会計処理

リースの内部統制とは?新リース会計基準で求められる業務プロセスと監査対応

更新日:2026.08.05

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リース内部統制_新リース会計基準対応

新リース会計基準への対応というと、使用権資産やリース負債の計算方法に目が向きがちです。しかし上場企業や会計監査を受ける企業にとって、もう一つ避けて通れないものがあります。自社のリース契約を漏れなく把握し、正しく会計処理し続ける仕組み、つまり内部統制の整備です。

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新基準では、これまで貸借対照表に計上しなくてよかったリース、いわゆるオフバランスのリースも、原則として資産・負債として計上します。ここで載せる資産が使用権資産、支払い義務がリース負債です。計上額は契約の期間や料金から計算されるため、契約情報がそのまま財務数値の基礎データになります。契約が1件見落とされれば、その分だけ使用権資産とリース負債の計上が漏れます。そのため監査では、すべての契約を拾えているかという網羅性が厳しく問われます。

この記事は、上場企業やそのグループ会社の経理・財務・内部監査の担当者に向けたものです。新リース会計基準対応で求められる内部統制の全体像から、J-SOXへの組み込み方、監査対応のチェックリストまでを、実務目線で整理します。J-SOXとは、金融商品取引法にもとづき上場企業に義務づけられた内部統制報告制度のことです。

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リースの内部統制とは何か

リースの内部統制とは、すべてのリース契約を漏れなく把握し、適切な承認と正確な会計処理を経て財務報告につなげるための業務プロセスとルールのことです。新基準への対応は、会計処理の変更にとどまりません。契約を締結する現場から経理・財務、そして開示までを一本の流れとして統制する取り組みだと考えるとわかりやすくなります。

統制を組み立てるうえで押さえるべき観点は、大きく4つあります。

▼ リースの内部統制で押さえる4つの観点

観点内容
網羅的な把握各部署が結んだリース契約を、経理が漏れなく集約する
承認と役割分担契約の締結や変更に承認記録を残し、担当者の役割を分ける
評価と判定リース期間や少額・短期リースの判定基準を正しく運用する
文書化と見直し新基準に合わせて業務フローや社内規程を文書化し、見直す

この4観点のうち、監査でとりわけ問われる要素は、契約を漏れなく拾えているかという網羅性と、リース期間や割引率などの見積りが正確かという2点に集約されます。中でも最難関は網羅性、つまり現場が結んだ契約を経理が捕捉できるかどうかです。承認や計算は、契約を認知したあとの工程だからです。

新リース会計基準で内部統制の何が変わるのか

日本の新基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年9月13日に公表しました。中心となるのが企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」で、実務の手引きとして企業会計基準適用指針第33号があります。内部統制が問われる最大の理由は、契約情報が会計数値の基礎データそのものになるからです。

新基準の大きな変化は、借りる側(借手)の会計処理を1つのモデルに統一した点です。これまでは費用として処理し資産計上しなかったオペレーティングリースも、短期・少額の例外を除いて、原則として使用権資産とリース負債を計上します。従来オペレーティングリースを区分していた実務との差が大きいため、どの契約がリースに当たるかの判定基準をそろえることが最初の論点になります。国際会計基準(IFRS)を任意適用する連結グループでは、日本基準とIFRSでリースの定義や免除規定が異なります。そのため、グループで判定基準を統一する統制も必要になります。

計上額はリース契約の期間・料金・割引率などの条件から計算されます。契約を1件でも取りこぼせば、計上額の網羅性が崩れます。会計処理の正確さは、その前段にある契約をどう集め、どう判定し、どう記録するかという業務プロセスの統制に支えられている、という構図です。基準そのものの変更点は、こちらの記事で詳しく解説しています。

新リース会計基準の変更点と対応に関する記事はこちら

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対象となる企業と適用スケジュール

新基準の内部統制対応が特に問われるのは、上場企業やそのグループ会社である連結子会社、そして会計監査人を設置する会社です。強制適用の開始は、2027年4月1日以後開始の連結会計年度・事業年度からです。早期適用は、これに先立つ2025年4月1日以後に開始する年度から認められており、すでに早期適用できる時期に入っています。

