インボイス制度

インボイス制度で領収書の書き方が変わる!サンプルを使って分かりやすく解説

公開日:2019.11.22更新日:2022.08.24
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2019年10月から消費税が10%へ引き上げられ、併せて飲食料品を中心に消費税を8%に据え置く軽減税率制度が導入されました。

それに伴い、税率ごとに区分した経理処理や申告処理が必要となるため、2023年10月からは新たにインボイス制度が開始します。インボイス制度下では、請求書や領収証などに複数の税率を記載したり、登録番号を記載することなどが必要となっています。

この記事では、インボイス制度における領収書の書き方について、サンプルを用いて具体的に解説します。

インボイス制度ガイド

そもそもインボイス制度とは

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。一言で説明すると、「適格請求書を保存することで、仕入税額控除を受けられる」という制度です。適格請求書(=インボイス)とは、一定の記載要件を満たした請求書、納品書、領収書等の書類のことです。記載要件については後述します。

軽減税率の導入によって経理処理が複雑化する中、課税事業者が納税する消費税額を正確に把握することが、本制度の主たる目的です。ちなみに2023年9月30日までは、インボイス制度までの繋ぎの期間として「区分記載請求書等保存方式」が適用されます。

出典:国税庁|消費税の仕入税額控除制度における
適格請求書等保存方式に関するQ&A

インボイス制度の詳細を知りたい方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。

インボイス制度で領収書はどう変わる?サンプルで確認!

小売店や飲食業など現金商売が中心の事業者は、請求書よりも領収書をやレシートを発行することが圧倒的に多いでしょう。領収書やレシートについても、記載要件さえ満たしていれば、インボイス制度において適格請求書として交付することができます。

レジから自動で打ち出されるレシートを渡す場合が多いですが、手書きの領収書を求められることもあり、その際に何を記載すれば良いのか迷うケースがあるでしょう。

結論から言うと、インボイス制度開始後は、下図の通り1.から9.までの事項を領収書に記入する必要があります。

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  1. 交付を受ける者の氏名または名称
  2. 取引年月日
  3. 取引金額(税込)
  4. 取引の内容
  5. 発行者の氏名または名称
  6. 軽減税率の対象品目である旨(税率、軽減税率等の文言、*などのマークなど)
  7. 税率ごとに合計した対価の額(税込又は税別ともに可)
  8. 税率ごとの消費税額
  9. 登録番号(税務署に申請し登録することが必要)

登録番号とは、適格請求書発行事業者の登録番号のことで、番号の取得には申請が必要となります。なお、申請・登録が可能なのは課税事業者に限られます。

なお、小売業や飲食業といった一部の事業者は、適格請求書の簡易版である「適格簡易請求書」を採用できる場合があります。適格簡易請求書については以下の記事で詳しく解説しています。

参考)請求書等保存方式での領収書の書き方

軽減税率制度の導入前の2019年9月30日までは、「請求書等保存方式」によって領収書を作成することが求められていました。請求書等保存方式における記載事項は以下の通りです。

  1. 交付を受ける者の氏名または名称
  2. 取引年月日
  3. 取引金額(税込)
  4. 取引の内容
  5. 発行者の氏名または名称

参考)区分記載請求書等保存方式での領収書の書き方

2019年10月1日からインボイス制度が導入されるまで、領収書は「区分記載請求書等保存方式」で作成する必要があります。現行の、区分記載請求書等保存方式における記載事項は以下の通りです。

  1. 交付を受ける者の氏名または名称
  2. 取引年月日
  3. 取引金額(税込)
  4. 取引の内容
  5. 発行者の氏名または名称
  6. 軽減税率の対象品目である旨(税率、軽減税率等の文言、*などのマークなど)
  7. 税率ごとに合計した対価の額(税込又は税別ともに可)

複数税率導入により8%と10%が混在することになったので、それまでの請求書等保存方式の記載事項に加えて、6.軽減税率の対象品目である旨 と7.税率ごとに合計した対価の額 の記載が必要になっています。

インボイス制度の導入の背景とは

前述の通り、軽減税率の導入で複数税率状態となる中、取引における正確な消費税額を把握するというのが、インボイス制度の目的です。しかし、その目的だけであれば、必ずしも適格請求書発行事業者を課税事業者に制限する必要はないと考えられます。実は、インボイス制度導入の背景には「益税」の抑制というものがあります。

