電子帳簿保存法

電子帳簿保存法の電子取引とは?具体的な対応方法

公開日:2022.04.21更新日:2022.09.29

2022年1月電子帳簿保存法の改正により、電子取引については取引データの電子保存が義務化されました(2年猶予を経て2024年1月より開始)。一方、「そもそも電子取引とは何を指すのか」「具体的にどのように電子保存したら良いか」といった疑問を持たれている経理担当者も多いのではないでしょうか。本記事では電子取引の種類、電帳法の対応要件、具体的な対応方法について解説します。

電子取引とは

電子取引とは、電磁的に取引を行い、見積書・請求書・領収書・納品書などを電子上で授受する取引のことで、様々な形態での取引が当てはまります。

電子取引の対象となるデータの授受方法の種類・保存対象となるデータ例について国税庁の情報を元に加筆し、表にまとめました(★の数は当編集部で設定した重要度です)。

参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問3

種類保存対象データ例
電子メール★★電子メールに添付された見積書や請求書のPDF。
インターネット★★Amazon等のwebサイト上で閲覧できる領収書や請求書をPDFあるいは画面印刷(スクリーンショット)としてダウンロードしたもの。
クラウドサービス★★請求書発行サービス請求書受領サービス経由で授受した請求データ。
カード明細★★従業員が立て替えたクレジットカードや交通系ICカードの利用明細。
EDIシステム★EDIシステムを介して授受した請求データ
※EDI:Electronic Data Interchange。専用回線や通信回線で授受できるシステム。処理効率は高い反面、導入コストは大きいので大企業向け。
ペーパーレスFAXペーパーレスFAX(受信時に紙出力されず、電子的に保存できるFAX)で受信した請求書や領収書のPDF。
▶︎関連記事:FAXでの書類の受領は電子帳簿保存法の電子取引に該当する?
DVDDVDに記録された請求書や領収書のPDF。

2022年、電子取引の紙保存がNGに

2022年1月に改正が施行された電子帳簿保存法により、電子取引データの電子保存が義務化されました。今まではPDF等で受け取った請求書や領収書を紙に印刷して保存することが認められていましたが、これが廃止となりました。

2023年12月31日までは猶予あり

2021年12月10日の税制改正大綱の中で、電子データの保存要件への対応が困難な事業者に対し、2年の猶予が与えられる旨が発表されました。すなわち、2023年12月31日までは従来通り、紙に印刷して保存することが認められます。詳細は以下の記事で解説しているので、参考にしてください。

2年の猶予は与えられたものの、2024年1月以降は例外なく全ての事業者に対して電子取引データの電子保存が義務付けられるため、現時点で対応できない事業者も早めに準備を進めていくことが必要でしょう。

電子帳簿保存法の改正内容

2022年1月の電子帳簿保存法改正内容は、「事前承認制度の廃止」「データ保存要件の緩和」「スキャナ保存要件の緩和」「電子取引データの電子保存義務化」「不正行為に対する罰則強化」です。詳細は以下の記事でご確認ください。

電子帳簿保存法ガイドバナー

電子取引データの保存要件

電子取引データを保存する要件は、真実性の確保と可視性の確保という大きく2つの観点で規定されています。可視性の確保については比較的シンプルですが、真実性の確保は電子取引の種類によって対応パターンが変わるので難解です。一度に理解しようとせず、まずは大意を理解することが重要です。

真実性の確保

真実性の確保は、保管しているデータの内容が正しいものであることを裏付けることが目的です。
具体的には次の要件のいずれかを満たす必要があります。

要件当編集部の見解
1.タイムスタンプが付された後に取引情報の授受を行う×:取引先(送付側)の協力が必要なため、実現は難しい
2.取引情報の授受後速やかにタイムスタンプを付し、保存を行う者または監督者に関する情報を確認できるようにしておく○:自社のシステム導入のみなので、コストや運用次第で実現する
3.記録事項の訂正や削除を行った場合にその事実が確認できるシステムか、記録事項の訂正や削除ができないシステムを使用する。○:自社のシステム導入のみなので、コストや運用次第で実現する
4.記録事項の訂正や削除に関して事務処理規程を定め、それに沿った運用を行う△:一見簡単だが、規程の社内周知や継続更新が必要で運用コストが高い。小規模事業者向き

