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少額リースの基準は、契約1件当たりのリース料総額が300万円以下かどうかで判定するのが実務上の目安です。ただし新リース会計基準の適用指針の本文に300万円という金額は書かれていません。金額が出てくるのは結論の背景と呼ばれる部分で、適用指針の本文とは別に、基準を作った経緯や考え方をまとめて記載した区分です。300万円以下なら自動的に費用処理できるわけではなく、事業内容に照らして重要性が乏しいかどうかの判断とセットで使います。
この記事では、少額リースの3つの判定基準と選び方、リース料総額や対象期間の数え方、短期リースの例外の条件を整理します。該当した場合の会計処理と注記、社内ルール化で迷いやすい点も、企業会計基準適用指針第33号の項番号つきで押さえられる構成です。
新リース会計基準そのものの変更点や適用時期の全体像は、新リース会計基準の対応ガイドで解説しています。
●新リース会計基準の対応と変更点に関する記事はこちら
少額リースの基準とは?3つの判定基準の関係
少額リースとは、新リース会計基準のもとで使用権資産とリース負債を計上せず、リース料をリース期間にわたって費用処理できる簡便的な取扱いの対象になるリースです。使用権資産は借りた資産を使う権利を資産として載せたもの、リース負債は将来支払うリース料の債務を負債として載せたものを指します。新リース会計基準では借手はすべてのリースを原則としてこの2つで貸借対照表に載せます。ただ、事務機器のように金額の小さいリースまで計上すると実務負担が大きいため、企業会計基準適用指針第33号の第22項に3つの判定基準が置かれています。1
少額リースの3つの判定基準と選択の関係
判定基準は3つあり、適用指針第22項では(1)か(2)のどちらかを満たせば簡便的な取扱いを選べます。(1)は少額減価償却資産の基準額による方法です。(2)は契約1件当たりの金額で見る①と、新品時の価値で見る②のどちらか一方を選びます。選んだ方法は首尾一貫して、つまり毎期同じ方法で適用します。(1)と(2)は判定の単位が違うため、社内で使い分けることができます。(1)は通常取引される単位ごと、(2)①は契約1件ごとに判定します。契約全体では300万円を超えるパソコン30台の契約でも、1台ずつのリース料が自社の少額減価償却資産の基準額以下なら、(1)で判定できるのはこのためです。
▼ 少額リースの3つの判定基準(企業会計基準適用指針第33号 第22項をもとに作成)
| 判定基準 | 内容 | 判定の単位 |
|---|---|---|
| (1) 少額減価償却資産の基準額 | 重要性が乏しい減価償却資産を購入時に費用処理している会社で、借手のリース料がその基準額以下のリース。基準額はリース料に利息相当額が含まれるぶんだけ高めに設定できる | 通常取引される単位ごと。1つの契約に複数の単位が含まれる場合は原資産の単位ごとに適用できる |
| (2)① 契約1件当たりの金額基準 | 事業内容に照らして重要性が乏しく、かつリース契約1件当たりの金額に重要性が乏しいリース。実務上の目安が300万円以下 | リース契約1件ごと。科目の異なる有形固定資産や無形固定資産が1契約に含まれるときは、科目ごとの合計金額で判定できる |
| (2)② 新品時の原資産の価値基準 | 新品のときの原資産の価値が少額であるリース。IFRS第16号の考え方を取り入れたもので、目安は5,000米ドル以下程度 | リース1件ごとに、この方法を使うかどうかを選べる |
(1)の基準額をどれだけ高めに設定するかは、リース料に含まれる利息相当額の見積もりによるため、監査法人と協議して決めます。実務で使われるのは(2)①の契約1件当たりの金額基準が中心です。IFRSを任意適用しているグループ会社では、IFRS第16号と同じ(2)②を選ぶことで、個別財務諸表の修正を基本的に不要にする方針と整合するとされています。2

300万円と5,000米ドルは結論の背景に示された目安
300万円という金額は、企業会計基準適用指針第33号の本文ではなく結論の背景に出てきます。旧基準の企業会計基準適用指針第16号は、事業内容に照らして重要性の乏しいリースのうち、契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のものを簡便的な取扱いの対象にしていました。新しい適用指針の(2)①は、この300万円以下で判定する方法を踏襲する目的で取り入れられたと説明されています。本文の要件はあくまで重要性が乏しいことであり、300万円は判断の物差しとして示された目安です。
