この記事は約 4 分で読めます。
請求書をPDFで送ることが増えてきたけど、これって法的にも有効なのだろうか?
PDFでの送付や保存にあたって、追加で気をつけるべきことはないのか?と疑問を持たれている方も多いかと思います。
→ダウンロード:請求書受領クラウド選び方ガイド【6社の比較表付き】
近年、経理業務におけるペーパーレス化が進んでおり、業務を効率化するためにも請求書をPDFで送付する企業が増えてきています。しかし、PDFのように電子データ化された請求書は法的に有効なのでしょうか?
そこで今回は、請求書をPDF化することは法的に有効なのか、PDFの請求書を送付・保存する際の7つの注意点について解説します。2022年1月に改正された電子帳簿保存法に対応するという観点からも詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
請求書の基礎知識については「請求書の書き方を見本で解説【失敗しない書き方・送り方】」を参考にしてみてください。
請求書はPDFでも法的に有効?
結論から言うと、請求書を紙ではなくPDFのような電子データで送ることは法的に有効です。ただし、自社と取引先の双方が、その請求書が正式なものだという認識を共有している必要があります。このように取引先同士で共通の認識があれば、電子化した請求書であっても法的に有効です。
実際、税務調査などで請求書の事実確認が求められる場合であっても、PDFなどで電子化された請求書があれば有効書類として問題ありません。(入出金の取引内容が請求書の内容と一致しているかどうかが重要)
しかし、請求書をPDFとして取り扱う際には紙の請求書とは違った注意点も存在します。PDF化した請求書の送付・保存、それぞれの注意点を見ていきましょう。
請求書をPDF化する3つのメリット
請求書をPDF化することで、いくつかのメリットがあります。具体的なメリットについて確認しましょう。
1.電子化に対応できる
請求書をPDFにして送付することで、電子化に対応できます。請求書を電子化することで管理が簡易的になったりペーパーレス化を進めたりが可能です。
取引先からの電子化要請があったり、自社でペーパーレス化を検討しているのであればPDF化を検討してみましょう。
2.メールで簡単に送付できる
紙媒体の請求書であれば封筒にいれ宛名を書き郵便局に持っていく手間があります。
一方で電子化したPDF形式の請求書であれば、メール一つで簡単に取引先へ送付できます。紙代を含めコストの削減も可能です。
請求書はWordやExcelを活用すれば無料でPDF化できるため、追加の費用も必要ありません。
3.テンプレートが豊富
請求書のPDFはいくつもテンプレートが用意されています。取引先や状況に応じてテンプレートを変えることも可能です。
テンプレートはインターネット上でさまざまな形式で無料配布されているので、探してみましょう。
請求書をPDFとして送付する際の4つの注意点
PDFなどによって電子化された請求書は法的にも有効であると上述しましたが、請求書の作成及び送付にあたっては4つの注意点があります。取引先とのトラブルを避けるため、詳しく理解しておきましょう。
1. 修正・改ざんへの対策を行う
まずは大前提ですが、請求書をExcelやWord等で作成し、PDF化せずに取引先へ送付することは避けましょう。故意ではなくても、誤って変更されてしまう可能性があるため、送付する際は簡単に修正できないPDF等の利用が必須です。
また、PDFの請求書に印鑑を押すべきかどうかも迷いやすい点でしょう。正式書類の証明として、請求書には社印(角印)を押すのが一般的です。しかし、PDFなどの電子化された請求書への押印に法的な効力はないため、実質必要ありません。
しかし企業によっては、PDFの請求書への押印を必須にしている会社もあるので、押印が必要かどうかは予め取引先に確認するようにしましょう。
2. 請求書原本の送付が必要かを確認する
メールなどでPDFの請求書を送る場合、原本を郵送する必要はありません。しかし、取引書類の原本送付を社内ルールで必要としている企業が多いのも事実です。そのため新しい企業と取引を開始する場合は、請求書原本の送付が必要かどうかをあらかじめ確認するようにしましょう。
3. ZIPファイルなどでセキュリティ対策を行う
請求書には個人情報や口座内容、重要契約項目といった機密情報が含まれていることも珍しくありません。そのため、PDFデータをそのまま送付することは、第三者への情報漏洩につながりかねません。
そこで、PDFの請求書をZIPファイルに圧縮したり、開封パスワードを設定したりすることで第三者から保護する必要があります。パスワードは別途担当者にメールで送付する必要があり面倒に感じるかもしれませんが、セキュリティ対策の観点からパスワード設定することは必須と言えます。
4. 紙からPDFに切り替える場合は十分に期間を取る
もともと紙で請求書を送付していたにも関わらず、突如電子化した請求書を送付することは取引先の担当者を混乱させ、トラブルの原因になりかねません。PDFでの送付に切り替えたい場合、事前に十分な期間を取って取引先に通知することが丁寧かつ誠実な対応といえます。
また、会社によっては請求書を紙で一元管理している場合もあり、PDFでの受け取りは印刷の手間がかかるため、紙での送付を求められるケースもあり得ます。こうした事態に対処するために、事前の通知・連絡を忘れないようにしましょう。実際に請求書を紙からPDFに切り替える場合、電子請求書システムで一元管理するとさらなる効率化に繋がります。電子請求書システムを比較検討したい方は、下記の記事がおすすめです。
【電子請求書に関するお役立ち記事】
電子請求書システム23選を比較!発行・受領タイプ別にご紹介
また、下記リンクではPDFでの請求書を受領し保管できるサービスの選び方を解説した資料を無料配布しています。PDFの請求書の管理を効率化したいという方はぜひご覧ください。
【関連する無料ガイドブック】
▶ 請求書受領クラウド選び方ガイド【6社の比較表付き】
※すぐにPDF資料をお受け取りいただけます
請求書をPDFで保存する際の3つの注意点
PDF化させた請求書が届いた場合、処理する側としてはどのような対応が必要なのでしょうか?