可視性の確保

 可視性の確保は、税務署や関係者が必要な時にデータを確認しやすくすることが目的です。
具体的には以下の要件を全て確保することが求められています。

  1. 保存場所に、電子機器(パソコンなど)・プログラム・ディスプレイ・プリンタ及びこれらの操作マニュアルが備え付けられており、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
  2. 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
  3. 以下の検索機能を確保すること※
    1. 取引年月日、取引金額、取引先により検索できる
    2. 日付または金額の範囲指定により検索できる
    3. 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること

※税務職員によるダウンロードの求めに応じることができる場合は2.3.が不要。なおかつ保存義務者が小規模な事業者である場合は検索機能が不要。

電子取引の具体的な対応方法

ここからは、電子取引の種類ごとに具体的な対応方法を紹介していきます。一見するといくつもパターンがあり煩雑ですが、以下の原則を頭に入れておくと理解がしやすいです。

  • 請求書や領収書データは集約して保存する必要がある
    • 例えば書類が添付されたメールを保存しておけば良いわけではなく、メールから書類をダウンロードしてシステム等で保存する必要がある
  • データの改ざんが起こらないように管理する必要がある
    • 例えばPDF等の画像情報は、テキスト情報と見比べられるようにする必要があり、カード明細等のテキスト情報は修正不可or修正履歴が追えるように管理する必要がある

電子取引の種類と電帳法対応パターン【一覧表】

上述の表に「電帳法への対応方法」欄を加筆し、まとめました(★の数は当編集部で設定した重要度です)。

参考:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問3

種類保存対象データ例電帳法への対応方法
電子メール★★電子メールに添付された見積書や請求書のPDF。PDFや画像を原本(証拠)とするパターン。入力データと原本の乖離が特定できるよう、以下のいずれかで対応
①受領者側でPDFや画像にタイムスタンプを付与する
②用意した事務処理規程に沿って運用する
インターネット★★Amazon等のwebサイト上で閲覧できる領収書や請求書をPDFあるいは画面印刷(スクリーンショット)としてダウンロードしたもの。
クラウドサービス★★請求書発行サービス請求書受領サービス経由で授受した請求データ。各サービスから取り込める明細情報(テキスト)を証拠とするパターン。この場合、取得テキストの元データ自体を受領者が変更できないので、タイムスタンプ付与は不要。したがって取得した値が変更された履歴が残るorそもそも変更できない仕様で対応する必要あり。以下のいずれかで対応
①データ訂正削除の記録が残るシステムを利用
②訂正削除ができないシステムを利用
カード明細★★従業員が立て替えたクレジットカードや交通系ICカードの利用明細。
EDIシステム★EDIシステムを介して授受した請求データ
※EDI:Electronic Data Interchange。専用回線や通信回線で授受できるシステム。処理効率は高い反面、導入コストは大きいので大企業向け。
ペーパーレスFAXペーパーレスFAX(受信時に紙出力されず、電子的に保存できるFAX)で受信した請求書や領収書のPDF。
▶︎関連記事:FAXでの書類の受領は電子帳簿保存法の電子取引に該当する?
PDFや画像を原本(証拠)とするパターン。以下のいずれかで対応
①受領者側でPDFや画像にタイムスタンプを付与する
②用意した事務処理規程に沿って運用する
DVDDVDに記録された請求書や領収書のPDF。

電子取引の対応への注意点

電子取引の種類ごとに具体的な電帳法対応の方法を解説してきました。続いては電帳法に対応する上で、何に気をつけるべきかを解説します。

①自社の電子取引を把握する

まず、自社の電子取引の種類を把握しておくことが何よりも重要です。理由は先述のように電子取引の種類によって具体的な方法が異なるからです。請求書の受領方法はメールやクラウドサービスなど思い浮かび安いですが、従業員の立替精算方法はwebサイトやクレジットカード、交通系ICカードなど、多岐に渡るので把握が漏れやすいです。