消費税の「益税」とは、納付されない税金

消費税の益税とは、消費者から集めた消費税が国へ納付されることなく、預かった事業者の利益になってしまうことを意味します。益税の発生原因としては、「免税事業者の益税」と「簡易課税による益税」の2つがあります。

1.免税事業者の益税

売上高が1,000万円以下の事業者は、「免税事業者」として消費税の納付義務が免除されています。しかし、現在の仕組みでは、免税事業者であってもお客様から消費税を請求・回収することができます。免税事業者の回収した消費税は納付する必要がないため、そのまま追加的な利益、すなわち益税になってしまいます。税の公平性の観点から、免税事業者の益税は長年問題とされてきました。

インボイス制度導入は免税事業者の課税転換を促進するため、益税を抑制する効果があると考えられています。

2.簡易課税による益税

消費税は、事業者が消費者から預かった消費税を、仕入や経費で支払った消費税を差し引いた金額で国に納付することが基本です。

消費税の納付額=預かった消費税 − 支払った消費税

一方、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の小規模事業者については 、経理事務などの負担を考慮し、「簡易課税」という簡便な方法による納付が認められています。簡易課税においては、業種ごとに定められた「みなし仕入率」をもとに、以下の計算式で納付額を算出します。

消費税の納付額 = 預かった消費税(1-みなし仕入率)

例えば小売業のみなし仕入れ率は80%ですので、実際の仕入れ率が80%以下であれば、事業者の利益(=益税)となってしまいます。

簡易課税についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

どう対応する?領収書変更に向けた3つのポイント

2023年10月から記載が必要な事項が増える領収書ですが、今の段階からインボイス方式での領収書(上記の1.~9.までを記載する)を発行することがおすすめです。インボイス制度前からインボイス方式の領収書を発行しても、区分記載請求書等保存方式のルールに違反することはありません。

その上で、インボイス制度に対応する上でのポイントを解説します。

ポイント1.レジ導入などIT活用を検討する

軽減税率制度の導入に伴い、複数税率に対応したレジだけでなく適格請求書等保存方式に対応したレジが数多く提供されています。レジがないと税率ごとの計算は非常に面倒で、お客様からのクレームが発生する可能性があります。

経理処理や消費税の申告処理でミスをしないためにも、レジの導入や会計システム連携などシステム化に取り組む必要があります。最近では、事務効率化だけでなく、スマホなどで売上データの分析が可能なクラウド系のレジシステムが注目されています。

ポイント2.手書きの領収書を求められた時の対応を考えておく

お客様をお待たせしないためには、レジから打ち出されたレシート類をお渡しすることが基本となります。ただ、お客様によっては手書きの領収書を求められるケースも少なくありません。

今後、文具メーカーなどから軽減税率やインボイス方式に対応した請求書や領収書などが提供されていくことが予想されます。リニューアルした書式をいち早く購入し、どこに何を書くのかを理解することが大切になります。

また、現在使用している領収書の在庫がある場合には、税率ごとに2枚に分けて発行することもできます。

ポイント3.お客様を待たせないために従業員教育を徹底する

レジの入力操作などの教育と併せて、打ち出されたレシート類に何がどのように表記されているかをレジ担当の従業員に教育することも重要です。特に、レシート類を領収書に転記する際に「どこに何を書けばよいのか」を教え込んでおかないと、お客様を待たせたり間違えてしまったりする可能性もあります。

まとめ

本記事では、インボイス制度における領収書の対応について解説しました。

インボイス制度下では、必要な記載事項を満たしていれば、領収書を適格請求書として交付することが可能です。自社の領収書がインボイス制度に対応できるよう、制度が開始する2023年10月までにしっかりと準備を行いましょう。なお、適格請求書を交付できるのは「適格請求書発行事業者」に限られますので、登録が済んでいない方は速やかに登録申請を行ってください。

なお、適格請求書の交付だけでなく、仕入税額控除を行う側として、受領した適格請求書の保存体制を構築する必要があります。TOKIUMインボイスは、適格請求書の受領からデータ化、保管までをサポートする、インボイス制度に対応したサービスとなっています。ぜひこの機会にシステム導入を検討してみましょう。

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