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ペーパーレス化を進めると、最後まで紙に残りやすいのが印鑑(ハンコ)です。稟議書や請求書、契約書の押印が一か所でも紙のままだと、印刷して回覧し、押して郵送する流れが消えません。
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印鑑のペーパーレス化は、社内の押印と社外の押印を分けて打ち手を変えるのが近道です。社内の承認はワークフローでの電子承認に、社外の契約は電子契約に置き換えると、押印のためだけに出社する状況がなくなります。電子印鑑と電子署名の違いから、企業が脱ハンコを進める手順、電子帳簿保存法への対応までを順に整理します。
ペーパーレス化で印鑑はどうなる?
紙に押していた印鑑を、用途に応じて電子的な押印や承認に移すかたちです。どれを選ぶかは、社内文書か社外との契約か、法的な証明がどこまで必要かで決まります。
紙の印鑑が残ると起きること
印鑑が紙のまま残ると、承認が物理的な場所と時間に縛られます。書類を印刷し、承認者の席へ運び、押印を待ち、郵送する。この一連が一か所でも残ると、ペーパーレス化の効果は途中で止まります。押印待ちで決裁が数日単位で遅れることも珍しくありません。テレワーク中に押印のためだけに出社する、押し間違いで刷り直す、といった手戻りも紙特有のものです。
印鑑を電子化する3つの選択肢
電子化の選択肢は3つあり、書類の性質で使い分けます。社内の簡易な書類なら電子印鑑(印影画像)、本人性や改ざん防止が要る契約書なら電子署名、契約締結そのものをオンラインで完結するなら電子契約サービスです。
選び方の目安はシンプルです。社内で完結する書類は電子印鑑、相手と取り交わす書類は電子署名や電子契約、と覚えておくと迷いません。最初からすべてを電子契約に揃える必要はなく、押印の重さに合わせて手段を変えると、現場の負担もコストも抑えられます。3つを別々のツールでばらばらに入れるより、申請から保管まで一つの流れでつながる仕組みを選ぶと、運用が散らかりません。
▼ 印鑑を電子化する3つの選択肢と使い分け
| 選択肢 | 主な用途 | 法的な強さ |
|---|---|---|
| 電子印鑑(印影画像) | 社内の稟議書・経費精算・見積書など | 弱め(簡易な承認向き) |
| 電子署名 | 契約書など本人性・改ざん防止が必要な書類 | 強い(誰がいつ押したかを証明) |
| 電子契約サービス | 取引先との契約締結をオンラインで完結 | 強い(電子署名+タイムスタンプ) |

電子印鑑と電子署名の違いと法的効力
電子印鑑と電子署名の違いは、本人性と改ざん防止の有無です。電子印鑑はハンコの印影を画像にしたもので、見た目は紙の押印に近い一方、それ単体では誰がいつ押したかまでは証明できません。電子署名は印影に加えて、押した人と日時をデータで記録し、後からの改ざんを検知できます。
印影画像の電子印鑑と、証明機能つきの電子署名
使い分けの軸は、その書類に証拠としての強さがどこまで必要かです。対外的な契約や、後で「本人が確かに合意した」と示す必要がある書類は、電子署名やタイムスタンプ付きの形式が向きます。重要な契約書を印影画像だけで済ませると、改ざんやなりすましのリスクが残ります。
▼ 電子印鑑と電子署名の違い
| 項目 | 電子印鑑(印影画像) | 電子署名 |
|---|---|---|
| 本人性の証明 | 弱い | 強い(誰が押したかを記録) |
| 改ざん検知 | なし | あり(タイムスタンプ) |
| 主な用途 | 社内の簡易な承認 | 契約書など重要書類 |
もう一つの違いがタイムスタンプです。電子署名には、その時刻に文書が存在し、その後に書き換えられていないことを示すタイムスタンプを組み合わせられます。これにより、いつの合意かと、改ざんされていないことの両方を後から証明できます。印影を画像にしただけの電子印鑑には、この時刻と非改ざんの証明がありません。
電子印鑑に法的効力はあるのか
電子印鑑にも法的効力は認められますが、形式によって強さが変わります。日本では契約に押印が必須というわけではなく、合意の事実を示せれば契約は成立します。印影画像でも社内では十分に機能する一方、裁判などで証拠として強く主張したい書類は、電子署名法が定める要件を満たす電子署名のほうが安心です。
難しく見えますが、要するに、本人性と非改ざんを示せる電子署名なら、紙のハンコと同じように証拠として通用するということです。社内の回覧は手軽な電子印鑑、対外的な契約は要件を満たす電子署名、と書類の重要度で形式を選ぶのが現実的です。
