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事業用の機械や設備、車両、不動産をリース会社から借りるときのリース料には、物件価格、金利、固定資産税、動産総合保険料、リース会社の手数料が含まれています。契約書に書かれた月額の中に、これらが一本の金額としてまとめられています。一方、新リース会計基準では借手も将来支払うリース料を負債として計上し、その負債に含める借手のリース料は、固定リース料、指数やレート連動の変動リース料、残価保証の支払見込額、行使が合理的に確実な購入オプションの行使価額、解約違約金の5つで構成されます。契約書の支払額とは一致しません。※1
この違いを知らないまま契約書の金額をそのまま負債にすると、共益費や保守料まで負債に含まれたり、残価保証や購入選択権を見落として負債が小さくなったりします。変動リース料、残価保証、購入選択権、共益費、前払いと後払いの扱いを、新リース会計基準である企業会計基準第34号とその適用指針である第33号の原文にそって整理し、契約書のどの条項を読めば判定できるかまでまとめました。
リース料に含まれるものとは?物件価格・金利・固定資産税・保険料の内訳
リース料に含まれるものは、物件価格、金利、固定資産税、動産総合保険料、リース会社の手数料の5つです。リース会社が物件を購入して貸すため、月額には購入代金だけでなく、その資金を調達する金利や所有者として納める税金も織り込まれています。借手は毎月一定額を払うだけで、これらを個別に手配する必要がありません。ただし、リース会社がこの内訳を借手に示すことは通常なく、会計上のリース負債は内訳を積み上げるのではなく、支払総額を現在価値に割り引いて測ります。
▼ リース料に含まれる5つの要素と会計上の位置づけ
| 含まれるもの | 内容 | 会計上の位置づけ |
|---|---|---|
| 物件価格 | リース会社が購入した機械や設備の代金。リース料総額の大半を占める | 借手はこの内訳を通常知り得ない。リース負債は支払総額から利息相当額を控除した現在価値で算定する |
| 金利 | リース会社が物件の購入資金を調達するコスト | 内訳の金利をそのまま使うのではなく、貸手の計算利子率を知り得ればその利率、知り得なければ借手の追加借入利子率で割り引く |
| 固定資産税 | 所有者であるリース会社が納める償却資産税の相当額 | 借手に財やサービスを移転しないコスト。契約対価の一部として配分する |
| 動産総合保険料 | 火災や盗難、破損に備えてリース会社がかける保険の費用。借手が個別に保険をかける必要はない | 固定資産税と同じ扱い |
| リース会社の手数料 | 契約事務にかかるリース会社の費用と利益 | リース料の一部として扱う |
固定資産税と保険料は誰が負担しているか
リース料を構成する物件価格、金利、固定資産税、保険料、手数料の5つの要素のうち、借手が意識しにくいのが固定資産税と保険料です。リース物件の所有者はリース会社なので、固定資産税のうち機械や設備にかかる償却資産税の申告と納付はリース会社が行い、その負担分が月額に上乗せされています。契約終了後に物件が借手のものになる所有権移転ファイナンス・リースでは、借手が申告する扱いが一般的です。動産総合保険も同じ構造で、リース会社が一括して付保するため借手が個別に保険をかける必要はありません。誰が納めるかの細かな判定は、リース資産と償却資産税の記事で整理しています。
●リース資産の償却資産税に関する記事はこちら

リース料に含まれないもの、保守料・消耗品・工事費・共益費
保守やメンテナンスの費用は、保守契約が別立てになっている限りリース料には含まれません。消耗品や燃料、修理代も借手の負担です。搬入や据付の工事費は契約によって物件価格に組み込まれることも別請求になることもあり、見積書で確認する必要があります。不動産の賃貸借では共益費や管理費が賃料と一緒に請求されますが、これは建物を使う対価ではなく清掃や設備管理というサービスの対価です。中途解約したときの規定損害金も、通常のリース料とは別の支払です。これらが契約書で一本の金額にまとまっているときにどう分けるかは、共益費や保守料の区分を扱う章で整理します。
リース料率と月額リース料の計算式