自社にどれだけ時間が残っているかは、決算月によって変わります。統制の設計・試験運用・監査法人との協議まで見込むと、適用初年度の1年以上前から準備に入るのが現実的です。下表の適用開始日はいずれも事業年度の開始日で、実際の対応はその前から始まります。早期適用するかどうかは、グループ内のIFRS適用会社と適用時期をそろえるかどうかや、システム更改の時期をふまえた経営判断になります。この判断が、準備スケジュールを左右する最大の変数です。

▼ 決算月別|新リース会計基準の強制適用開始と統制整備の逆算目安

決算月強制適用が始まる事業年度の開始日統制整備に着手したい時期の目安
3月決算2027年4月1日2026年前半までに着手
6月決算2027年7月1日2026年後半までに着手
9月決算2027年10月1日2026年後半〜2027年前半までに着手
12月決算2028年1月1日2027年前半までに着手

たとえば6月決算の企業は、適用初年度が2027年7月以降となり、まだ準備の時間が残っています。ただし猶予があるほど着手が後ろ倒しになりやすく、契約の洗い出しに想定以上の時間がかかって直前に慌てる例も見られます。着手の目安をすでに過ぎている場合は、契約件数の多い拠点や金額の大きい契約から洗い出しを先行させ、工程を並行して圧縮するのが現実的です。

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新基準対応で整備すべきリースの内部統制の3領域

新基準に対応した内部統制は、大きく3つの領域に分けて整備すると抜け漏れを防げます。契約の網羅的な把握、見積りと会計判断の統制、そして契約変更・再測定への適時対応です。3領域の整備内容と、統制が弱い場合に起きることを下表にまとめました。

▼ 新リース会計基準で整備すべき3つの統制領域

統制領域整備すべき主な内容統制が弱いと起きること
契約の網羅的な把握全部署・全拠点のリース契約と、リースを含む可能性のある契約を漏れなく集約するリース識別漏れで使用権資産・リース負債の計上が不足し、網羅性を立証できない
見積りと会計判断の統制リース期間や割引率など判断を要する項目の根拠を残し、承認する判断根拠を説明できず、監査で追加対応や修正が発生する
契約変更・再測定への適時対応契約変更や賃料改定を適時に捕捉し、再計算・修正処理につなげる延長・解約オプションの見直し漏れなどで、リース負債が過大・過小に計上される

契約の網羅的な把握

3領域のうち最も重視されるのが、契約の網羅的な把握です。特定の資産を一定期間、自社が自由に使える契約は、名前がリースでなくてもリースに当たることがあります。これは資産の使用を支配する、という考え方によるものです。第34号でも、特定された資産の使用を支配する権利が、対価と引き換えに一定期間移転する契約はリースに該当すると整理されています。賃貸借契約や保守契約の中に潜むこうした契約は隠れリースと呼ばれ、網羅性を担保できるかどうかが、リースの内部統制の成否を分ける第一関門です。隠れリースの見つけ方は、こちらの記事にまとめています。

隠れリースの判定に関する記事はこちら

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見積りと会計判断の統制

見積りの統制で監査上とりわけ問われやすいのが割引率です。リース負債は将来のリース料を現在価値に割り引いて計算するため、割引率の決め方が計上額を左右します。割引率は、貸手の計算利子率(リース契約に織り込まれた利率)を知り得る場合はその利率を使います。知り得ない場合は、借手が同等の条件で借り入れたと仮定したときの利率(借手の追加借入利子率)で代用します。この追加借入利子率を通貨や期間、信用リスクをどう反映して決め、誰が承認し、どの頻度で見直すかを文書化しておくことが、見積り統制の核心です。リース期間の判定も同様で、延長や解約のオプションを行使する可能性をどう評価したかの根拠を残します。

