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取引先からのFAXを止められない企業は多い。インターネットFAX・複合機の転送機能・FAXサーバーと選択肢はあるが、どれを選べばいいかわからないまま紙の運用が続いている。加えて、受け取ったFAXが請求書や注文書であれば、電子帳簿保存法の保存義務への対応も欠かせない。
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この記事では、ペーパーレスFAXの3つの導入方法とメリット・デメリットを整理したうえで、FAXのペーパーレス化が進まない理由、電子帳簿保存法の対応要件、受信FAX証憑の電子保存まで、大手企業の情シス・総務・経理担当者向けに解説します。
ペーパーレスFAXとは
ペーパーレスFAXとは、FAXの送受信を紙に出力せず、PDFや電子データのまま処理・保存する仕組みのことです。受信したFAXをサーバーや共有フォルダ、メールに転送し、パソコンやスマートフォンで確認・管理します。紙の印刷・仕分け・回覧・ファイリングという一連の手作業が不要になるのが、従来の紙FAXとの根本的な違いです。
電子データとして送受信・保存する仕組み
受信したFAXは、複合機やインターネットFAXサービスを経由して電子データ(PDF等)に変換されます。変換されたデータは共有フォルダやメール、クラウドストレージに自動で届き、担当者が画面上で確認・承認できます。受信した瞬間にデータが届くため、出社して印刷物を取りに行く手間がなくなります。

ペーパーレスFAXで電子化できる書類
ペーパーレスFAXで電子化できる書類は、送信するものと受信するもの両方です。特に受信する書類は、請求書・注文書・納品書など「証憑」に該当するものが多く、電子帳簿保存法の対象にもなります(後述)。
▼ ペーパーレスFAXで電子化できる主な書類と電帳法の関係
| 書類 | 送受信の方向 | 電子取引(電帳法)該当 |
|---|---|---|
| 請求書 | 受信が中心 | ○(電子データで受け取った場合) |
| 注文書・発注書 | 送受信両方 | ○(電子データのやり取りの場合) |
| 納品書 | 受信が中心 | ○ |
| 見積書 | 受信が中心 | ○ |
| 各種申請・社内文書 | 送信が中心 | △(取引に関わる文書は対象になる場合あり) |
出典:国税庁「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」7-8「ファクシミリの取扱いについて」(最終確認日:2026年7月7日)
ペーパーレスFAXの3つの導入方法
ペーパーレスFAXの導入方法は、大きく3つに分けられます。既存のFAX番号を維持できるかどうか、導入コスト、受信量の規模という3軸で選択肢が変わります。
▼ ペーパーレスFAXの3つの導入方法
| 方式 | 特徴 | 既存番号 | 向いている規模・用途 |
|---|---|---|---|
| ①インターネットFAX(クラウドFAX) | クラウドサービスを契約し、050番号でFAX送受信。専用機器不要。 | △(番号変更が原則) | 少量〜中量。番号変更を取引先に案内できる場合 |
| ②複合機のPC-FAX・転送機能 | 既存複合機の設定で受信FAXを共有フォルダ・メールへ転送。 | ○(現行番号を維持) | 既存複合機がある中堅〜大手企業 |
| ③FAXサーバーの構築 | 専用サーバーで大量受信・基幹システム連携に対応。 | ○ | 大量受信・受発注連携が必要な大手企業 |
①インターネットFAX
インターネットFAXは、クラウドサービスに申し込むだけで始められる最も手軽な方式です。専用のFAX機器や回線が不要で、送受信したFAXはメールやWebブラウザで確認できます。注意点は、サービス提供の050番号を使うため、現在のFAX番号から変更が必要になる点です。取引先への番号変更の案内と受け入れが前提になるため、番号変更が難しい企業には②・③の方式が現実的です。
②複合機のPC-FAX・転送機能
すでに複合機を導入している企業なら、機器の設定変更だけでペーパーレス化を始められます。受信したFAXを自動でPDF化し、指定の共有フォルダやメールアドレスへ転送する機能が、多くの複合機に標準搭載されています。現在のFAX番号をそのまま使えるため、取引先への案内が不要です。テレワーク中でも受信FAXを社内のフォルダやメールで即座に確認できる点が、出社を前提にしてきた運用からの最も現実的な移行策です。
③FAXサーバーの構築