5,000米ドルも同じ扱いです。(2)②の新品時の原資産の価値による方法は、IFRS第16号と同じ判定を認める目的で置かれました。IFRS第16号の結論の根拠では、2015年当時の新品で5,000米ドル以下程度の資産が念頭に置かれています。程度と幅を持たせて示された水準なので、自社で少額といえる金額の線は、監査法人と合意した会計方針として決めます。目安である以上、どちらの方法を選んでも社内基準を文書にしておくのが安全です。2
旧リース会計基準の300万円基準との違い
旧基準の簡便的な取扱いは、重要性の乏しいリースで契約1件当たりのリース料総額が300万円以下なら賃貸借処理にできる、という1つの方法でした。新基準では区分がなくなり、すべてのリースが原則として使用権資産とリース負債の計上対象になったうえで、簡便的な取扱いの判定方法が3つに増えました。5,000米ドル基準と少額減価償却資産の基準額による方法が加わった点が違いです。2
▼ 旧基準と新基準の少額リースの違い
| 項目 | 旧基準(企業会計基準第13号・適用指針第16号) | 新基準(企業会計基準第34号・適用指針第33号) |
|---|---|---|
| 原則の会計処理 | ファイナンス・リースは売買処理、オペレーティング・リースは賃貸借処理 | 区分を廃止し、原則すべてのリースで使用権資産とリース負債を計上 |
| 簡便的な取扱いの内容 | 重要性の乏しいリースでリース料総額300万円以下なら賃貸借処理ができる | 使用権資産とリース負債を計上せず、リース料を定額法で費用処理できる |
| 判定方法 | 契約1件当たりのリース料総額300万円以下 | 3つの方法から選択 |
免除規定の全体像や、新基準で借手の処理がどう変わるかは新リース会計基準の対応ガイドにまとめています。本記事は、そのうち少額リースと短期リースの判定実務に絞って掘り下げます。
少額リースの300万円基準の判定方法4ステップ
少額リースの300万円基準は、次の4ステップで判定します。契約1件ごとにリース料総額を集計し、対象期間と含める金額を決めたうえで、事業内容に照らして重要性が乏しいかどうかを合わせて見ます。契約1件当たりの総額で見るのであって、月額や年額では判定しません。2
▼ 少額リースの300万円基準の判定4ステップ
| ステップ | 確認すること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 事業内容に照らした重要性 | その資産が自社の事業にとって重要性が乏しいか。事業の中核をなす設備は、金額が小さくても対象外になりうる | 適用指針第33号 第22項(2)① |
| 2 契約1件当たりの集計 | 判定の単位は契約1件。科目の異なる資産が1つの契約に含まれるときは科目ごとの合計で判定できる | 同 第22項(2)① |
| 3 対象期間の決定 | 原則は借手のリース期間。契約に定められた期間で判定することもできる | 同 第23項 |
| 4 リース料総額と目安の比較 | 維持管理費用相当額の合理的な見積額を控除したうえで、総額が目安の300万円以下か。税込か税抜かは社内ルールで決める | 同 第23項、結論の背景 第43項 |
リース料総額の数え方と維持管理費の控除
リース料総額は、月額のリース料に対象期間の月数を掛けた金額です。月額6万円の複合機でも、5年契約なら総額は360万円になり目安を超えます。月額が小さいからといって少額リースと決めつけると、期間の長い契約で判定を誤りかねません。総額に含めるのは借手のリース料です。固定のリース料のほか、指数やレートに連動する変動リース料、残価保証で支払う見込みの額が入ります。行使が合理的に確実な購入オプションの行使価額と、解約時の違約金も対象です。1
複合機の月額料金に保守やカウンター料金が含まれている場合、そのサービス部分はリースを構成しない部分として、まず独立価格の比率で切り分けます。切り分けたあとのリース部分に固定資産税や保険料などの維持管理費用相当額が含まれているなら、合理的な見積額を差し引いてから300万円と比べられます。請求書の月額をそのまま総額にせず、内訳を分けてから判定するのが正しい手順です。内訳が分からない契約はリース会社に確認し、根拠を残しておきます。不動産の賃貸借で敷金や礼金、更新料をどう扱うかは判断が割れやすいため、監査法人に方針を確認しておくと後戻りが減ります。2