月額リース料は、物件価格にリース料率を掛けて求めます。料率は月額が物件価格の何パーセントかを示す数字で、そこに金利、固定資産税、保険料、手数料が織り込まれています。たとえば物件価格100万円で料率が2パーセントなら月額は2万円、5年契約の60回払いで総額120万円になります。数字は説明用の例で、実際の料率はリース期間や物件の種類、金利水準で変わります。総額と物件価格の差が、金利や税、保険、手数料の合計です。
新リース会計基準でリース料に含めるものは5つ、リース負債と使用権資産に入る範囲
新リース会計基準は2024年9月13日に公表され、2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用されます。借手はリースを、原資産を使用する権利である使用権資産と、リース料を支払う義務であるリース負債として計上します。このリース負債に含める借手のリース料は5つです。固定リース料、指数やレートに応じて決まる変動リース料、残価保証に係る支払見込額、行使が合理的に確実な購入オプションの行使価額、そして解約違約金です。基準は借手のリース料を、借手がリース期間中に原資産を使用する権利に関して貸手に行う支払と定義し、この5つで構成されると定めています。※1
借手のリース料を5つの要素で定義する
借手のリース料を構成する5つの要素は、それぞれ契約書の別々の条項に対応しています。要素ごとの内容と、契約書のどこを見れば分かるかを表にまとめました。
▼ 新リース会計基準で借手のリース料を構成する5つの要素
| 構成要素 | 内容 | 契約書のどこに書いてあるか |
|---|---|---|
| 固定リース料 | 変動リース料以外の支払。月額や年額として定められた金額 | リース料の条項、支払スケジュール |
| 指数やレートに応じて決まる変動リース料 | 消費者物価指数や市場金利などに連動して変わる部分。市場賃料を反映する協議見直し条項も含む | 料金改定条項、賃料改定条項 |
| 残価保証に係る支払見込額 | リース終了時の処分価額が保証額に満たないときに借手が払うと見込む金額 | 残価保証条項、精算条項 |
| 合理的に確実な購入オプションの行使価額 | 借手が行使することが合理的に確実と判断した買取価格 | 購入選択権条項、買取条項 |
| 解約違約金 | リース期間に借手の解約オプションの行使を反映している場合の違約金 | 中途解約条項、規定損害金の条項 |
固定リース料の定義は、変動リース料以外のものという消去法で書かれています。変動リース料とは、リース開始日後に発生する事象や状況の変化で変動する部分のことで、時の経過だけで変わる部分は含みません。共益費や保守料のように、リースそのものではない部分に払う対価は借手のリース料に含まれません。基準はこの部分をリースを構成しない部分と呼びます。一方、固定資産税や保険料の相当額はここでいうリースを構成しない部分には当たりません。ただし、リースを構成する部分と構成しない部分を分けずに処理する方法を選んだ場合は例外で、その扱いは共益費や保守料の区分を扱う章で説明します。※1
契約書の支払総額と会計上のリース料は一致しない、現在価値で測る
リース負債は、リース開始日に未払の借手のリース料から利息相当額を差し引き、現在価値で算定します。月額に回数を掛けた支払総額をそのまま負債にするのではありません。現在価値とは、将来払う金額から利息分を差し引いた今の価値のことです。割引率は、貸手の計算利子率を知り得る場合はその利率、知り得ない場合は借手がリース期間と同じ期間の借入れをしたときに適用されると合理的に見積られる利率、つまり追加借入利子率です。内訳に示された金利をそのまま使うわけではありません。差し引いた利息相当額は、リース期間にわたって原則として利息法で支払利息に配分します。適用指針の設例は、月額1,000千円、つまり100万円を60回支払う契約を扱っています。総額60,000千円を年8パーセントの追加借入利子率で割り引くと、後払いの場合のリース負債は49,318千円。差額の10,682千円がリース期間中の支払利息です。※1※2※3
●使用権資産の計算に関する記事はこちら

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リース開始日までに支払ったリース料は使用権資産に加える