FAXサーバーの構築は、1日に大量のFAXを受信する企業や、基幹システム・受発注システムとFAXデータを直接連携したい大手企業向けの方式です。専用サーバーを社内またはクラウドに構築し、受信したFAXを自動で仕分け・振り分け・システム連携まで行います。初期コストはかかりますが、受信量が多いほど処理の自動化効果が大きく、複数拠点の一元管理にも対応できます。受発注業務でFAXが大量に届く製造業・卸売業の大手企業では、まずこの方式の検討が現実的です。
ペーパーレスFAXのメリット
ペーパーレスFAXのメリットは、コスト削減・業務効率化・テレワーク対応・セキュリティ向上の4点に集約されます。
▼ ペーパーレスFAXの主なメリット
| メリット | 紙運用との比較で変わること |
|---|---|
| コスト削減 | 用紙・トナー・印刷費が不要。大手では年間数十万円単位のコスト圧縮になるケースも。 |
| 業務効率化 | 受信と同時にデータが届くため、仕分け・回覧・ファイリングの手作業がなくなる。 |
| テレワーク対応 | 出社せずにFAXを確認・処理できるため、リモート環境でも経理・購買業務が止まらない。 |
| セキュリティ向上 | 印刷物の紛失・盗み見リスクがなくなる。アクセス権限の管理もデータで一元化できる。 |
大手企業では特に業務効率化の効果が大きく出ます。毎日数十〜数百枚のFAXを受信する企業では、印刷・仕分け・回覧にかかっていた工数が電子化によってほぼゼロになります。受信ログが自動で蓄積されるため、「あのFAXはどこへ行ったか」という探索の手間もなくなります。
ペーパーレスFAXのデメリット・注意点
ペーパーレスFAXの注意点は、手書きの制約・FAX番号の変更・業務フローの見直しの3点です。いずれも事前に対策を決めておけば導入後の混乱を防げます。
手書きメモや手書き送信ができなくなる
紙のFAXでは受け取った書類に手書きでメモを書き込んだり、手書きした文書をそのまま送信したりできます。ペーパーレスFAXに切り替えると、データ上での注記ツール(PDFへのコメント機能など)に代えることになります。手書き文書の送信は、スキャンしてPDF化するひと手間が加わります。手書き運用が残る業務を事前に洗い出し、代替手段を決めてから移行するのが現実的です。
インターネットFAXはFAX番号が変わる
インターネットFAXサービスを使う場合、原則として050番号の新しいFAX番号が発番されます。現在の番号から変更になるため、取引先への周知と受け入れが必要です。番号変更が難しい場合は、複合機の転送機能またはFAXサーバーを選ぶことで現行番号を維持できます。
業務フローとルールの見直しが必要
紙の受け取り→判子→回覧という承認フローをデジタルに置き換えるには、誰がどの画面で確認・承認するかを社内ルールとして決め直す必要があります。アクセス権限の設定を怠ると、機密性の高いFAX(契約書・価格情報など)が関係者以外に見られるリスクもあります。導入前に承認フローと権限管理の設計を終わらせてから切り替えるのが、大手企業では特に重要です。
FAXのペーパーレス化が進まない理由と大手での進め方
FAXのペーパーレス化が進まない最大の理由は、ツールの問題ではなく取引先と社内文化にあります。技術的に可能でも、相手が紙FAXを前提としている限り、受信側の紙は減らせません。
取引先が紙FAX前提=受信FAXの電子化が最大の壁
「自社はFAXをやめたくても、取引先がFAXでしか発注してこない」という声はUGC上でも頻出します。この場合、自社の送信をペーパーレスにすることはできても、受信する紙は減りません。現実的な対策は、受け取った紙FAXをスキャナや複合機で電子化して保存するルートと並行しながら、段階的にインターネットFAX対応の取引先を増やしていくことです。大手企業ではまず受信FAXの電子保存体制を整えることが先決で、発信側の切り替えは取引先の状況に合わせて後追いするのが現実的です。
ハンコ・回覧文化と現場の心理的抵抗
紙FAXには「受け取った書類に判を押して回覧する」という確認文化が付随しています。この仕組みをデジタルに移す際、承認フローをどう置き換えるかが定まらないと現場の抵抗が生まれます。対策として有効なのは、電子承認の記録が紙の判子より追跡しやすいことを具体的に示し、「誰が・いつ・何を承認したか」が一目でわかる状態を早期に体験させることです。最初から全業務の電子化を目指すより、受信量の多い書類を1種類選んで試験導入し、効果を体感してもらう方が定着しやすくなります。
ペーパーレスFAXの電子帳簿保存法対応