総額を税込で見るか税抜で見るかについて、適用指針に定めはありません。300万円はもともと重要性を測る目安なので、税込か税抜かで結論が変わる契約は、重要性の判断に立ち返るべき境界線上の案件です。実務では税抜で判定する会社が多いものの、どちらを採るにしても社内ルールに書いて継続します。
対象期間の選び方、借手のリース期間と契約期間
リース料総額を集計する対象期間は、原則として借手のリース期間です。借手のリース期間は、解約できない期間を土台にして決めます。そこに、借手が行使することが合理的に確実な延長オプションの期間を足します。さらに、行使しないことが合理的に確実な解約オプションの期間も足します。ただし(2)①の契約1件当たりの金額判定に限っては、契約に定められた期間をそのまま使うことが認められています。1
契約期間で判定してよいのは、延長オプションや解約オプションを行使する可能性を1件ずつ見積もる負担が大きいという意見に応えたためです。契約が3年で延長オプションが2年付いている複合機なら、延長が合理的に確実だとリース期間は5年になり、月額6万円で総額360万円です。契約期間の3年で判定すれば216万円となり、目安の範囲に収まります。この特例が使えるのは(2)①の金額判定だけです。短期リースの12か月の要件は借手のリース期間で見るため、契約期間では判定できません。2
少額リースの判定単位は契約1件、合算と分割の扱い
300万円基準の判定単位はリース契約1件です。パソコン20台を1つの契約で借りているなら、20台分の総額で判定します。逆に契約が2本に分かれていれば、それぞれの総額で見ます。結論の背景では、複数の契約を結合して判定することまでは想定していないと明記されています。契約が別なら合算しなくてよい、というのが基本の考え方です。2
ただし、目安に収めるために本来1本の契約をわざと分割するのは別の話です。パソコンと複合機とサーバーを一式で導入しながら契約書だけ3本に分けると、実態は1つの取引とみられ、監査で経済的な実態を問われたときに説明が立ちません。1つの契約に建物付属設備と工具器具備品のように科目の異なる資産が含まれるときは、科目ごとに合計して判定できます。こちらは分割ではなく、適用指針が認めた区分です。
判定例、月額と期間の組み合わせで変わる結果
同じ月額でも保守料を控除できるか、対象期間をどちらにするかで結果が変わります。次の3件はいずれも架空の例です。判定欄は事業内容に照らして重要性が乏しいという前提で、(2)①の契約1件当たりの総額が目安の300万円以下かどうかだけを見ています。
▼ 少額リースの300万円基準の判定例(架空の計算例)
| 契約の内容 | リース料総額の計算 | 300万円の目安との関係 |
|---|---|---|
| パソコン30台一式 月額10万円 3年 | 10万円×36か月=360万円 | 目安を超える。ただし1台ずつのリース料が自社の少額減価償却資産の基準額以下なら(1)で判定できる |
| 店舗什器 月額6万円 5年 うち保守料1万円 | 5万円×60か月=300万円(保守料を控除) | 目安の範囲内。控除前の360万円で見ると超える |
| サーバー 月額4万円 6年 延長2年が合理的に確実 | 契約期間で判定 4万円×72か月=288万円 | 目安の範囲内。リース期間8年で見ると384万円 |
3件とも、控除や対象期間、判定方法の選び方で結論が変わる契約です。こうした契約こそ社内ルールを先に決めておく必要があります。契約ごとに有利な方法を選ぶと首尾一貫した適用にならず、監査で指摘される原因になります。

短期リースの免除規定と少額リースとの違い
短期リースの免除規定は、リース開始日において借手のリース期間が12か月以内で、購入オプションを含まないリースに使える簡便的な取扱いです。該当すると使用権資産とリース負債を計上せず、リース料を定額法、つまり毎期同じ額で費用処理できます。少額リースが金額で判定するのに対し、短期リースは期間で判定します。契約書の期間ではなく借手のリース期間で見るため、自動更新条項のある契約は注意が要ります。2
短期リースの定義と購入オプションの扱い
短期リースに当たる条件は2つです。1つは、リース開始日の時点で借手のリース期間が12か月以内であること。もう1つは、購入オプションを含まないことです。購入オプションとは、リース期間の途中や終了時に借手が原資産を買い取れる権利を指します。この権利が付いている契約は、期間が12か月以内でも短期リースにはなりません。少額リースには購入オプションに関する要件がなく、この点も両者の違いです。
短期リース判定の注意点、自動更新と延長オプションの扱い
