電子帳簿保存法

製造業の電子帳簿保存法対応|対象書類・要件・進め方を解説

更新日:2026.07.15

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製造業電子帳簿保存法_進め方

製造業でも、電子帳簿保存法への対応は原則としてすべての法人と個人事業主に求められます。とくに2024年1月以降は、メールやEDIといった電子でやり取りした注文書・請求書などを、紙に印刷しただけの方法では保存できなくなりました。

→ダウンロード:電子帳簿保存法対応 39のチェックリスト

製造業は取引先が多く、FAXの注文書や紙の検収書、工場ごとに保管された証憑など、扱う帳票の種類も量も膨大です。どの書類が電子保存の義務なのか、どこから手を付けるのかを、対象書類・保存要件・進め方の順に整理します。

製造業も電子帳簿保存法の対象になる

電子帳簿保存法は、法人税や所得税に関係する帳簿・書類について、電子データでの保存を認める条件を定めた法律です。対象は原則として法人と個人事業主の全体で、製造業も例外ではありません。

電子帳簿保存法とは何か

電子帳簿保存法が定める保存の区分は3つあります。自社の会計ソフトで作った帳簿を電子のまま残す電子帳簿等保存、紙の書類をスキャンして電子化するスキャナ保存、そしてメールやWebでやり取りした電子取引データの保存です。

このうち電子取引データの保存は、2024年1月から紙に出力しての保存では要件を満たせなくなり、電子データのまま残すことが必要になりました。 出典:国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト(最終確認日:2026年7月15日)

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製造業で対応が急務になっている背景

製造業で対応が急がれる理由は、扱う帳票の量と受け取り経路の多さにあります。多数の仕入先や外注先とやり取りするため、注文書や請求書がFAX、メール、取引先システムからのダウンロードと、経路ごとにばらばらに届きます。

さらに、工場や営業所が分かれていると証憑の保管場所も分散します。経理が少人数の現場では、こうした書類の受領と保存を担当者個人が抱え込みやすく、担当者の退職で対応が止まるリスクも無視できません。

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製造業で電子帳簿保存法の対象になる書類

製造業で電子帳簿保存法の対象になる書類は、電子と紙のどちらで受け取ったかによって保存の扱いが変わります。電子でやり取りしたものは電子データのまま保存が必要で、紙で受け取ったものはスキャナ保存か紙のままの保管かを選べます。全体像は次の表のとおりです。

▼ 製造業で扱う主な書類と電子帳簿保存法の扱い(受け取り方で区分が変わる)

主な書類よくある受け取り方電子帳簿保存法での扱い
注文書・注文請書EDI・メール添付・FAX(複合機でPDF受信)電子で受け取れば電子取引=電子保存が必須
見積書・仕様書メール添付・取引先システム電子で受け取れば電子取引=電子保存が必須
請求書・領収書郵送(紙)・メール添付・Webダウンロード電子は電子保存、紙はスキャナ保存か紙保管
検収書・納品書郵送(紙)・手渡し・システム連携電子は電子保存、紙はスキャナ保存か紙保管
仕訳帳・総勘定元帳・決算書自社の会計システムで作成電子帳簿等保存(電子保存は任意)

受発注で扱う書類

受発注で扱う注文書や発注書、注文請書は、EDIやメールで授受した時点で電子取引データにあたります。この場合、紙に印刷して保管する対応は認められません。受け取ったデータをそのままの形で保存します。部品や資材の調達サイトからダウンロードした領収書や請求書も、扱いは同じです。

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製造業に特有の書類

製造業では、検収書や納品書、部品ごとの仕様書といった書類も日常的にやり取りします。紙で受け取れば紙のまま保管もできますが、スキャナ保存に切り替えれば保管スペースを減らせます。電子で受け取ったものは電子取引データとして残す必要がある点は、他の書類と変わりません。

検収書は、発注した部品や製品が納品条件どおりかを確認した記録で、支払いの根拠となる重要な証憑です。取引先とシステム連携で授受している場合は電子取引データにあたるため、受領した形式のまま要件を満たして保存します。手書きや紙でのやり取りが残っている場合は、スキャナ保存への切り替えを検討すると管理がそろいます。

製造業の書類と電子帳簿保存法の区分早見表

電子帳簿保存法の3区分と保存要件

満たすべき保存要件は、3つの区分それぞれで違います。共通して求められるのは、データが改ざんされていないことを担保する真実性と、必要なときに探し出せる可視性の2つです。

電子取引データ保存(2024年から義務化)