使用権資産の計上額は、リース負債を起点に計算します。リース負債に、リース開始日までに支払った借手のリース料と付随費用、資産除去債務に対応する除去費用を加え、受け取ったリース・インセンティブを差し引いた金額が使用権資産です。契約時に一括で払った前払リース料や頭金は、負債ではなく使用権資産の側に乗ります。貸手から受け取ったリース・インセンティブは、逆に使用権資産を減らします。不動産の敷金のうち返還されない部分の扱いは、不動産賃貸借契約の記事で整理しています。※1
変動リース料の会計処理、指数・レート連動は含めて売上連動は費用にする
変動リース料の会計処理は、何に連動して変わるかで分かれます。消費者物価指数や市場金利といった指数やレートに応じて決まる変動リース料はリース負債に含めます。売上高や使用量に連動する変動リース料は含めず、発生した期の費用にします。基準は、解説部分である結論の背景で変動リース料を3つの類型に分け、指数連動は負債の定義を満たすとして含め、業績連動と使用連動は国際的なコンセンサスが得られていないとして含めないと整理しています。3つの類型とは別に、形式は変動でも実質的に固定のものは固定リース料と同様に扱います。※1
▼ 変動リース料の類型とリース負債への算入
| 変動リース料の類型 | 例 | リース負債に含めるか |
|---|---|---|
| 指数やレートに応じて決まるもの | 消費者物価指数の変動に連動する賃料、市場金利に連動するリース料、市場賃料を反映する協議見直し条項 | 含める。リース開始日現在の指数やレートで算定する |
| 借手の業績に連動するもの | テナントの売上高の所定割合を支払う歩合賃料 | 含めない。発生した期の費用にする |
| 原資産の使用に連動するもの | 複合機の印刷枚数が所定値を超えた分の追加料金、車両の走行距離に応じた料金 | 含めない。発生した期の費用にする |
| 形式は変動でも実質的に固定のもの | リース開始日には使用量に連動するが、開始後のある時点で変動可能性が解消され、残りの期間の支払額が固定化されるリース料 | 固定リース料と同様に含める |
指数やレートに応じて決まる変動リース料は開始日の水準で測る
指数やレートに応じて決まる変動リース料は、リース開始日現在の指数やレートに基づいてリース期間全体のリース料を算定します。将来の物価上昇を予想して上乗せするのではなく、開始日の水準で固定して計算するのが原則です。市場の賃料水準を反映するために当事者の協議で見直すと契約に定められた賃料も、この類型に含まれます。合理的な根拠をもって指数やレートの将来の変動を見積れる場合には、見積った水準で算定する方法をリースごとにリース開始日に選ぶこともできます。適用指針の設例では、年額50,000千円の賃料が消費者物価指数の20パーセント上昇で60,000千円に見直される契約を扱っており、見直し後の年額で残りの期間のリース負債を修正します。※2※3
売上や使用量に連動する変動リース料は発生した期の費用にする
売上高や使用量に連動する変動リース料は、リース負債に含めません。売上が立つまでは支払義務が確定せず、負債といえるかどうか国際的に結論が出ていないためです。そのため、支払義務が発生した期の費用として処理します。店舗の賃料が固定の月額に売上高の1パーセントを加える契約なら、固定部分だけをリース負債にし、売上に応じた部分は毎期の賃借料になります。リース負債に含めなかった変動リース料は発生時に損益に計上し、損益計算書で区分表示していない場合は、その費用の発生額と含まれる科目を注記します。※1※2
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実質的な固定リース料は固定リース料として扱う
契約書の上では変動リース料に見えても、実質的に支払を避けられないものは固定リース料と同じようにリース負債に含めます。同じ結論の背景は2つの形を挙げています。ひとつは形式上は指標に連動するが実質的に支払が不可避なもの、もうひとつはリース開始後のある時点で変動可能性が解消され、残りの期間の支払額が固定化されるものです。歩合賃料に最低保証額が付いている場合の最低保証部分も、前者の支払が不可避なものに当たると考えられ、固定リース料として負債に含めたうえで、それを超える売上連動分だけを発生時の費用にします。契約書では下限条項や最低保証条項に現れるので、変動と書いてあるだけで負債から外さないことが大切です。※1