12か月以内かどうかは、契約書に書かれた期間ではなく借手のリース期間で判定します。借手のリース期間には、行使することが合理的に確実な延長オプションの期間が含まれます。たとえば1年契約で自動更新条項が付き、過去5年にわたり更新を続けてきた事務所の賃貸借があるとします。契約書上は12か月でも、更新が合理的に確実と判断されればリース期間は12か月を超え、短期リースには該当しません。その場合は原則どおり使用権資産とリース負債を計上します。何年分を計上するかは、過去の更新実績や事業計画などをもとに更新の見込みを見積もって決め、その根拠を残します。1
逆に、繁忙期だけ借りる倉庫や建設現場の重機レンタルのように、更新を予定していない契約は短期リースの候補です。判定で見るのは契約書の年数ではなく、更新するかどうかの見込みです。いったん短期リースとして処理した契約の期間が延びた場合は、変更前の終了時点から変更後の終了時点までが12か月以内かどうかを見ます。12か月以内であれば、変更後も短期リースとして扱う方法と、変更時点から変更後の終了時点までが12か月以内の場合だけ短期リースとして扱う方法のどちらかを選べます。2
適用単位は科目またはグループごと
短期リースの簡便的な取扱いを使うかどうかは、契約1件ごとに選ぶ仕組みではありません。対応する原資産を自分で所有していたと仮定した場合に貸借対照表で表示する科目ごと、または性質と用途が似た原資産のグループごとに、適用するかしないかを選びます。車両運搬具は適用する、建物は適用しない、という決め方です。同じ科目の中で、この契約は適用し別の契約は適用しない、という選択はできません。連結財務諸表では、各社が個別財務諸表で行った選択を見直さないことができます。2
少額リースと短期リースの適用判断早見表
2つの簡便的な取扱いは、判定の軸も適用の単位も違います。両方に当てはまる契約は、どちらを根拠に費用処理しても結果は同じですが、注記の扱いが変わります。
▼ 少額リースと短期リースの適用判断早見表
| 項目 | 少額リース | 短期リース |
|---|---|---|
| 判定の軸 | 金額。契約1件当たりのリース料総額、または新品時の原資産の価値 | 期間。リース開始日における借手のリース期間が12か月以内 |
| 追加の要件 | 事業内容に照らして重要性が乏しいこと | 購入オプションを含まないこと |
| 対象期間の特例 | 金額判定は契約期間でもよい | なし。借手のリース期間で判定 |
| 適用の単位 | (1)は通常取引される単位ごと、(2)①は契約1件ごと、(2)②はリース1件ごとに選択 | 科目ごと、または性質と用途が似た原資産のグループごとに選択 |
| 方法の選択 | (2)①と②はどちらか一方を選び首尾一貫して適用 | 適用するかしないかを単位ごとに決めて継続 |
| 会計処理 | 使用権資産とリース負債を計上せず、定額法で費用処理 | 同じ |
| 注記 | 費用の注記は求められない | 費用の発生額が含まれる科目と発生額を注記。少額リースにも該当する契約は含めなくてよい |

少額リースと短期リースに借手の簡便法を使う場合の会計処理と注記
借手の簡便法に該当したときの会計処理は早見表のとおり定額法の費用処理で、少額リースも短期リースも同じです。処理そのものは難しくありませんが、注記の要否が短期リースと少額リースで違う点は見落とされがちです。ここでは費用処理の方法、該当しない場合の処理、注記の要否を順に見ていきます。
定額法による費用処理の方法
費用処理の方法は定額法が原則です。毎月同じ額のリース料なら、支払時に賃借料やリース料といった費用科目で計上すれば足ります。半年分を前払いする契約や、フリーレント期間がある契約では、支払額と期間の対応がずれるため、リース期間にわたって均等になるよう期間配分します。仕訳の具体例はリース取引の仕訳の記事にまとめています。2
●リース取引の仕訳に関する記事はこちら
該当しない場合の使用権資産とリース負債の計上
簡便的な取扱いの対象にならない契約は、リース開始日に、未払いのリース料から利息相当額を差し引いた現在価値でリース負債を計上します。使用権資産は、そのリース負債に開始日までに支払ったリース料や付随費用を加えた額です。その後は使用権資産を償却し、リース負債は利息法、つまり残高に応じて利息を配分する方法で減らしていきます。使用権資産とリース負債の計算方法は使用権資産の計算の記事で、償却の考え方はリース資産の減価償却の記事でそれぞれ解説しています。1
●使用権資産の計算方法に関する記事はこちら