ペーパーレスFAXで電子化した書類のうち、取引に関わるもの(請求書・注文書・納品書など)は、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当します。電子取引データは、2024年1月から電子データのまま保存することが義務づけられています。
電子データで送受信したFAXは「電子取引」に該当
電子取引とは、取引に関して電磁的方式で授受された取引情報のことです。複合機のFAX機能や、インターネットFAXを通じてデータ形式で送受信した場合、国税庁の通達では「電子取引に該当する」と明記されています。一方、書面(紙)をスキャンして送り、相手が紙として受け取る従来の紙FAXは電子取引に該当しません。電子データで送受信した場合のみ、電子帳簿保存法の対象になる点を正確に理解しておく必要があります。
国税庁の電子帳簿保存法取扱通達解説では、通常のFAXは書面による取引として取り扱う一方、複合機等のファクシミリ機能を用いて電磁的記録により送受信し、その電磁的記録を保存する場合は「電子取引」に該当するとされています。
出典:国税庁「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」7-8「ファクシミリの取扱いについて」(最終確認日:2026年7月7日)
電子取引データの保存要件
電子取引データを適法に保存するには、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2要件を満たす必要があります。
▼ 電子取引データに求められる2つの保存要件(電子帳簿保存法)
| 要件 | 内容 | 主な対応方法 |
|---|---|---|
| 真実性の確保 | 保存したデータが改ざんされていないことの担保 | タイムスタンプの付与、または訂正・削除の履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の整備 |
| 可視性の確保 | 必要なときにすぐ確認・出力できる状態 | 取引年月日・金額・取引先で検索できる状態の整備、ディスプレイ・プリンタの備付け |
受け取ったFAXデータを紙に印刷して保存するだけでは不可
電子FAXで受け取ったデータを紙に印刷して保管するだけでは、電子帳簿保存法の要件を満たしません。2024年1月以降は、電子取引データを「電子データのまま」保存することが義務です。つまり「プリントアウトしてファイリング」という従来の紙FAX運用をそのまま電子FAXに持ち込むのは法令違反になります。受け取ったデータは、改ざん防止の要件を満たした状態でシステム上に保存する体制が必要です。
受信FAX証憑を電帳法対応で電子保存する方法
大手企業で受信FAXが課題になりやすいのは、請求書・注文書・納品書といった証憑の扱いです。取引数が多い大手ほど、受信量が多く仕分け・保存の手間が積み重なります。電子帳簿保存法の要件を満たしながら受信FAX証憑を電子保存するには、次の3つのステップが基本になります。
▼ 受信FAX証憑を電帳法対応で電子保存する3ステップ
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①受信FAXの電子化 | 複合機・インターネットFAXでPDF化。紙FAXはスキャナでデータ化。 | 発生源でのデータ化が理想。後からスキャンするフローは手間が増える。 |
| ②取引情報の付与 | 受領日・取引先・金額を電子データに紐づけて保存。 | 検索要件(可視性)を満たすため、最低3項目の情報付与が必要。 |
| ③改ざん防止の担保 | タイムスタンプ付与またはシステムによる訂正・削除防止措置。 | 事務処理規程の整備でも代替可。自社で判断が難しい場合はシステムで対応するのが安全。 |
紙FAXで届いた請求書・注文書は「電子取引」には該当しませんが、スキャナ保存の要件を満たしてデータ化することで電帳法に対応した電子保存が可能です。いずれのルートでも、受領からデータ化・保存まで一連のフローをシステムで自動化すると、担当者の手作業を大幅に減らせます。

TOKIUMインボイスは、受信した請求書のデータ化・仕訳・電帳法対応保存を一元化するサービスで、上場企業を含む300社以上の企業で導入されています。受信FAXで届く請求書も対象で、受領した請求書のデータ化・仕訳業務の自動化により年間約480時間の工数削減が見込まれる事例があります。 出典:TOKIUMインボイス公式(導入事例:シン・コーポレーション株式会社)(最終確認日:2026年7月7日)
ペーパーレスFAXサービスの選び方
ペーパーレスFAXサービスを選ぶ際は、既存番号の維持・費用・セキュリティ・基幹システム連携の4軸で比較します。大手企業では、基幹システムや受発注システムとのAPI連携可否が選定の分かれ目になります。