指数やレートが変動したときはリース負債を見直す
指数が動いただけで実際の支払額が変わらないうちは見直しません。指数やレートの変動で今後支払うリース料が実際に変わったときに、残りのリース期間分のリース料とリース負債を変動後の水準で修正します。修正額の相手勘定は使用権資産です。将来の変動を見積る方法を選んだ場合は、決算日ごとに見積り直します。購入オプションの行使判定や残価保証の支払見込額に変更があったときも、同じくリース負債の見直しの対象です。※2
残価保証はリース料に含める、保証額ではなく支払見込額
残価保証とは、リースが終わった時点で物件の処分価額が契約で決めた保証額に届かない場合に、その不足額を借手が貸手に支払う条件のことです。残価保証は借手のリース料に含めます。含める金額は契約に書かれた残価保証額そのものではなく、残価保証に係る借手による支払見込額です。旧基準では所有権移転外ファイナンス・リースのリース料総額に残価保証額を含めていました。新基準では、借手が実際に支払うと見込む金額をリース料に含める考え方に変わっています。保証額が1,000万円でも、終了時の処分価額を800万円と見込むなら、リース料に含めるのは不足分として支払う見込みの200万円です。※1
▼ 残価保証の扱いの新旧比較
| 項目 | 旧基準 | 新リース会計基準 |
|---|---|---|
| リース料に含める金額 | 残価保証額 | 残価保証に係る借手による支払見込額 |
| 対象となるリース | 所有権移転外ファイナンス・リース | 借手のすべてのリース |
| 残存価額の扱い | 残価保証額を残存価額として減価償却する | 支払見込額をリース料に含めるため、残価保証額を残存価額としない |
| 見積りの要否 | 見積りなし。残価保証額をそのまま含める | 支払見込額を見積る。見積りが困難な場合に残価保証額を用いる簡便的な取扱いは設けられていない |
残価保証は支払見込額を見積って含める
新基準では、借手はリース開始日に処分価額を見込み、保証額との差額として支払うと見込む金額を算定します。基準の審議では見積りが困難だという意見も出ましたが、簡便法は設けられていません。見込額が変われば、リース負債を見直す対象になり、終了時に不足額が確定した時点でリース負債の残高を未払金に振り替えます。既存の所有権移転外ファイナンス・リースで、適用初年度の前期末のリース資産とリース債務の帳簿価額をそのまま引き継ぐ方法を選ぶ場合は、帳簿価額に含まれる残価保証額を適用初年度の期首時点の支払見込額に修正します。※2※1
旧基準と違って残価保証額を残存価額から外す
新基準では、残価保証額を残存価額とする処理がなくなります。残存価額とは、償却せずに残す金額のことです。旧基準では残価保証額をリース資産の残存価額として残し、取得価額から残価保証額を差し引いた額を減価償却していました。新基準は支払見込額をリース料に含めるため、この扱いは使えません。使用権資産の減価償却そのものの計算方法や耐用年数の考え方は、リース資産の減価償却の記事にまとめています。税務でも令和7年度税制改正で見直しがありました。2027年4月1日以後に締結した所有権移転外リース取引の契約では、リース期間定額法の計算で残価保証額を控除せず、帳簿に残す備忘価額1円まで償却できるようになっています。申告調整の要否は税理士に確認してください。※4
●リース資産の減価償却に関する記事はこちら
購入選択権は行使が合理的に確実なら行使価額を含める
購入選択権付リースとは、期間満了時にあらかじめ決めた価格で物件を買い取るか、返却や再リースを選べる契約のことです。物件価格から買取価格分を差し引いて月額が計算されることが多く、通常のリースより月々の負担が軽くなります。この購入選択権を基準は購入オプションと呼びます。借手が行使することが合理的に確実と判断した場合に限り、その行使価額を借手のリース料に含め、契約に買取条項があるだけでは含めません。旧基準は割安購入選択権の行使が確実に予想される場合に限っていましたが、新基準では割安かどうかだけでなく他の要因も考慮して、行使が合理的に確実かどうかで判断します。※1