電子取引データ保存は、3区分のなかで唯一すべての事業者に義務づけられた区分です。メールやEDI、Webサイトを通じて授受した書類が対象で、データのまま要件に沿って残します。紙に印刷して保存し、電子データを捨てる運用は認められません。

保存では、真実性と可視性という2つの要件を満たさなければなりません。真実性はデータが改ざんされていないことを担保するもので、タイムスタンプの付与や、訂正削除の履歴が残るシステムの利用、事務処理規程の整備のいずれかで対応します。可視性は、ディスプレイやプリンタですぐに確認でき、検索もできる状態のことです。

スキャナ保存と電子帳簿等保存

スキャナ保存は、紙で届いた請求書・検収書を読み取り機やスマホで画像化して保存する方法です。電子帳簿等保存は、会計システム上で作り上げた帳簿・決算書類をデータの形のまま保管する区分です。どちらも導入は任意ですが、紙の保管を減らすために合わせて進める企業が増えています。

検索要件を満たすための管理

電子取引データやスキャナ保存では、保存したデータをあとから検索できるようにしておきます。検索の条件として取引年月日・取引金額・取引先の3項目を指定できることが求められます。無料で対応するなら、事務処理規程を整えたうえで、ファイル名を「日付_取引先_金額」の形式でそろえて探せるようにする方法があります。

電子取引の電子保存制度対応チェックリスト

電子帳簿保存法での保存期間と対応しない場合のリスク

電子帳簿保存法の対象書類には、法律で定められた保存期間があります。要件どおりに保存できていないと、税務上の不利益につながるおそれもあるため、期間とリスクの両方を押さえておきます。

書類の保存期間

注文書や請求書などの国税関係書類は、法人の場合、原則としてその事業年度の確定申告の期限の翌日を起点に7年間の保存が必要です。欠損金が生じた事業年度では、保存期間が最長10年に延びます。電子取引データも同じ期間、要件を満たした状態で保存します。

対応しない場合のリスク

電子取引データを要件どおりに保存していないと、税務調査で指摘を受けたり、青色申告の承認取消しの対象になったりするおそれがあります。取消しになれば、特別控除や欠損金の繰越といった優遇を受けられなくなる可能性があります。製造業のように取引書類が多い事業者ほど、保存漏れの影響も大きくなりがちです。

製造業が電子帳簿保存法の対応でつまずく課題

製造業が電子帳簿保存法の対応で行き詰まる原因は、法律の理解そのものより運用にあります。書類の量が多く、受け取り経路も部門ごとに分かれているため、対象データを漏れなく電子保存に載せることが難しいのです。

FAXや紙で届く注文書の処理

受注業務でいまも多いのが、FAXで届く注文書です。複合機がFAXをPDFデータとして受信した場合、そのデータは電子取引にあたり、電子保存の対象になります。紙に出力しただけの方法では要件を満たせないため、受信データの扱いを決めておく必要があります。

一方、紙のFAX機で出力された注文書として受け取った場合は、電子取引にはあたりません。同じFAX注文書でも、受信の仕組みによって電子保存が必須になるかどうかが変わるため、自社のFAX環境がどちらかを最初に確認しておくと判断に迷いません。受注件数が多いほど、この仕分けを毎回手作業で行うのは負担になります。

工場や営業所に分散した証憑の一元化

拠点ごとに証憑を保管していると、税務調査や月次の確認で必要な書類をすぐに取り出せません。どの拠点にどの書類があるかが見えない状態では、検索要件を満たす保存も難しくなります。受領した書類を1か所に集めて管理する仕組みが求められます。

少人数経理の属人化と退職リスク

少人数で経理を回している現場では、書類の受領から保存までの手順を担当者個人が覚えている状態になりがちです。手順が共有されていないと、担当者が退職したときに対応が滞ります。属人化を避けるには、受領と保存の流れを仕組みに落とすことが欠かせません。

製造業の電子帳簿保存法対応を進める4ステップ

製造業で電子帳簿保存法に対応するなら、次の4ステップで進めると迷いません。部門をまたいで書類が発生するため、経理だけでなく調達や設計とも足並みをそろえることがポイントです。

ステップ1|取引書類と授受方法の棚卸し

最初に、どの部署がどの書類を紙と電子のどちらで受け取っているかを洗い出します。設計や購買の部門が個別にメールで受け取っている仕様書や、外注先とのEDIデータは見落としやすいため、部門横断で確認します。

ステップ2|区分ごとの保存方法と要件の割り当て

棚卸しした書類を、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引のどの区分にあたるかで仕分けます。区分が決まれば、それぞれに必要な保存要件と検索要件も自然に定まります。