●リース資産の減価償却に関する記事はこちら
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注記の要否、短期リースは必要で少額リースは不要
短期リースだけに注記が求められる理由は2つあります。リース期間の判断ひとつで簡便的な取扱いの対象になるかどうかが変わるため、恣意的な調整の余地があること。そして、金額の大きいリース負債がオフバランス、つまり貸借対照表に載らない状態になる可能性があることです。少額リースは金額の重要性が乏しいものを対象にしているため、費用の注記は求められていません。2
▼ 簡便的な取扱いを適用したリースの注記の要否
| 契約の状況 | 費用の注記 |
|---|---|
| 短期リースに該当 | 損益計算書で区分表示していなければ、費用の発生額が含まれる科目と発生額を注記する |
| 少額リースに該当 | 注記は求められない |
| 短期リースと少額リースの両方に該当 | 短期リースの費用の注記に含めなくてよい |
| 借手のリース期間が1か月以下のリース | 短期リースの費用の注記に含めなくてよい |
注記の文言は、短期リースに係る費用の発生額が何円で、損益計算書のどの科目に含まれているかが分かる形にします。1か月以下のごく短いリースの費用は、短期リースに当たっていても注記に含めなくてよいと定められています。注記が不要な少額リースでも、契約の管理は続けます。翌期に契約変更で目安を超えたときや、税務の判定をするときには、契約ごとの情報が要ります。
少額リースの実務運用の注意点
少額リースの実務運用でつまずきやすいのは、基準を決めたあとです。基準を継続して適用すること、判定の根拠を残すこと、契約変更や更新のたびに再判定すること、免除を使っても台帳を残すこと。この4点を社内ルールに落とし込んでおくと、監査対応と翌期以降の処理が安定します。
一度選んだ基準を継続して適用する
(2)①の契約1件当たりの金額で判定する方法と、(2)②の新品時の価値で判定する方法は、どちらか一方を選んで首尾一貫して適用します。今期はこちら、来期はあちら、と変えることは想定されていません。判定方法を変える場合は会計方針の変更に当たると考えられるため、監査法人と協議のうえ、正当な理由と開示の要否を確認します。目安の金額を自社基準としていくらにするかも、最初に決めたら継続します。2
判定の根拠を契約ごとに残す
契約書のどの条項から期間と金額を読み取ったか、保守料をいくら控除したか、延長オプションをどう見積もったか。この3点を契約ごとに記録しておけば、担当者が替わっても同じ判定を再現できます。監査法人との事前合意は、基準を決める段階で済ませておくのが実務の定石です。適用後に判定方法を問われてから説明するより、方針の文書を先に見せるほうが手戻りが小さくなります。
契約変更や更新時に再判定してオンバランスに切り替える
少額リースの判定は契約時に一度やれば終わりではありません。契約の変更でリース料が増えたとき、期間が延長されたとき、延長オプションを行使したとき、更新で条件が変わったときは、変更後の内容で判定し直します。再判定で目安を超えた契約は、その時点から使用権資産とリース負債を計上します。短期リースも同様で、更新によってリース期間が12か月を超えれば簡便的な取扱いから外れます。
再判定が漏れる原因の多くは、契約変更の情報が経理に届かないことです。現場で更新した契約や、増設で月額が変わった契約が台帳に反映されず、期末に初めて気づくケースが起きます。契約の変更を経理が把握できる仕組みが、再判定の前提になります。
免除規定を使っても台帳を残し税務は別に判定する
免除規定を使って費用処理した契約でも、契約台帳からは外しません。再判定のたびに契約の期間と金額を確認する必要があり、短期リースなら注記のために費用の発生額を集計する必要があるからです。台帳に載っていない契約は、更新で条件が変わっても誰も気づけません。税務も会計とは別の判定軸で、会計の少額判定をそのまま税務に流用しないことが申告調整の漏れを防ぐ前提です。会計と税務の関係はこの記事の最後のよくある質問で、中小企業の扱いや税務上の300万円については別の記事で解説しています。2
●中小企業のリース資産を計上しない場合の判定に関する記事はこちら

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少額リース判定に必要な契約情報の集め方と台帳管理