合理的に確実と判断する要因、割安価格・事業上の重要性・設備改良
合理的に確実かどうかは、借手に行使する経済的なインセンティブがあるかで判断します。適用指針に購入オプション専用の要因はなく、延長オプションや解約オプションについて挙げられた5つの判定要因を当てはめます。対象期間に係る契約条件、大幅な賃借設備の改良の有無、リースの解約に関連して生じるコスト、企業の事業内容に照らした原資産の重要性、オプションの行使条件の5つです。購入オプションに当てはめると、判断材料は次のようになります。行使価額が見込まれる時価より低いか。その物件が事業に欠かせないか。借手が物件に大きな改良を加えているか。返却や入れ替えに大きなコストがかかるか。指針が挙げる要因ではありませんが、過去に同種の物件を買い取ってきた実績も実務では参考になります。担当者が買う予定と答えただけでは足りません。判定の根拠を文書で残します。判定に変更があればリース負債を見直します。※2
含めた場合の影響、減価償却の方法と耐用年数
行使価額をリース料に含めると、その分だけリース負債と使用権資産が大きくなります。行使が合理的に確実な購入オプションがあるリースは、契約条件に照らして原資産の所有権が借手に移転すると認められるリースに当たります。この場合、使用権資産の減価償却は自ら所有していたと仮定した場合と同じ方法で行います。耐用年数は経済的使用可能予測期間、残存価額は合理的な見積額です。リース期間で償却する通常のリースとは償却の期間が変わる点に注意が必要です。※2※1
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共益費・保守料・固定資産税・保険料はリース料に含めるか、リースを構成しない部分の考え方
保守や清掃、設備管理のように借手に財やサービスを移転する部分は、原則としてリースを構成しない部分、いわゆる非リース部分として区分し、リース料に含めません。契約の対価は、リースを構成する部分と構成しない部分のそれぞれの独立価格の比率で配分します。独立価格とは、貸手や類似のサプライヤーがその部分だけを個々に請求するであろう価格のことです。一方、固定資産税や保険料の相当額は借手に財やサービスを移転しないコストで、保守料のように切り出しません。機械や設備のように非リース部分のない契約では、結果としてリース料に含まれます。分けずにまとめてリースとして処理する簡便法を選ぶこともできます。※1※2
▼ リース料に含める費目と含めない費目の区分
| 費目 | 区分 | 根拠と実務の注意 |
|---|---|---|
| 賃料、機器の使用料 | リースを構成する部分 | 借手のリース料としてリース負債に含める |
| 共益費、管理費、清掃や警備の費用 | リースを構成しない部分 | サービスの対価として区分し費用処理する。契約書に内訳がなければ独立価格の比率で配分する |
| 保守やメンテナンスの料金 | リースを構成しない部分 | 同上。保守契約が別立てなら最初から対象外 |
| 固定資産税や保険料の相当額 | 財やサービスを移転しないコスト | 独立した非リース部分にはならず、契約対価の一部としてリースを構成する部分と構成しない部分に配分する |
共益費や保守料は財やサービスを移転する部分として区分する
契約書に賃料と共益費が別々に書かれていれば、それが貸手や類似のサプライヤーが個々に請求するであろう価格と言えるかを確かめたうえで独立価格にします。独立価格が明らかでない場合は、観察可能な情報を最大限に利用して合理的な方法で見積ります。適用指針の設例7は、対価81,000千円を独立価格の比率でリース部分64,800千円と非リース部分16,200千円に配分する借手の例を示しています。※2
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固定資産税や保険料の相当額は対価の一部として配分する