社内の押印と社外の押印を分けて考える
印鑑のペーパーレス化は、社内の押印と社外の押印を分けて考えると進めやすくなります。社内の承認はワークフローでの電子承認、社外の契約は電子契約に置き換えるのが基本形です。同じ「脱ハンコ」でも、相手が社内か取引先かで必要な仕組みも合意の取り方も変わるためです。

社内の押印はワークフローの電子承認に置き換える
社内の押印は、システム上で承認ボタンを押す電子承認に置き換えられます。対象になるのは稟議書、経費精算、購買や出張の申請、請求書の支払承認など、印影そのものよりも「承認した事実」が大事な書類です。申請から上長承認、部門長承認、経理確認までを一つの流れにすると、回覧や押印待ちがなくなり、在宅でも決裁が進みます。
社外の押印は電子契約で合意する
取引先との契約書は、電子契約サービスで締結します。電子署名とタイムスタンプで合意の事実と日時を残せるため、紙に押印して郵送するやり取りが不要になります。導入前に取引先が電子契約に対応できるかを確認し、難しい相手とは当面紙を併用するのが現実的です。
官公庁や法令で印鑑が残る書類もある
官公庁への一部の手続きや、法令・業界ルールで押印が定められた書類は、紙の印鑑が残る場合があります。脱ハンコは「全廃」を急ぐより、不要な押印から順に減らす進め方が無理がありません。
印鑑をペーパーレス化するメリット
印鑑のペーパーレス化は、コストと時間と統制の3つで効きます。紙と押印にかかっていた手間が減り、承認が速くなり、誰がいつ承認したかが記録に残ります。
▼ 印鑑をペーパーレス化する主なメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| コスト削減 | 印刷代・郵送費・保管スペースが減る。電子契約は収入印紙が不要 |
| 決裁スピード | 回覧や押印待ちがなくなり、承認が当日中に進む |
| リモート対応 | 出社せず自宅や外出先から申請・承認・契約できる |
| 内部統制の強化 | 誰がいつ何を承認したかがログに残り、不正やミスを防ぎやすい |
見落とされやすいのが、収入印紙と内部統制です。紙の契約書に必要だった収入印紙は、電子契約では課税文書にあたらず印紙税がかからないため、契約件数が多い企業ほど差が出ます。電子承認では承認の履歴がそのまま証跡になり、紙の印鑑より後から追いやすくなります。誰がいつ承認したかが自動で残るので、監査や内部統制の確認も探しやすくなります。
日々の効きめが大きいのは、場所に縛られない承認です。出社して押印する必要がなくなり、在宅や出張先からでも申請と承認が進みます。電子化した書類は検索で一発で見つかり、キャビネットを探したり、保管スペースを確保したりする手間も消えます。大企業ほど書類の量と承認の階層が多いため、紙のときの探す時間や運ぶ時間がそのまま削減につながります。
ペーパーレス化・脱ハンコが進まない理由と対策
脱ハンコが進まない原因は、技術よりも社内の慣れと取引先の都合にあります。ツールを入れても運用と合意設計でつまずくと、紙が残り続けます。
「紙やハンコのほうが安心」という心理的抵抗
長く紙で運用してきた職場ほど、デジタルへの不安が残ります。変えること自体への抵抗には、目的とルールの共有が効きます。なぜ脱ハンコを進めるのか、どの書類から変えるのかを先に決めて伝えると、現場の納得を得やすくなります。
電子で回しても結局紙に印刷してしまう
ありがちな失敗が、申請をデータにしながら、確認や保管のために結局印刷してしまうケースです。紙をPDFにしただけでは手間は減りません。申請から承認、保管までを一つの流れで電子化して初めて、紙に戻らない運用になります。
取引先がハンコ前提で社外を巻き込めない
自社だけ電子化しても、相手が紙の契約しか受け付けないと脱ハンコは止まります。取引先には電子契約のメリットを説明して協力を依頼し、対応が難しい相手とは移行期に紙と電子を併用します。社内から始めて社外へ広げる順番だと、巻き込みの負担を抑えられます。
企業がペーパーレス化で脱ハンコを進める5ステップ
脱ハンコは、書類の棚卸しから始めて段階的に進めるのが定石です。一度に全廃しようとすると社内も取引先も混乱します。
▼ 企業がペーパーレス化で脱ハンコを進める5ステップ
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 棚卸しと優先順位づけ | どの書類になぜ押印しているかを一覧にし、不要な押印から見直す |
| 2. 社内規定の見直し | 職務権限規程・文書管理規程を電子承認に合わせて改定する |
| 3. ツール選定 | ワークフローや電子契約のツールを、対象書類と運用に合わせて選ぶ |
| 4. 運用ルールと周知 | 承認フローを決め、現場に使い方と目的を伝える |
| 5. 取引先への協力依頼 | 社外の契約は取引先に電子契約を依頼し、難しい相手は紙を併用する |
最初の関門は、ステップ2の社内規定です。「部長印が必須」「全員回覧」といった慣習的なルールが残ったままだと、ツールを入れても紙の運用に引き戻されます。棚卸しで押印の理由を洗い出し、本当に必要な承認だけを電子フローに落とし込むと、後の定着がスムーズになります。承認者が多すぎる回覧は、この機会に段数を見直すと効果が大きくなります。
進め方のコツは、いきなり全社展開しないことです。まずは件数が多く効果の見えやすい一部の書類から小さく始め、運用が回ることを確かめてから対象を広げます。ツールを選ぶときは、申請から承認、データ化、電子帳簿保存法に対応した保管までを一つでまかなえるかを見ると、後から別ツールを継ぎ足す手間を防げます。社外との契約まで含めるなら、取引先側の負担が軽い仕組みかどうかも確認しておくと、巻き込みがスムーズです。

ペーパーレス化した印鑑書類と電子帳簿保存法
電子化した契約書や証憑は、電子帳簿保存法の保存要件に沿って管理する必要があります。電子データでやり取りした請求書や契約書は、紙に印刷して保存するのではなく、改ざん防止や検索性などの要件を満たした形で電子のまま残すのが原則です。
脱ハンコを進めるなら、押印の電子化と書類の保存方法はセットで考えると安全です。承認を電子化しても保存が要件を満たしていないと、後の税務対応でつまずきます。タイムスタンプや検索機能を備えたツールを選ぶと、保存まで一気通貫で整います。
脱ハンコの次は、経費と請求書のペーパーレス化へ
印鑑や押印の紙をなくすと、同じ手間が別の書類にも残っていることに気づきます。経費精算の領収書、受け取った請求書、契約書などの証憑も、回収・確認・保管の負担は押印とよく似ています。脱ハンコは、経理を含むバックオフィス全体をペーパーレス化する入り口にできます。
経費や請求書は、電子帳簿保存法の要件に沿って電子のまま保存できます。スキャナ保存や電子取引データにはタイムスタンプや訂正・削除履歴などの要件があり、対応したシステムなら紙原本の保管をやめながら法要件も満たせます。TOKIUMは経費精算・請求書受領・契約管理・電子帳簿保存を一つの仕組みで提供し、たとえば経費精算は領収書をスマホで撮って申請、承認は1タップ。データ化精度99%・JIIMA認証で電子帳簿保存法に対応し、紙に戻さず残せます。 出典:TOKIUM経費精算(公式サービスサイト)/TOKIUMインボイス(公式サービスサイト)(最終確認日:2026年7月7日)
受け取った請求書の受領と電子保存はTOKIUMインボイスが担うため、経費はTOKIUM経費精算、請求書はTOKIUMインボイスと書類の種類に応じて任せられます。累計導入は3,000社を突破し(2025年11月末時点)、完全ペーパーレス化で作業時間を月200時間以上削減した事例もあります。印鑑の電子化を進めるこのタイミングで、経費や請求書のペーパーレス化もあわせて見直すと、紙と手作業を一度に減らせます。 出典:株式会社TOKIUM ニュース(最終確認日:2026年7月7日)/株式会社TOKIUM プレスリリース・導入事例(最終確認日:2026年7月7日)
何から電子化すればよいか整理したい方に向けて、ペーパーレス化の進め方をまとめた資料をご用意しています。詳しくはこちらからお問い合わせ・ダウンロードください。
ペーパーレス化と印鑑に関するよくある質問
電子印鑑は無料で作れますか
印影画像の電子印鑑なら、無料で作れます。紙に押した印鑑をスマートフォンで撮影し、背景を透過する無料ツールで画像化すれば、WordやExcel、PDFに挿入できます。ただし画像だけのものは改ざんに弱いため、社内の簡易な書類向きです。
電子印鑑がダメと言われるのはなぜですか
画像だけの電子印鑑は、本人性や改ざん防止の機能を持たないからです。誰でもコピーして使えてしまうため、重要な契約書には向きません。法的な証明が必要な書類では、電子署名やタイムスタンプ付きの電子契約を使うと安心です。
PDFに印鑑を押すにはどうすればよいですか
無料のPDF閲覧ソフトの入力・署名機能を使うと、作成した印影画像をPDF上に配置できます。社内の回覧用ならこの方法で十分です。対外的な契約では、電子契約サービス上で電子署名を付けるのが一般的です。
電子帳簿に印鑑は必要ですか
電子帳簿保存法のうえで、印鑑そのものは必須ではありません。重要なのは、改ざん防止や検索性などの保存要件を満たすことです。電子取引でやり取りした請求書や契約書は、要件に沿って電子のまま保存します。