契約変更・再測定への適時対応

契約は締結して終わりではありません。賃料の改定や契約条件の変更が起きると、リース負債を計算し直す再測定が必要になります。再測定のきっかけは、延長・解約オプションの行使可能性の見直し、賃料が物価指数などに連動して変わる変動リース料の改定、リース期間そのものの変更などです。これらのトリガーを誰がどう監視し、発生時に経理へ連携するかを決めておかないと、再測定の漏れがそのまま計上額の誤りになります。契約を結んだ後の変化を追い続ける仕組みが、この領域の要点です。

リースの内部統制の3領域(網羅性・見積り・再測定)と契約ライフサイクルの対応図

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J-SOX対応でリースの業務プロセス統制を組み込む方法

上場企業では、金融商品取引法にもとづくJ-SOX(内部統制報告制度)のもとで、財務報告に係る業務プロセスの統制が求められます。新基準の適用後は、リース契約の締結・変更・解約が使用権資産とリース負債の計上額に直結します。そのため、これらが漏れなく経理に連携され、正しく会計処理に反映されるプロセスを統制として整備・運用する必要があります。

ここで最初に押さえておきたい論点があります。リースの計上プロセスが、現場が契約を捕捉する部分と、経理が計算・計上・注記する部分にまたがる、という点です。前者は日々の業務プロセス統制ですが、後者は月次や四半期の決算・財務報告プロセスとして評価するケースが少なくありません。どちらに区分するかで、評価の方法や時期が変わります。そのため、リースのどこを業務プロセスとして、どこを決算・財務報告プロセスとして評価するかを、監査法人と早めにすり合わせておくことが出発点になります。

J-SOXのルール自体も2023年4月に改訂され、2024年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。リスクの評価と対応や、IT面の考え方が見直され、評価範囲を機械的に決めるのではなく、リスクに応じて判断する方向へ変わりました。制度の全体像は、こちらの記事で解説しています。

J-SOX(内部統制報告制度)に関する記事はこちら

3点セットにリースのプロセスを反映する

J-SOXでは、3点セットと呼ばれる文書で業務プロセスの統制を可視化します。業務の流れを図にした業務フロー図、手順を文章で書いた業務記述書、そしてリスクと統制を対応させたリスク・コントロール・マトリクス(RCM)の3つです。新基準対応では、この3点セットにリースの締結から会計処理までのプロセスを新しく書き加えます。

中でもRCMは、どんなリスクに対してどんな統制を効かせるかを一覧にするものです。実務で通用するRCMにするには、リスクとコントロールを並べるだけでは足りません。そのコントロールがどの監査要点(アサーション)に効くのか、ミスを未然に防ぐ予防的統制か、ミスを見つける発見的統制かを示します。さらに、人手かシステムか、計上額を左右する要となるキーコントロールかどうかまで書き分ける必要があります。リース版RCMの記載イメージを下表に示します。コントロールの記述は、誰が・何を根拠に・どの証跡を残すかまで具体化するのがポイントです。

▼ リースの内部統制|RCM(リスク・コントロール・マトリクス)の記載例

想定リスクコントロール(統制活動)アサーション予防/発見・手作業/ITキーコントロール
現場が結んだ契約が経理に連携されない(捕捉漏れ)新規契約の締結時に経理へ連携する承認フローを定め、購買・支払データとの定期突合で漏れを検出する網羅性予防+発見・手作業該当
リース契約の識別漏れ(隠れリース含む)経理担当者が、新規契約をリース判定チェックリストで確認し、リース該当分を台帳に登録のうえ承認記録を残す網羅性発見・手作業該当
リース期間・割引率など見積りの誤り選定基準を社内規程に定め、判断根拠を文書化して上長が承認する評価予防・手作業該当
契約変更・再測定の反映漏れ契約変更・賃料改定を経理に連携するルールを定め、再判定・再計算につなげる評価・期間帰属予防・手作業該当
計上額の計算誤り契約台帳と会計データの金額・期間をシステムまたは担当者が定期的に突合する正確性発見・IT/手作業非該当(補完統制)