少額リースと短期リースの判定は、契約書から必要な情報が揃って初めてできます。請求書の月額だけを見て判定すると、保守料が混ざったまま総額を数えたり、自動更新条項を見落として短期リースにしてしまったりします。判定の前に、契約書のどこに何が書いてあるかを台帳の項目として決めておくと、判定も再判定も同じ手順で回せます。
判定に必要な契約情報の一覧
台帳に持っておきたい項目は8つです。どの判定に使うかと、契約書のどこを見るかを合わせて整理すると、現場から契約書を集めるときの依頼も具体的になります。2
▼ 少額リースと短期リースの判定に必要な契約情報
| 契約情報 | 使う判定 | 契約書の確認箇所 |
|---|---|---|
| 契約期間と開始日 | 短期リースの12か月、少額リースの対象期間 | 契約期間の条項、引渡日や利用開始日 |
| 解約不能期間 | 借手のリース期間の起点 | 中途解約の条項、違約金の定め |
| 自動更新条項と延長オプション | 借手のリース期間に延長期間を加えるか | 更新に関する条項、更新の通知期限 |
| 購入オプションの有無 | 短期リースの要件 | 買取や所有権移転に関する条項 |
| 月額リース料と支払回数 | リース料総額の計算 | 料金表、支払条件 |
| 保守料や維持管理費の内訳 | リースを構成しない部分の切り分けと維持管理費用相当額の控除 | 料金の内訳、保守契約の別紙 |
| 原資産の新品時の価値 | 新品時の価値基準を選んだ場合の判定 | 物件明細、見積書 |
| 契約変更と更新の履歴 | 再判定 | 変更覚書、更新通知 |
8項目のうち、解約不能期間と自動更新条項、保守料の内訳の3つは契約書を読まないと分かりません。請求書や支払データからは取れない情報が判定の要になるため、契約書そのものを集める作業が最初の工程になります。契約書が各部署や拠点に散っている会社では、洗い出しの段階で時間がかかります。洗い出しの進め方は別の記事で手順化しています。
●リースの洗い出し方法に関する記事はこちら
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Excel管理の限界と契約管理システムで判定を標準化する方法
契約が数十件までならExcelの台帳で回せます。件数が数百件を超え、拠点や部署ごとに契約書を持っている会社では、契約書の回収と項目の転記に時間を取られ、更新や変更の反映が追いつかなくなります。担当者が替わると判定の根拠も引き継がれず、同じ契約を別の基準で判定してしまうこともあります。契約管理システムで契約書と判定に使う項目を1か所に集め、変更があれば台帳に反映される状態にしておくと、少額リースと短期リースの判定を同じ手順で標準化できます。
TOKIUM契約管理は、シリーズ累計導入社数3,000社を超える株式会社TOKIUMが提供する契約管理システムです。上場企業300社以上に導入されており、新リース会計基準への対応機能を備えています。契約書をアップロードすると、AIが取引先名や契約期間、自動更新の有無、解約不能期間、違約金、敷金、フリーレント期間といった契約内容を自動でデータ化します。契約内容をもとにリースが含まれる可能性をAIが判定し、判定の根拠になった条文を契約書PDF上でハイライトするため、確認すべき箇所を探す手間がかかりません。保守料の内訳や購入オプションの有無は、データ化された契約書を開いて該当する条項で確かめます。3
少額リース判定基準額は自社の会計方針に合わせて柔軟に設定でき、カテゴリ別のカスタムプロンプトで自社の解釈に沿った判定に寄せられます。ただし、少額リースや短期リースに最終的に該当するかどうかの会計上の判断は、設定した基準をもとに自社で行うものです。判定結果と根拠、データ化した契約内容はCSVで出力でき、固定資産管理やリース資産管理のシステムに合わせた形式で取り込めます。契約更新の対応が迫った契約の一覧は毎月1日に担当者へメールで届き、再判定のきっかけになる更新の見落としも減らせます。契約書の集約と判定情報の整理から少額リースと短期リースの運用を組み立てたい方は、新リース会計基準対応のTOKIUM契約管理の資料をご覧ください。4
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少額リースの基準は目安、判定は契約情報の整理から
少額リースの基準は、契約1件当たりのリース料総額300万円以下が実務上の目安で、本文の要件は事業内容に照らして重要性が乏しいことです。判定方法は3つから選び、選んだ方法と対象期間、税込税抜の扱いを社内ルールとして継続します。短期リースは借手のリース期間が12か月以内で購入オプションを含まないことが条件で、契約書の期間ではなく更新の見込みまで含めて判定します。