固定資産税や保険料の相当額は、借手に財やサービスを移転しない活動やコストについて借手が支払う金額に当たります。適用指針は、この金額を対価から控除せず、契約対価の一部としてリースを構成する部分と構成しない部分に配分すると定めています。設例7も、借手が固定資産税と保険料の金額を把握していたとしても対価から控除しないと明記しています。保守料のように独立した非リース部分として切り出す扱いではないため、非リース部分を持たない機械や設備のリースでは、結果としてリース料の一部に含まれることになります。貸手側ではこうした固定資産税や保険料等の諸費用を維持管理費用相当額と呼び、旧基準ではリース料総額から控除する扱いでしたが、新基準の借手にはリース負債の算定でその定めがありません。控除できるのは、少額リースに当たるかを契約1件当たりの金額で判定するときに限られます。※2
●リース資産の償却資産税に関する記事はこちら
区分しない簡便法は科目ごとまたはグループごとに選択する
借手は、リースを構成する部分と構成しない部分を分けずに、まとめてリースとして処理することを選べます。簡便法は契約1件ごとではなく、建物なら建物、車両なら車両という単位で選びます。基準上の単位は、原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表に表示する科目ごと、または性質と用途が類似する原資産のグループごとです。連結財務諸表でも、個別財務諸表での選択をそのまま使えます。簡便法を選ぶと共益費や保守料の相当分もリース負債に乗るため、負債が大きくなる代わりに配分の手間が省けます。不動産の共益費や敷金、フリーレントの具体的な扱いは、不動産賃貸借契約の記事で解説しています。※1
●不動産賃貸借契約の新リース会計基準に関する記事はこちら
リース料の前払いと後払いで会計処理はどう変わるか
リース料を前払いにするか後払いにするかで、リース負債の計上額と初回の利息の計算が変わります。前払いでは初回の支払がリース開始日と同じ日になるため割引の対象にならず、支払った時点でリース負債から同額が減る仕組みです。後払いでは全回が割引の対象になり、初回の支払から利息が生じます。適用指針の設例で比べると、同じ月額1,000千円を60回支払う契約でも、リース開始日のリース負債と使用権資産の計上額は前払いなら49,647千円、後払いなら49,318千円。支払う日が1か月ずれるだけで計上額に329千円の差が出ますが、この差は後払いの初回の利息と同じ金額です。※3
▼ 前払いと後払いの計上額の違い(月額1,000千円=100万円×60回・年8%の設例。利息の合計=支払総額60,000千円と計上額の差)
| 項目 | 前払い | 後払い |
|---|---|---|
| 支払時期 | 当月分を前月末に支払う。初回はリース開始日 | 当月分を翌月初に支払う |
| リース開始日の計上額 | 49,647千円 | 49,318千円 |
| 初回の支払 | リース開始日に1,000千円を支払い、全額が元本の返済 | 翌月初に1,000千円を支払い、うち329千円が利息 |
| 利息の合計 | 10,353千円 | 10,682千円 |
前払いは初回の支払分が割引なしで負債から控除される
前払いの場合、リース開始日に使用権資産とリース負債を49,647千円で計上し、同じ日に第1回の1,000千円を支払います。時間が経っていないので利息はゼロで、支払額の全額がリース負債の返済になります。第2回以降は前回支払後の元本に利率を掛けた利息と元本の返済に分かれ、設例では第2回の1,000千円のうち325千円が利息です。※3
後払いは全額を現在価値に割り引く
後払いの場合は60回すべての支払が将来の支払として割引の対象になり、計上額は49,318千円と前払いより小さくなります。翌月初の第1回の支払1,000千円の内訳は、元本の返済671千円と利息329千円。以後も同じ仕組みで、支払を重ねるごとに利息の割合が減っていきます。毎月の仕訳の書き方は、リース取引の仕訳の記事で早見表にしています。※3
●リース料の仕訳に関する記事はこちら
リース料の範囲を判定するために契約書のどこを読むか
変動リース料、残価保証、購入選択権、共益費、支払時期の判定は、すべて契約書の特定の条項に答えがあります。請求書の月額だけを見ても、共益費が含まれているか、最低保証があるか、残価保証が付いているかは分かりません。契約書のどの条項から何を読み取り、5つの要素のどれに振り分けるかを一覧にすると、契約書やリースの管理台帳の項目設計に使えます。