この粒度まで書き込めていれば、監査人が統制の運用状況を評価するときにも、証跡をたどりやすくなります。逆に「判定結果を記録する」といった粗い記述だと、誰がどう統制しているのかが伝わらず、RCMとは呼べないリスク一覧にとどまってしまいます。

評価範囲とキーコントロールを見極める

リースのプロセスをどこまでJ-SOXの評価対象にするかは、財務報告に与える影響の大きさで決まります。リース残高が財務諸表に占める割合が大きい企業ほど、リースの業務プロセスが評価対象になりやすくなります。ここで気をつけたいのが、リース特有の分散リスクです。J-SOXでは、売上高などの金額基準で評価対象の拠点を絞り込むのが一般的です。ところがリース残高は事業拠点をまたいで薄く広く散らばりがちで、金額基準だけで拠点を絞ると、範囲から外れた拠点に隠れリースが眠るおそれがあります。金額の重要性に加えて、契約が分散していないかという観点でも範囲を補正します。

評価範囲を絞ったら、その中でキーコントロールを見極めます。キーコントロールとは、数ある統制のうち、財務数値の正しさを単独で大きく左右する要となる統制のことです。先ほどのRCMでいえば、リース判定の承認や見積り根拠の承認がこれにあたります。ここを重点的に評価・整備し、監査人と対象範囲の認識をすり合わせておくと、後の手戻りを防げます。

システムを使う場合はIT統制も整える

システムで管理する場合は、IT統制を2種類に分けて整えます。アクセス管理や変更管理といったシステム基盤の統制がIT全般統制(ITGC)、自動計算やデータ連携の正確性を保つ統制がIT業務処理統制です。この2つを組み合わせることで、計算と記録の正確性を担保します。

一方、表計算ソフトでリースを管理する場合は、計算式の誤りや変更履歴の不備が、そのまま統制上の弱点になります。担当者が変わるたびにファイルの作り方が変わり、誰がいつ何を修正したかを追えなくなるのが典型的な問題です。こうした重要な表計算ファイルを管理する仕組みは、実務上EUC統制(エンドユーザーコンピューティング統制)と呼ばれます。ファイルの登録やアクセス制限、数式のロック、変更管理が問われます。

リースの内部統制を機能させる業務プロセス整備の4ステップ

統制の整備は、次の4ステップで業務プロセスを組み立てると実務に落とし込みやすくなります。現場からの情報集約を出発点に、識別・判定、測定・承認、役割分担の順に整えます。

▼ リースの内部統制を機能させる業務プロセス整備の4ステップ

ステップやること
① 捕捉現場が新規契約を結ぶ際、必ず経理へ連携する社内ルールを作る
② 識別・判定契約書にリースの文言がなくても、資産の使用を支配するかをチェックリストで判定し記録する
③ 測定・承認使用権資産・リース負債の算定根拠と、承認の証跡を残す
④ 職務分掌契約の締結・データ入力・承認の担当を分ける
リースの内部統制を機能させる業務プロセス整備の4ステップのフロー図

現場から経理への申請プロセスを作る

最初のステップは、現場が新しく賃貸借契約やリース契約を結ぶときに、必ず経理部門へ申請・連携する社内ルールを作ることです。契約を結んだ事実が経理に届かなければ、統制はそこで途切れます。あわせて、契約書にリースという言葉がなくても資産の使用を支配しているかを確かめるリース識別チェックリストを運用すると、隠れリースの取りこぼしを防げます。

測定・承認を標準化し職務分掌を明確にする

使用権資産やリース負債の計算は、誰が計算し誰が承認したかの証跡を残せる形に標準化します。短期リースや少額リースは、例外として資産計上せず費用処理を続けられます。この例外を適用するかどうかの判断についても、確かめる手順を決めます。少額リースの金額基準は一律ではなく、適用指針第33号に沿って自社の方針を定め、文書化しておくのが安全です。