▼ ペーパーレスFAXサービスの選定軸
| 選定軸 | 確認するポイント |
|---|---|
| 既存FAX番号 | 現行番号をそのまま使えるか(使いたければ複合機転送またはFAXサーバーを選ぶ)。 |
| 費用対効果 | 月額・初期費用に加え、印刷コスト・人件費削減との比較で判断。従量課金か定額かも確認。 |
| セキュリティ | アクセス権限管理・監査ログの有無。機密FAXの閲覧制御ができるか。 |
| 電帳法対応 | タイムスタンプ付与・削除防止機能・検索要件(日付/金額/取引先)の充足。JIIMA認証の有無。 |
| 基幹・受発注連携(大手向け) | ERPや受発注システムとのAPI連携・自動仕分け機能の有無。FAXサーバー型は特に確認。 |
| 受信量・拡張性 | 1日・月間の受信枚数に対応できるか。拠点が増えた際にスケールできるか。 |
ペーパーレスFAXの導入ステップ
ペーパーレスFAXの導入は、現状把握から始めてルール・ツール・試験導入・全社展開という流れで進めます。特に大手企業では、既存番号・基幹連携・電帳法対応の3点を先に確認しておくと後戻りを防げます。
▼ ペーパーレスFAXの5ステップ導入フロー
| ステップ | やること |
|---|---|
| ①現状把握 | 受信FAXの月間量・書類の種類・既存番号の変更可否・複合機の機種・基幹システムの連携要件を洗い出す。 |
| ②方式の選定 | インターネットFAX・複合機転送・FAXサーバーの3方式から自社条件に合うものを決める。 |
| ③ルール整備 | 電帳法対応の保存要件(真実性・可視性)を満たす運用ルール・事務処理規程を策定する。 |
| ④試験導入 | 受信量の多い書類1種類(例:請求書)で試験運用し、担当者の操作感・電帳法要件の充足を検証する。 |
| ⑤全社展開 | 試験結果をもとに設定を調整し、全拠点・全書類種別へ展開。取引先への案内も済ませる。 |
最初の現状把握で受信量と書類種別を把握しておかないと、サービスを選んだ後に容量不足や電帳法要件の未充足が発覚します。特に電帳法対応は事後の改修が難しいため、ステップ③のルール整備と同時に確認するのが確実です。
ペーパーレスFAXの次は、受け取った請求書の電子化へ
FAXをペーパーレス化して受信の紙をなくせても、届いた書類そのものの処理は残ります。なかでもFAXで届く請求書は、データ化・仕訳・電帳法対応保存という後工程の負担が大きく、ここまで電子化できると経理・購買部門の手作業が大幅に削減されます。
TOKIUMインボイスを導入した三好不動産では、受領した請求書の処理業務における年間約450時間の工数削減が見込まれています。FAXで届く請求書を含む証憑のデータ化・電帳法対応保存をシステム化することで、月次決算の早期化にもつながっています。 出典:TOKIUMインボイス公式(導入事例:三好不動産)(最終確認日:2026年7月7日)
ペーパーレスFAXの検討と同じタイミングで、受け取った請求書の電子化・電帳法対応もあわせて見直すと、受信から保存までの紙と手作業を一度に減らせます。
TOKIUMでは、経理AIエージェントの活用で、請求書の受領から取引書類の保存まで一元管理できるプラットフォームを提供しています。
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よくある質問
家庭用FAXとペーパーレスFAXは何が違うのか
家庭用FAXとペーパーレスFAXの違いは、主に目的と受信量にあります。家庭用FAXは個人の連絡手段として使われるのに対し、法人のペーパーレスFAXは受発注・請求書受領など取引書類の送受信を電子化し、電子帳簿保存法への対応を含む業務システムとして使います。受信量・セキュリティ要件・電帳法対応の有無が法人導入を選ぶ際の判断軸です。
無料でペーパーレスFAXを始めることはできるか
無料プランを提供するインターネットFAXサービスもありますが、受信枚数の上限や機能制限が設けられています。法人での実運用(請求書・注文書など証憑の受信・電帳法対応保存)には、有料プランへの移行が現実的です。複合機の転送機能を使う方法は追加費用が少なく済みますが、電帳法対応の保存システムは別途必要になります。
取引先が紙FAXしか使わない場合はどうすればよいか
取引先が紙FAXのままでも、受信した紙を複合機やスキャナでPDF化すれば、受信側からペーパーレス化を進められます。紙FAXは「電子取引」に当たらず電子データ保存義務は生じませんが、スキャナ保存の要件を満たせば電帳法対応の電子保存も可能です。