ステップ3|事務処理規程の整備

訂正や削除の履歴が残らないデータは、事務処理規程を定めることで真実性の要件を満たせます。保存の担当者や保存先、保管期間を明文化し、社内で運用できる形に落とし込みます。

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ステップ4|システム導入と運用定着

手作業での管理が難しい規模なら、システムの導入で運用を安定させます。タイムスタンプの付与や検索要件を自動で満たせる仕組みなら、製造業の煩雑な事務負担を大きく減らせます。導入後に欠かせないのは、現場が迷わず使えるよう手順を定着させることです。

製造業の電子帳簿保存法対応4ステップ

製造業の電子帳簿保存法対応を効率化する方法

製造業の電子帳簿保存法対応でもっとも負担が重いのは、多くの取引先から届く書類を受け取り、データ化して保存する部分です。ここを効率化できれば、少人数の経理でも対応を回せます。

受領書類の自動データ化と一元保存

受け取った請求書や証憑を自動でデータ化し、そのまま電子保存まで完結させると、入力と保存の手間をまとめて減らせます。紙・PDF・メール・Webダウンロードなど受け取り方がばらばらでも、1か所に集めて管理できれば、拠点分散の問題も解けます。

受領した書類のデータ化を仕組みに任せられれば、担当者が手入力で転記する作業も、検索できるようにファイル名を付け直す作業もなくなります。取引先ごとに受け取り方が違っても、保存の入り口を1つにまとめられるため、限られた人数でも無理なく運用を続けられます。

TOKIUMインボイスは、郵送された紙やメール添付のPDF、取引先システムからのダウンロードなど、あらゆる形式の請求書の受領を代行します。360以上のWebダウンロードサイトに対応し、受け取った書類はAIとオペレーターがデータ化します。

電子帳簿保存法については、JIIMA認証を取得済みで、タイムスタンプの付与など要件に対応しています。国税関係書類を保管・検索できる状態で電子保存できるため、検索要件への対応も含めて任せられます。 出典:TOKIUMインボイス サービスサイト(最終確認日:2026年7月15日)

TOKIUMシリーズの累計導入社数は3,000社を超えています。 出典:株式会社TOKIUM プレスリリース(2025年12月4日)(最終確認日:2026年7月15日)

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グループや子会社への横展開

工場や子会社が複数あると、拠点ごとに受領と保存のやり方が分かれがちです。受領を1つの仕組みに集約すれば、拠点をまたいでも同じルールで運用できます。どの拠点にどの書類が届いたかを見える状態にできれば、月次の確認や催促のやり取りも減らせます。

製造業の電子帳簿保存法対応ならTOKIUMインボイス

製造業の電子帳簿保存法対応は、まず自社が扱う書類を棚卸しし、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引の区分ごとに保存方法と要件を割り当てることから始まります。とくに電子で受け取った注文書や請求書は、電子データのまま保存する義務がある点に注意が必要です。

FAXや紙の書類が多く、拠点も分かれている製造業では、受領した書類のデータ化と一元保存を仕組み化できると対応が安定します。受領から電子保存までをまとめて省力化したいなら、TOKIUMインボイスで受け取り・データ化・電子保存を一括で任せる方法が有力です。電子帳簿保存法への対応や受領業務の効率化を検討している方は、TOKIUMインボイスの資料をあわせてご確認ください。

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製造業の電子帳簿保存法に関するよくある質問

製造業も電子帳簿保存法の対象ですか

対象です。電子帳簿保存法は原則としてすべての法人と個人事業主に適用され、製造業も含まれます。とくに電子取引データの保存は、業種を問わず義務づけられています。

FAXで受け取った注文書は電子保存が必要ですか

電子か紙かで異なります。複合機がFAXをPDFなどのデータとして受信した場合は電子取引にあたり、電子データのまま保存しなければなりません。紙で出力された注文書として受け取った場合は、紙のまま保管するかスキャナ保存を選べます。

検収書や納品書も電子帳簿保存法の対象ですか

対象になります。検収書や納品書も国税関係書類にあたるため、電子で受け取れば電子取引データとして保存し、紙で受け取れば紙保管かスキャナ保存を選びます。

紙で受け取った請求書は必ず電子化しないといけませんか

電子化は必須ではありません。紙で受け取った請求書は、紙のまま保管しても要件を満たせます。ただし保管スペースや検索の手間を減らしたい場合は、スキャナ保存で電子化する選択肢があります。

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