最後が役割分担(職務分掌)です。契約を結ぶ人、リース期間や割引率を入力する人、それを承認する人を分けます。一人の判断だけで計上額が決まってしまう状態を避けるのが狙いです。経理が少人数で分掌を組めない子会社や拠点では、本社経理による月次レビューなどの代替統制を設計し、その旨をRCMに明記します。リース資産の減価償却や会計処理の詳細は、こちらの記事を参照してください。

リース資産の減価償却に関する記事はこちら

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監査法人が見るリースの内部統制の監査対応チェックリスト

会計監査で監査人は、リースの計上が漏れなく正確に行われていることを、統制の運用状況とあわせて確かめます。実務では、リース識別や期間の見積りをめぐって監査法人との協議が長引きやすいものです。判断の根拠を先に文書化しておくことが、監査をスムーズに進める鍵になります。監査で問われやすい観点を、対応する統制とセットで下表にまとめました

▼ リースの内部統制|監査対応チェックリスト

監査で問われやすい観点企業側に求められる統制(コントロール)確認
リースの網羅性新規契約・購買データ・支払リース料などの複数の入口から全件を抽出・精査したプロセスを文書化しているか
会計方針の合理性割引率やリース期間の選定基準を社内規程に明記し、承認しているか
計算の正確性計算ロジックや表計算の数式を事前に検証し、承認しているか
統制の運用状況統制を実施した証跡がサンプルで確認でき、例外が出たときの対応を記録しているか
開示情報の適切性注記に必要なリース料の支払予定などを、台帳から適時に出力できるか

網羅性を確かめる出発点は、移行初年度と定常年度で変わります。移行初年度は、旧基準で注記していたオペレーティングリースの残高が出発点になります。ただし、注記に載っていない隠れリースは残高からは拾えないため、賃貸借契約や保守契約まで含めた契約全件の洗い出しをあわせて行います。新基準に移行して以降は、支払リース料の費用勘定を洗えば契約をおおむね拾える、という旧基準の前提が崩れます。オンバランス化でこの勘定は縮小するため、新規契約や購買データ、固定資産に計上されない支払まで含めて、契約を捕捉する必要があります。

これらを紙の契約書と表計算ソフトだけで運用するのは、契約件数が多い企業ほど負担が重くなります。監査対応の負荷を下げるには、契約書の電子化と一元管理を、新基準対応のスケジュールに組み込んでおくことが近道です。

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リースの内部統制の土台は契約書の一元管理と洗い出し

ここまで見てきた統制はすべて、自社のリース契約を漏れなく把握できていることが前提です。ところが実務では、契約書の保管がばらばらです。本社法務は紙、工場は現場のキャビネット、子会社は独自フォーマット。こうして拠点ごとに結ばれた賃貸借契約や設備利用契約が本社経理から見えなくなることが、リース識別漏れの最大の温床になります。契約書が一元的に見えない状態のままでは、計上額の網羅性を立証できません

この課題を解消する出発点が、契約書の集約とリースの識別、そして台帳化です。全社の契約書を一か所に集め、名称にとらわれず実質でリースに該当するかを判定し、期間や料金を台帳に記録します。この3ステップが、網羅性の統制を支える基礎データになります。契約の洗い出しやAIを使ったリース識別の考え方は、こちらの記事でも解説しています。

AIによるリース識別に関する記事はこちら

TOKIUM契約管理は、この統制の土台づくりを支えます。各拠点から回収した紙の契約書は、郵送するだけで非破壊スキャンを代行し、既存のPDFとあわせて契約書を一元管理できます。さらに、契約内容をもとにリースが含まれる可能性をAIが自動で判定し、判定の根拠となった条文を契約書PDF上にハイライトします。各社の会計方針に沿った判定基準や少額リースの基準額も設定でき、判定結果と根拠条文は記録として残ります。契約の網羅的な把握と、判定根拠の説明に役立ちます。

ここで役割をはっきりさせておきます。TOKIUM契約管理が担うのは、3領域のうち網羅的な把握と、判定の記録の部分です。使用権資産やリース負債の計算、再測定、注記データの作成は、会計システム側で行います。契約管理で統制の入口である契約の集約と判定の記録を固め、計算から先は会計システムでつなぐ、という組み合わせになります。また、AIの判定はそれ自体が統制になるわけではありません。AIの判定を経理担当者がレビューして承認する、という人の統制と組み合わせて初めて、監査に説明できる統制になります。