②自社に最適な方法(システムor事務処理規程)を検討する

電子取引の種類を把握できたら、次は最適な手段を検討しましょう。小規模事業者であれば電子取引の種類も少ないため、システム対応が不要な場合もあるでしょうが、規模がある程度大きい事業者はシステム対応が必要となると思われます。事務処理規程で対応する場合については、以下の記事が参考になります。

③システムを選ぶ場合は、タイムスタンプ付与型or付与しない型かを選ぶ

システムを選ぶ際は、タイムスタンプが付与できるタイプか否かは重要です。

電子帳簿保存法の改正によりタイムスタンプは不要となりましたし、上記の対応表の分類においても、タイムスタンプ付与型のシステムは不要であるのは一目瞭然です。
しかし、タイムスタンプが付与されないシステムを使用すると乗り換えが実質不可になる(ベンダーロックイン)になる大きなデメリットもあります。この点には留意し、システム選定をしましょう。タイムスタンプ付与型を選ぶべきか?という観点では、以下の記事が参考になります。

また、電子帳簿保存法システムの選び方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

TOKIUMなら電子取引をまとめて対応可能

支出管理クラウドTOKIUMを使えば、ログインIDが必要な専用システムで届く請求書電子メールで届く見積書従業員が立替精算してwebサイト経由でダウンロードした領収書などを含め、電子取引に対応することが可能です。

以下の表で具体的にTOKIUMができることをまとめました。
請求書や見積書ならTOKIUMインボイス、従業員が経費精算した際の領収書ならTOKIUM経費精算を活用することで全ての国税関係書類の電子帳簿保存法対応と業務効率化が図れます。

種類保存対象データ例TOKIUMで対応できること
電子メール★★電子メールに添付された見積書や請求書のPDF。・取引先から届く請求書や見積書、納品書はTOKIUMが代行受領+タイムスタンプ付与し、システム上に保存(TOKIUMインボイスの機能)。
・立替精算したい領収書の画像を従業員がアップロードすると自動でタイムスタンプ付与、金額等のデータが入力され、システム上に保存(TOKIUM経費精算の機能)
インターネット★★Amazon等のwebサイト上で閲覧できる領収書や請求書をPDFあるいは画面印刷(スクリーンショット)としてダウンロードしたもの。
クラウドサービス★★請求書発行サービス請求書受領サービス経由で授受した請求データ。システムのIDとパスワードが事前共有されていれば代行受領+タイムスタンプ付与し、システム上に保存可能。※書類形式はPDFに限る(TOKIUMインボイスの機能)
カード明細★★従業員が立て替えたクレジットカードや交通系ICカードの利用明細。クレジットカードや交通系ICカードのアカウントをTOKIUM上で連携し、明細を自動取得+システム上に保存(TOKIUM経費精算の機能)
EDIシステム★EDIシステムを介して授受した請求データ
※EDI:Electronic Data Interchange。専用回線や通信回線で授受できるシステム。処理効率は高い反面、導入コストは大きいので大企業向け。
EDIシステムとの連携は未対応
ペーパーレスFAXペーパーレスFAX(受信時に紙出力されず、電子的に保存できるFAX)で受信した請求書や領収書のPDF。
▶︎関連記事:FAXでの書類の受領は電子帳簿保存法の電子取引に該当する?
TOKIUMインボイスの専用サイトからアップロードすると自動でタイムスタンプ付与+金額等のデータが自動入力され、システム上に保存される
※書類形式はPDFに限る
DVDDVDに記録された請求書や領収書のPDF。
TOKIUMインボイス資料ダウンロード TOKIUMインボイス資料ダウンロード

本記事では電子取引データの保存要件について説明しましたが、スキャナ保存も含めた電帳法対応について関心のある方は以下の記事も併せてご確認ください。

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