費用処理した契約も台帳に残し、契約変更や更新のたびに再判定する。この運用を支えるのは、契約書から判定に必要な情報を漏れなく集める仕組みです。契約書の集約と判定情報の整理を仕組みにするなら、TOKIUM契約管理で契約内容のデータ化から判定根拠の記録までをまとめて進められます。新リース会計基準への対応をご検討中の方は、資料をダウンロードしてご確認ください。
少額リースと短期リースのよくある質問
判断に迷いやすい周辺の疑問をまとめました。
税務上の300万円基準と会計の少額リースは同じものですか
同じではありません。会計の少額リースは企業会計基準適用指針第33号の簡便的な取扱いで、法人税では法人税法上のリース取引に当たるかどうかを別の定義で判定します。令和7年度の税制改正後も、オペレーティング・リースは税務上引き続き賃貸借取引として支払賃借料を損金、つまり税務上の費用に算入します。会計で費用処理した契約と税務の扱いが一致するとは限らないため、契約ごとに両方の判定を残しておく必要があります。5
中小企業も少額リースの判定は必要ですか
監査対象法人以外の中小企業は、中小企業の会計に関する指針や基本要領に沿った会計処理を続けられるため、新リース会計基準を適用しなければ本記事の判定は不要です。中小企業がリース資産を計上しない場合の判定は別の記事で解説しています。5
IFRS第16号の5,000米ドル基準と何が違いますか
日本基準の(2)②はIFRS第16号と同じ方法を認める目的で取り入れられたため、考え方は同じです。違いは、日本基準にはこれと並んで契約1件当たりの金額で判定する(2)①があり、どちらか一方を選べる点です。両者は適用単位や条件が異なるため、どちらの範囲が広いかは一概にいえないと結論の背景で説明されています。2
リースの重要性判断で300万円を超える自社基準を設定できますか
適用指針の本文は金額を定めていないため、事業内容に照らして重要性が乏しいと説明できる範囲であれば余地はあります。ただし監査法人との合意と根拠の文書化が前提です。業績が悪化した期に重要性の判断が変わり、オンバランスへの切り替えを求められるリスクも考慮しておきます。
リース資産は少額減価償却資産の特例の対象になりますか
会計上の少額リースの(1)は、自社が減価償却資産の購入時に費用処理している基準額をリースにも準用する方法です。税務上の少額減価償却資産の特例そのものではありません。税務上の特例が使えるかどうかは、会計の判定とは別に税務の区分で確認します。
免除規定は使うべきですか、該当してもオンバランスにできますか
簡便的な取扱いは任意です。適用指針は使用権資産とリース負債を計上しないことができると定めており、該当する契約を原則どおりオンバランスにしても問題ありません。契約件数が多く判定と再判定の管理コストが大きい会社は簡便的な取扱いを使う。契約が少なくシステムで一括処理できる会社は原則処理に統一する。実務ではこの選び方が多くみられます。どちらにするかは科目やグループの単位で決め、監査法人と合意して継続します。2
【関連する無料マンガ】
▶マンガでわかる!新リース会計基準とは
※すぐにPDF資料をお受け取りいただけます
- 企業会計基準委員会「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」(2024年9月13日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 企業会計基準委員会「企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針」(2024年9月13日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- TOKIUM「TOKIUM契約管理」製品ページ(累計導入社数は2026年5月末時点)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- TOKIUM「TOKIUM契約管理、AIでリースの識別を支援する機能を正式に提供開始」(2025年4月1日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」D 新リース会計基準に対応する改正(PDF)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎