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リース契約の洗い出し3ステップ(散在契約の集約・リース識別・台帳化)の図解

契約書が一元管理でき、AIの一次判定を人が承認する流れができれば、洗い出しの網羅性の確保も判定根拠の記録も、統制として運用しやすくなります。新リース会計基準への対応と内部統制の整備を並行して進めたい方は、機能や導入の流れをまとめた資料をご覧ください

リースの内部統制の整備ならTOKIUM契約管理

新リース会計基準への対応は、使用権資産やリース負債の計算だけでは終わりません。契約を漏れなく把握し、判定と計算の根拠を残し、変更に適時に対応する内部統制を整えて初めて、監査にも耐える体制になります。とりわけ上場企業や大企業では、散在する契約書を一元管理し、網羅性を担保する仕組みづくりが対応の第一歩です。

TOKIUM契約管理なら、契約書のスキャン代行と一元管理に加えて、AIがリースの該当可能性を判定し、根拠となる条文をハイライトします。統制の入口である契約の集約から判定の記録までをひと続きの流れで整えることで、網羅性の統制を運用しやすくなります。リースの内部統制の整備や新リース会計基準への対応をご検討中の方は、機能と導入の流れをまとめた資料をご覧ください

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リースの内部統制に関するよくある質問

リースの内部統制とは何ですか

すべてのリース契約を漏れなく把握し、適切な承認と正確な会計処理を経て財務報告につなげるための業務プロセスとルールのことです。新リース会計基準では契約情報が計上額の基礎になります。そのため、契約の網羅的な把握、見積りの統制、契約変更への適時対応を、仕組みとして整える必要があります。

リースのプロセスはJ-SOXの評価範囲に入りますか

財務報告に与える影響の大きさによります。リース残高が財務諸表に占める割合が大きい企業ほど、リースの業務プロセスが評価対象になりやすくなります。自社のどのプロセスを評価範囲に含めるかは、金額的な重要性と誤りのリスク、契約が拠点に分散していないかで判断します。迷う場合は、監査法人と早めにすり合わせておくと安心です。

中小企業や非上場企業も内部統制の整備が必要ですか

J-SOXの対象は、上場企業やその連結子会社、会計監査人を設置する会社が中心です。中小企業は、中小企業の会計に関する指針などにもとづく従来どおりの会計処理が認められます。ただし、上場企業の連結子会社は、親会社の連結決算のために新基準への対応が必要です。持分法適用会社(親会社が一定の影響力を持つ関連会社)も、影響が重要な場合は親会社から情報の提供を求められることがあります。中小企業のリース会計の扱いは、こちらの記事で解説しています。

中小企業のリース会計に関する記事はこちら

表計算ソフトでの管理のままでは監査に通りませんか

表計算ソフトでの管理が、直ちに認められないわけではありません。ただし計算式の誤りや変更履歴の不備は統制上の弱点になりやすく、契約件数が多いほど検証の負担が増します。表計算ファイルの登録やアクセス制限、変更管理といったEUC統制を効かせるか、システムでの管理に切り替えることで、監査対応の負荷を下げられます。

割引率はどう決めればよいですか

貸手の計算利子率を知り得る場合はその利率を、知り得ない場合は借手の追加借入利子率を使います。追加借入利子率は、通貨や期間、信用リスクをふまえて合理的に決めます。監査では決め方の根拠が問われるため、算定方法と承認、見直しの頻度を社内規程に定めて文書化しておくことが大切です。

隠れリースはどう統制すればよいですか

契約の名称ではなく実質でリースに該当するかを判定するチェックリストを、新規契約の承認フローに組み込むのが基本です。賃貸借契約や保守契約の中にもリースが潜みます。契約書を一元的に集約し、締結の都度に判定を記録する仕組みがあると、取りこぼしを防げます。

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