください。
▼ AIエージェントのツール・フレームワークを選ぶ基準
| 選ぶ基準 | 確認すること |
|---|---|
| 必要な機能 | 社内資料の読み込み・外部サービスの操作など、やらせたい作業に対応しているか |
| データ連携 | 社内の規程やマニュアルを読み込めるファイル形式か |
| 外部連携 | 使いたいサービスとつなげるか |
| 料金 | 無料で試せるか・利用量に応じた費用が見合うか |
| 使いやすさ | 日本語の画面か、設定が数クリックで済むか、行き詰まったとき参照できる情報があるか |
| データの取り扱い | 入力内容が学習に使われない設定にできるか。保存先と保存期間はどうか |
| 権限管理 | 閲覧できる人を部署や役職で制限できるか |
| ログ | 誰が何を質問し、どう回答したかの履歴を残し、後から取り出せるか |
下の3つは、監査や情報漏えい時の調査で必ず求められる項目です。機能の豊富さより先に確認してください。迷ったときの出発点は、すでに社内で使っているグループウェアやオフィス製品に付属するエージェント作成機能です。追加契約なしで始められ、権限管理も既存の社内アカウントに乗るため、社内の承認が通りやすくなります。無料で試せるツールで小さく作ってみると、自分に必要な機能や使い勝手が見えてきます。足りない部分が分かったら、別のツールに乗り換えれば構いません。無料で試している段階なら、手戻りも小さく済みます。
【手順】ノーコードツールでAIエージェントを作る5ステップ
ノーコードでの手順は、5つのステップに整理できます。目的を決め、ツールを選び、指示を設計し、社内資料を覚えさせ、テストして公開する、という順番です。各ステップを、つまずきやすいポイントとあわせて見ていきます。
▼ ノーコードツールでAIエージェントを作る5ステップ
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 目的を設定する | 何を任せるエージェントかを一つに絞る |
| 2. ツールを選ぶ | 前章の8つの基準で候補を絞る |
| 3. プロンプトを設計する | 役割・ルール・例外の扱いを指示文で決める |
| 4. 社内資料と外部サービスを接続する | 規程やマニュアルを読み込ませ、必要なら他のサービスとつなぐ |
| 5. テストして公開・改善する | 想定の質問で確認し、記録を残して公開する。公開後も改善を続ける |
ステップ1:目的を一つに絞る
最初のステップは、目的の設定です。「何を任せるか」を一つに絞ることが、使えるエージェントを作るいちばんの近道です。「何でもできるエージェント」を目指すと、覚えさせる資料が増えすぎて関係のない情報まで引っ張ってくるため、かえって答えがぶれます。「経費の申請ルールに答える」「問い合わせを一次対応する」のように、役割を狭く決めましょう。
ステップ2:ツールを選ぶ
目的が決まれば、その目的を果たすために必要な機能から、使うツールを絞り込めます。前章の8つの基準のうち、最初に見るのは「必要な機能」「データの取り扱い」「料金」の3つです。この3つで候補が2〜3個まで絞れたら、無料の範囲で実際に触って、使いやすさを比べます。既存の生成AIサービスに付属するエージェント作成機能は、無料枠で試しやすい一方、業務での利用が規約で認められているかを確認してから使ってください。
ノーコードでエージェントを作る具体的な流れは、対話型AIサービスに付属する作成機能を例に、関連記事で画面の流れまで解説しています。
ステップ3:プロンプトを設計する
3つ目のステップが、プロンプトの設計です。プロンプトとは、エージェントに渡す指示文のことです。「あなたは何者で、どう振る舞うか」を書いた、新人に渡す業務マニュアルだと考えてください。このプロンプトの作り込みが、エージェントの質を大きく左右します。役割、守るべきルール、答え方のトーン、やってはいけないことを、具体的に書いておきます。
たとえば社内ヘルプデスクのエージェントなら、「あなたは社内ヘルプデスクです。読み込んだマニュアルの範囲で答えてください。記載がない場合は推測せず『情報システム部門へご確認ください』と案内してください」のように、役割・答え方のルール・例外の扱いの3つを書き分けます。範囲と例外の扱いまで指示しておくと、答えが安定します。
プロンプトのコツは、最初から完璧を目指さないことです。まず基本の指示で動かしてみて、おかしな答えが出たら、その都度ルールを追加します。「こういう質問にはこう答えてほしい」という気づきを、少しずつ反映するのが現実的な進め方です。

ステップ4:社内資料と外部サービスを接続する
4つ目のステップは、ナレッジと外部サービスの接続です。ナレッジとは、エージェントに覚えさせる知識のことで、社内の規程やマニュアル、よくある質問への回答などを読み込ませます。
このように、あらかじめ読み込ませた資料を根拠に答えさせるしくみを「RAG(ラグ)」と呼びます。RAGは、資料を丸暗記するのではなく、質問のたびに読み込んだ資料の中から関連しそうな箇所を探し、その内容をもとに答えるしくみです。自社の資料の範囲で答えるため、一般的なAIより的外れな回答は減りますが、探し方が外れれば答えも外れます。「資料の範囲内で答える」のであって「必ず正しい」わけではない点は、最初に押さえておいてください。
覚えさせる資料に古い情報や重複が混ざっていると、誤った答えの原因になります。最新の正しい資料を整えてから読み込ませることが大切です。
さらに、外部のサービスと接続すると、エージェントができることが広がります。たとえば、申請フォームに入力があったら自動でエージェントが内容を確認し、結果をチャットに通知する、といった連携まで組めます。
ただし、経費申請や支払依頼のように「本人の意思表示」が前提の手続きは、エージェントに代理登録させないでください。誰の判断による申請かが追えなくなり、承認の統制が成立しなくなります。この場合は、エージェントは入力内容の下書きを作るところまでとし、送信ボタンは本人が押す設計にします。
ステップ5:テストして公開・改善する
最後のステップが、テストと公開です。作ったエージェントに、想定される質問や指示を投げて、意図どおりに動くか、間違った情報を返さないかを確認します。このとき、口頭で「試しました」では社内の公開許可は取れません。質問と回答をそのまま記録しながらテストしてください。
▼ テスト記録に残す項目
| 項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 質問 | 実際に投げた質問文 |
| エージェントの回答 | 返ってきた回答をそのまま |
| 示された根拠 | 回答が根拠として挙げた規程名・条番号 |
| 原文 | その規程の該当箇所 |
| 判定 | 可・要修正のいずれか |
| 確認者・確認日 | 誰がいつ確認したか |
件数の目安は、過去に実際に来た問い合わせ30〜50件です。とくに、金額の上限にちょうど乗るケース、規程改定の前後にまたがるケース、規程に載っていないケースは必ず入れてください。この記録が、上長の公開許可を取るときの資料と、監査で聞かれたときの説明資料を兼ねます。
問題がなければ公開します。公開範囲は、読み込ませた資料の中でいちばん機密度が高いものに合わせてください。全社員向けのエージェントに、役員規程や特例扱いの決裁記録を混ぜてはいけません。人事・役員関連は別のエージェントに分け、閲覧できる人を限定します。既存の社内資料の閲覧権限と、エージェントの公開範囲が一致しているかを、公開前に必ず突き合わせます。
公開して終わりではありません。答えられなかった質問を記録し、プロンプトやナレッジに反映していくと、返ってくる答えは着実に安定していきます。作ってからの育成も、作り方の一部と考えておきましょう。

コードとフレームワークで作る方法|検討するのはどんなときか
より自由に作り込みたい場合は、プログラミングでAIエージェントを開発する方法があります。フレームワークを使うと、一から書くより効率よく開発できます。ただし、判断に迷うのは「自分の要件がコード開発を必要とするのかどうか」でしょう。次の3つのいずれかに当てはまったときが、コード開発を検討するタイミングです。
▼ コード開発を検討する3つの条件
| 条件 | 具体的な状況 |
|---|---|
| 標準の接続先にない | 社内の基幹システムに直接つなぐ必要があり、ノーコードツールの接続先に用意されていない |
| 外部に出せない | 取り扱うデータを外部のサービスに預けられず、自社の環境内で動かす必要がある |
| 従量課金が見合わない | 処理する件数が多く、利用量に応じた費用のほうが割高になった |
3つのいずれにも当てはまらないなら、コード開発を検討する必要はありません。逆に、どれかに当てはまった時点で、情報システム部門か開発を請け負う会社への相談が必要になり、費用と期間の桁が変わります。コード開発には、プログラミングの知識に加えて、作ったあとに動かし続けるための保守の体制が欠かせません。
AIエージェント開発にかかる費用の考え方
AIエージェントを作る費用は、方法によって大きく変わります。金額そのものはツールや要件で幅がありますが、「何にいくらかかり、何で金額が動くか」の型を押さえておけば、稟議に必要な数字は自分で作れます。
▼ 作り方別に見る費用の構造
| 作り方 | 初期費用 | 継続費用 | 費用が動く要因 |
|---|---|---|---|
| ノーコード(自作) | 原則なし(無料枠から始められる) | 月額制または利用量に応じた従量課金 | 利用する人数と処理する件数 |
| コード開発(自作) | 開発にかかる自社の人件費 | サービス利用料+保守の人件費 | 処理する件数と保守にかかる工数 |
| 外注 | 要件に応じた開発費 | 保守・運用の委託費 | つなぐシステムの数と要件の複雑さ |
見落としやすいのが、ツールの料金以外にかかる自社の工数です。費用側には、構築にかかる自分の時間と、読み込ませる資料を整える時間を必ず入れてください。規程やマニュアルが最新版に整理されていない場合、この整備が全体の工数の半分以上を占めることも珍しくありません。
効果側は、次の式で見積もります。月間の問い合わせ件数 × 1件あたりの対応時間 × 担当者の時間単価。件数が分からない場合は、2週間だけ問い合わせをメモして4倍してください。たとえば毎日30分かかっている問い合わせ対応が半分になれば、月あたり約5時間。この時間と月額費用を並べれば、見合うかどうかは自分で判断できます。料金は変わりやすいため、導入前に必ず最新の料金を確認してください。
【経理担当者向け】利用料・開発費の会計処理と消費税
費用が決まったら、次に来るのが支払時の処理です。経理担当者として押さえておきたいのは、費用処理と資産計上の分かれ目と、消費税の取り扱いです。
ノーコードツールの月額利用料は、通常は支払った期の費用として処理します(通信費・支払手数料・ソフトウェア利用料など、自社の科目設定に従います)。一方、外注してソフトウェアを開発した場合は、無形固定資産のソフトウェアとして計上し、減価償却の対象になります。
国税庁は、ソフトウエアの耐用年数について「複写して販売するための原本または研究開発用のものについては、3年」、その他のものは5年としています。自社で利用するソフトウエアは、この「その他」に当たり、耐用年数は5年です。また、導入に当たって必要とされる設定作業や、自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、取得価額に算入するとされています。 出典:国税庁 タックスアンサー No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数(最終確認日:2026年7月27日)
つまり、外注でエージェントを作る場合、開発費だけでなく、自社の業務に合わせるための設定・修正の費用も取得価額に含めて考える必要があります。ソフトウェアの減価償却の詳細は、関連記事でくわしく解説しています。
消費税は、契約相手が国外の事業者の場合に注意が必要です。インターネット経由で提供されるサービスは「電気通信利用役務の提供」に当たり、国内取引として消費税の対象になります。このうち、提供を受ける者が通常事業者に限られるものは「事業者向け電気通信利用役務の提供」とされます。この場合、受け手である国内事業者が申告・納税を行うリバースチャージ方式が適用されます。
国税庁は、事業者向け以外の「消費者向け電気通信利用役務の提供」について、国外事業者申告納税方式を原則としています。そのうえで、令和7年4月以降はプラットフォーム課税の対象となるものについて、特定プラットフォーム事業者が申告・納税を行うとしています。なお、登録国外事業者制度は令和5年9月30日をもって廃止され、インボイス制度へ移行しました。 出典:国税庁 タックスアンサー No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係の概要(最終確認日:2026年7月27日)
実務では、まず請求書に適格請求書発行事業者の登録番号があるかを確認します。国外の事業者と直接契約している場合は、どの方式に当たるかを顧問税理士に確認してから処理してください。資産計上か費用処理かの判断も、金額が大きければ事前に相談しておくと、期末に慌てずに済みます。
AIエージェント作りで失敗しないコツと注意点
AIエージェント作りでよくある失敗を知っておくと、同じ落とし穴を避けられます。
▼ AIエージェント作りの失敗パターンと対策
| 失敗パターン | 対策 |
|---|---|
| 何でも丸投げしようとする | 任せる範囲を絞り、判断は人が担う |
| 権限を与えすぎる | 操作できる範囲を必要最小限にする |
| 試作で止まってしまう | 小さく作り、実務で使って改善を続ける |
| 結果を確認しない | 重要な処理は人が最終確認する |
| 作ったまま放置する | 見直す人と頻度を決めておく |
とくに多いのが、いちばん上の「丸投げ」です。AIエージェントが得意なのは、情報の収集や整理、パターンが決まった作業です。重要な判断や、相手の気持ちへの配慮が必要な対応は、人が担う領域として最初から外しておきます。この線引きについては、次の章で経理業務を例に具体化します。
2つ目の権限は、抽象論だと設定画面で迷います。経費規程の問い合わせエージェントなら、許可するのは「指定した規程ファイルを読む」だけで十分です。会計システムへの書き込み、メールの送信、ファイルの削除や上書きは、いずれも不要なので付与しません。エージェントに与えるアカウントは共用のものではなく専用に用意し、退職・異動があっても権限が残り続けないよう、棚卸しの対象に含めてください。
見落とされがちなのが、運用する体制です。誰が、どのくらいの頻度で見直すのかを決めておかないと、作ったまま放置され、やがて使われなくなります。経理で使う場合、見直しのタイミングは「規程改定」「税制改正」「組織改編」の3つです。この3つが起きたら、その都度ナレッジを見直す、と手順に書いておきます。
規程を差し替えるときに注意したいのが、改定日と適用開始日のズレです。規程が4月1日改定なら、3月中に発生した経費は旧規程で判断します。ナレッジを差し替えるときは、新しい規程を追加するだけでは足りません。古い規程を確実に削除するか、「◯年◯月◯日以降に発生した経費に適用」と冒頭に明記した状態で入れてください。新旧が混在したまま残っていると、エージェントがどちらを参照したか分からなくなります。
最後に決めておきたいのが、誤った案内が起きたあとの動き方です。質問と回答のログを残し、定期的に見返せる状態にしておくと、同じ誤りが何人に返っていたかを追え、影響範囲の特定にかかる時間が変わります。もう一つが、回答の末尾に置く一文です。「この回答は規程を参照した結果であり、最終的な取り扱いは担当部署の確認が必要です」と必ず表示させておけば、社員が回答をそのまま確定情報として扱うことを防げます。
経理・バックオフィス業務のAIエージェントを作る
AIエージェントが活きる業務の一つが、経理・バックオフィスです。経理には、決まったルールにもとづく定型作業が数多くあり、AIエージェントと相性のよい仕事が集まっています。ここでは、経理向けのエージェントを作るときの考え方と、任せる範囲の線引きを紹介します。
問い合わせ対応・経費チェック・仕訳補助エージェントの作り方
作り方の流れは、これまで紹介した5ステップと同じです。ポイントは、目的を経理の業務に絞り、ナレッジに経費規程や経理ルールを覚えさせることです。なお、仕訳とは取引を「旅費交通費」「会議費」といった勘定科目に振り分けて記録する経理の作業を指します。
▼ 経理エージェントの例と、AIに任せる範囲・人が担う範囲
| 経理エージェントの例 | AIに任せる範囲 | 人が担う範囲(担当) |
|---|---|---|
| 問い合わせ対応 | 規程を根拠にした定型的な質問への一次回答 | 規程にない例外の判断(経理) |
| 経費チェック補助 | 規程との突合と、逸脱している可能性がある申請の抽出 | 規程逸脱の判定と差戻し(経理)/申請内容の妥当性の承認(申請者の上長) |
| 仕訳・科目の補助 | 取引内容からの勘定科目の候補提示 | 勘定科目の最終確定(経理) |
たとえば問い合わせ対応のエージェントなら、経費規程やマニュアルをナレッジに読み込ませます。そのうえで「規程にもとづいて答え、判断に迷う場合は担当者へ案内する」とプロンプトで指示します。ただし、これだけでは足りません。AIは「規程にない」と自覚しないまま、それらしい答えを作ってしまうことがあるためです。経理で使うなら、証跡が残る書き方にします。
具体的には、「回答には必ず、根拠とした規程名と条番号(例:出張旅費規程 第8条)を明記してください。読み込んだ資料の中に根拠が見つからない場合は、推測で答えず『規程に該当する記載が見つかりませんでした。経理課へご確認ください』とだけ返してください。金額の上限、日数、税務上の取り扱いについては、必ず原文をそのまま引用してください」とプロンプトに書きます。根拠の条番号を必ず出させておくと、社員が回答をうのみにせず原文を確認できるようになり、誤案内が起きたときの検証もできます。
問い合わせに答えさせる範囲にも注意が要ります。多くの会社では、申請者は申請画面で費目を選ぶだけで、勘定科目を決めるのは経理です。勘定科目そのものをAIが社員に直接回答すると、経理が使う科目と申請画面の費目が食い違い、かえって問い合わせが増えます。申請者向けのエージェントには「申請画面でどの費目を選ぶか」を答えさせ、勘定科目は経理担当者向けの別のエージェントに切り分けてください。
勘定科目の提案では、一般論ではなく自社の過去の処理に合わせることが重要です。継続性が崩れると期間比較が狂い、監査でも説明を求められます。ナレッジには、勘定科目一覧だけでなく「取引先・取引内容・採用した科目」の過去実績を入れてください。判断に迷いやすいケースの社内ルール(たとえば懇親会を参加人数と目的で会議費と交際費に分ける基準額)も加えます。過去と異なる科目を提案してきたら、それは要確認のサインとして扱います。

AIを内部統制のどこに置くか|承認は人、AIは補助
経理でAIエージェントを使うとき、稟議や監査で必ず聞かれるのが、「そのAIは内部統制上どういう位置づけなのか」です。ここを整理しないまま話を進めると、企画そのものが止まります。
押さえるべき点は一つです。AIの回答は、同じ質問でも毎回まったく同じになるとは限りません。そのため、AIによるチェックそのものを内部統制上の手続として位置づけることはできず、あくまで人が行う確認を効率化する補助という整理になります。稟議や監査対応では、「従来の承認・チェックの手続は変更せず、担当者の作業を補助するツールとして導入する」と説明できる設計にしておくと、話が進めやすくなります。
承認権限についても同じです。経費申請の承認権限は職務権限規程で定められた承認者にあり、AIの確認結果を根拠に承認を省略することはできません。AIが行うのは規程との突合であって、承認ではない、と言い切れる状態にしておいてください。
もう一つ、経理でよく聞かれるのが電子帳簿保存法との関係です。AIエージェントに規程やマニュアルを読み込ませること自体は、電子帳簿保存法が定める保存の対象ではありません。同法が関係するのは、領収書や請求書といった証憑(取引の事実を証明する書類)そのものを保存・授受する場面です。証憑の保存は要件を満たしたシステムで行い、エージェントには規程・マニュアル類の参照にとどめる、と切り分けておくと、法令面の論点を持ち込まずに始められます。
バックオフィス効率化から、経理AI・経費精算の自動化へ
自作のエージェントで問い合わせ対応を減らせても、経理の負担すべてが軽くなるわけではありません。問い合わせの先にある「申請内容が規程に沿っているかの確認」は、結局1件ずつ人が見ることになります。この規程チェックと承認の部分は、自作のエージェントではなく、承認の記録が制度として残るしくみに任せるのが現実的です。
TOKIUMでは、AIが従業員から申請された立替経費の一次承認を実行する機能を提供しています。規程違反や領収書の添付漏れ、経費科目や参加者、日付情報などを確認し、該当箇所と内容を示して申請者への差し戻しまで代行します。この場合も、最終的な承認は職務権限規程で定められた承認者が行います。 出典:株式会社TOKIUM ニュース(2025年7月3日公表)(最終確認日:2026年7月27日)
領収書のデータ化も、専用のしくみに任せる領域です。
TOKIUM経費精算は、約8,000名のオペレーターによる独自のオペレーション基盤で、高精度な証憑のデータ化を提供してきました。2026年4月14日からは、AI-OCR(書類の文字をAIが読み取ってデータに変換するしくみ)によるデータ化も選択できます。証憑をアップロードすると即座にデータ化が完了します。月末などの繁忙時にも、撮影から経費申請までを短時間で済ませられます。 出典:株式会社TOKIUM ニュース(2026年4月14日公表)(最終確認日:2026年7月27日)
問い合わせ対応や定型作業は自作のエージェントに、規程チェックと承認、領収書のデータ化は専用のしくみに任せます。こうして役割を分ければ、経理・バックオフィスの業務全体を、入口から出口まで効率化できます。すでに経費精算システムを導入している場合も、既存の運用はそのままに、規程チェックと承認の部分だけを見直す、という進め方ができます。
AIエージェントの作り方でよくある質問
AIエージェントは無料で作れますか?
無料で始められるノーコードのツールがあります。まず無料の範囲で小さなエージェントを作り、効果を確かめるのがおすすめです。ただし、無料プランは入力内容がサービスの改善に利用される設定が既定になっているものや、利用規約で業務での利用が認められていないものがあります。社内の規程やマニュアルを読み込ませる前に、必ず規約とデータの取り扱い設定を確認し、判断がつかない場合は架空のサンプル資料で試してください。
AIエージェントを作るのにプログラミングは必要ですか?
必須ではありません。ノーコードのツールなら、プログラミングの知識がなくても作れます。画面の指示にそって、目的の設定、指示文の作成、社内資料の読み込みを進めるだけです。独自の複雑な処理や、細かなシステム連携が必要な場合に、はじめてコード開発が選択肢になります。
作るのにどのくらいの時間がかかりますか?
最初の1体を動かすだけなら、ノーコードで数時間から1日が目安です。時間がかかるのは、作る作業そのものではなく、その前後です。読み込ませる規程やマニュアルを最新版に整える作業と、公開前のテストと記録に、それぞれ数日から数週間かかることがあります。スケジュールを引くときは、この2つを見込んでおいてください。
社内のデータを読み込ませても大丈夫ですか?
ツールと設定によります。確認すべきは、入力したデータが学習に使われない設定にできるか、データの保存先と保存期間はどうか、閲覧できる人を制限できるか、の3点です。着手前に情報システム部門へ確認し、判断がつくまでは架空のサンプル資料でテストしてください。また、公開範囲は読み込ませた資料のうちいちばん機密度が高いものに合わせます。
AIエージェントとRPAは何が違いますか?
RPAは決められた手順をそのとおりに繰り返す自動化、AIエージェントは目的に応じて自分で手順を考える点が違います。決まりきった単純作業はRPA、状況に応じた判断を含む作業はAIエージェント、と考えると使い分けやすくなります。
作ったAIエージェントはどのくらいの精度ですか?
一概には言えませんが、実務では「そのまま使える」水準ではなく「人が確認する前提の下書き」と考えるのが現実的です。精度は、覚えさせた知識や指示の作り込みによって大きく変わります。テストを重ね、指示文や資料を見直すことで上がっていきますが、100%にはならないため、重要な業務では結果を人が確認する運用が前提です。
経理の業務でも使えますか?
技術的には使えます。経費規程を覚えさせて問い合わせに答えるエージェントや、申請内容の一次確認、勘定科目の候補提示などに活用できます。ただし、実際に始められるかは社内の情報管理規程によるため、社内規程を外部サービスに読み込ませてよいかを、着手前に情報システム部門へ確認してください。確定や承認は人が行うことが前提です。
まとめ|AIエージェントはノーコード5ステップで作り、育てる
AIエージェントは、ノーコードのツールを使えば、目的設定→ツール選定→プロンプト設計→社内資料の接続→テスト公開の5ステップで作れます。無料の範囲で、業務を一つだけ選んで作る。使ってみて、答えられなかった質問をプロンプトと資料に反映する。この2つを回すことが、使われるエージェントに育てる唯一の方法です。
経理・バックオフィスで使うなら、内部統制上の位置づけを先に決めておいてください。AIが行うのは規程との突合であって承認ではなく、従来の承認・チェックの手続は変えずに担当者の作業を補助するツールとして導入する、という整理です。そのうえで、規程チェックと承認、領収書のデータ化といった出口の作業は専用のしくみに任せると、経理の負担は入口から出口まで軽くなります。
最初にやることは3つです。直近2週間の問い合わせをメモして、件数の多い質問を10個洗い出すこと。社内で使ってよいツールを情報システム部門に確認すること。最新版の経費規程を1つのファイルにまとめること。この3つがそろえば、あとは指示文を書いてテストするだけで、最初のエージェントは形になります。