改正された電子帳簿保存法への対応を踏まえて、請求書をPDFとして保存する際の注意点を解説していきます。
1. 電子化された請求書は電子データとして保存する
従来の電子法簿保存法では、PDFで送られた請求書は印刷して原本を7年間保存する必要がありました。また、電子データとして保存する際は、電子保存を開始する日の3ヵ月前に税務署に申請を行う必要があり、多くの書類の提出が必要なことから運用のハードルが高い制度となっていました。
しかし、2022年1月の電子帳簿保存法(電帳法)の改正によって、大幅な規制緩和が行われ、電子データの保存におけるハードルが大きく下がりました。改正された電帳法では、受け取った請求書が電子データである場合、電子での保存が必須となりました。これまでは印刷して紙で保存することが認められていましたが、今回の改正では電子保存のみが有効な保存法になります。
【電子取引に関するお役立ち記事】
電子取引とは?電子帳簿保存法の対応方法をわかりやすく解説
2. 紙の請求書は紙・電子データどちらかで保存する
請求書が紙で送付された場合、紙、電子データどちらでも保存可能です。改正によって、税務署の申請・承認やタイムスタンプ制度などが廃止または緩和され、紙の請求書を電子データとして保存するハードルが大きく下がりました。電帳法の改正によって、電子保存しやすい状況へと変化していると言えます。
【電子帳簿保存法のタイムスタンプに関するお役立ち記事】
電子帳簿保存法にタイムスタンプは不要?費用や仕組みを徹底解説
電帳法の改正以前では、紙での請求書の保管法と統一するため、電子データも紙で保存する企業が多かったかと思います。しかし電帳法の改正後は、電子データは電子データとして保存する必要があるため、請求書を一元管理する場合は紙の請求書を電子データとしての保存に合わせる必要があります。
また、請求書を電子データとして保存する際には、電子帳簿保存法に対応したシステムの活用がおすすめです。下記の記事では、電帳法対応に向けたシステムの比較ポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【電子帳簿保存法のシステムに関するお役立ち記事】
電子帳簿保存法対応のシステム12選【比較ポイントは3つ】
3. 請求書を電子保存するための要件を守る
電子化のハードルが下がったとはいえ、どのような形式であっても請求書が有効になるわけではありません。改正された電子帳簿保存法では、請求書を電子保存するための要件として「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つを定めています。
真実性の確保
「真実性の確保」とは具体的に、訂正・削除履歴の確保、相互関連性の確保、関係書類等の備付けを指します。電子化されたデータが整合性や正確性を有していることを明らかにするため、電子化において上記3点の要件を満たす必要があります。
可視性の確保
「可視性の確保」とは具体的に、見読可能性の確保、検索機能の確保を指します。電子データが適切に保存され、必要な時にすぐに検索・発見できるようにするために、以上2点の要件を満たすようにしましょう。
改正された電子帳簿保存法の要点については、下記の記事でも詳しく解説しています。
【電子帳簿保存法に関するお役立ち記事】
電子帳簿保存法をわかりやすく解説!2022年改正後の変更点・要件緩和についても紹介
紙とPDFの請求書を一元管理できる電子帳簿保存法対応サービス
経理業務におけるペーパーレス化が進んでいるとはいえ、紙とPDF両方の請求書を管理する状態は当分の間続いていくと想定されます。その前提で改正された電子帳簿保存法に対応するにあたって、おすすめのサービスをご紹介します。
代表的な請求書受領サービス 「TOKIUMインボイス」は、紙やメール・ウェブシステム経由で届くあらゆる形式の請求書を受領代行し、請求書の確認・処理を電子化するサービスです。
請求書の受け取り・スキャン・データ化・原本管理まで全て代行され、システム上で一元管理できるため、ペーパーレス化と同時に請求書支払いにかける時間を約1/5にまで削減することができます。さらに、受け取った請求書はインボイス制度・電子帳簿保存法に対応する形で保管されるため、法対応に関する追加の手間をなくせる点も魅力です。
TOKIUMインボイスは、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証機関である日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に導入し、利用しているサービスです。
月額費用は、基本利用料(1万円〜)+請求書の件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数が無制限のため、利用者数が多い場合も追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで請求書業務を効率化できます。
「料金表や機能を詳しく知りたい」という方は、下記より資料をご覧ください。
※すぐにPDF資料をお受け取りいただけます
▶︎ 機能やメリットがわかる!TOKIUMインボイスの資料をダウンロード
▶︎ 料金表をダウンロード【請求書受領サービス6社の比較表付き】
まとめ
今回は請求書をPDF化することは法的に有効なのか、また改正された電子帳簿保存法への対応の観点から送付・保存の注意点を解説してきました。
自社と取引先の双方が、請求書を正式なものだと認識していれば、PDFであっても法的に有効だと解説しました。そして、電子帳簿保存法の改正によって請求書をPDFで取り扱うハードルが下がったこともあり、今後はさらに請求書の電子化が進んでいくと想定されています。
これを機に、請求書の効率的な管理・保存のため、体制やシステムを今一度見直してみてはいかがでしょうか。