条項別チェックリストで読み取る情報を決める
リース料の範囲は、次の条項から読み取れます。条項ごとに読み取る情報と、借手のリース料のどの要素に振り分けるかを表にしました。
▼ リース料の範囲を判定するための契約書の条項チェックリスト
| 契約書の条項 | 読み取る情報 | 振り分け先と参照する項目 |
|---|---|---|
| リース料の条項、支払スケジュール | 月額や年額、支払回数、支払日 | 固定リース料。支払時期は前払いと後払いの項へ |
| 料金改定条項、賃料改定条項 | 何に連動して改定するか。指数や金利か、協議による市場賃料の見直しか、売上や使用量か | 指数やレート連動なら含める。売上や使用量連動なら発生時の費用 |
| 最低保証条項、下限条項 | 変動する料金に下限や最低額があるか | 最低保証部分は実質的な固定リース料として含める |
| 残価保証条項、精算条項 | 保証額、精算の方法、処分価額の算定方法 | 支払見込額を見積って含める |
| 購入選択権条項、買取条項 | 行使価額、行使の時期と条件 | 行使が合理的に確実なら行使価額を含める。判定の根拠を残す |
| 共益費、保守、サービスの条項 | 賃料と共益費の内訳、保守の範囲、金額が分かれているか | サービスの対価はリースを構成しない部分として区分する。簡便法の方針も確認 |
| 中途解約条項、規定損害金の条項 | 解約できる時期、違約金の額 | 解約オプションの行使をリース期間に反映する場合は違約金を含める |
| 延長条項、自動更新条項 | 更新の有無、延長オプションの条件 | 借手のリース期間の判定に使う。リース料の対象期間が変わる。判定の考え方は新リース会計基準の対応ガイドへ |
| 原状回復条項、敷金や保証金の条項、インセンティブの条項 | 原状回復義務の有無、返還されない敷金、貸手から受け取る金額 | 使用権資産の加減算項目。リース負債の範囲とは別に台帳で管理する |
この表を埋めるには、契約書を1件ずつ開いて該当する条項を探す作業が要ります。契約の数が数百件、グループ会社を含めれば数千件になると、条項を読む人手と、読み落としがないかを確かめる仕組みの両方が必要です。

読み落としを人手に頼らず導入後の運用を決める
TOKIUM契約管理は、経理AIエージェントTOKIUMが提供する契約管理サービスで、上場企業300社以上に導入されています。各部署やグループ会社に分散した紙の契約書はTOKIUMに郵送するだけでスキャンと原本保管を代行し、AIが取引先名や契約期間などの情報を自動で読み取ってデータ化し、管理台帳を作成します。※5※6
新リース会計基準への対応では、契約内容にリースを含む可能性をAIが自動で判定し、判定の根拠となった条文を契約書のPDF上にハイライトして示します。判定結果と根拠条文はCSV形式でダウンロードでき、出力形式はリース資産管理システムに合わせて選択可能です。契約書を1件ずつ開いてリースを含む条項を探す作業と、その読み落としがないかを確かめる作業を人手だけに頼らずに済みます。経理はリースを含む可能性があると判定された契約書に絞って、変動リース料や残価保証、購入選択権の条項を自ら確認し、どう扱うかの判断に時間を使えます。違約金や解約不能期間などの任意の情報も、AIによるデータ化の対象です。条項チェックリストの項目を台帳に写す作業も減らせます。契約管理と新リース判定を同じ基盤で行うため、契約書の収集からリース判定、契約更新の毎月のメール通知までを1つの台帳で回せます。※6※7
業務用食品卸売の株式会社トーホーでは、グループ16社、1万件を超える契約書を対象にTOKIUM AI新リース判定を導入しました。グループ各社に分散していた契約書管理の効率化と、過去分の契約書のリース判定作業の大幅な工数削減を見込んでいます。※8
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導入を検討するときに先に決めておきたいのは、機能の比較よりも、導入後に条項を読む作業を誰が担い、判定の根拠をどこに残すかという運用です。契約書を集める担当、根拠条文を確認して振り分けを判断する経理、判定結果を会計システムに渡す担当。この3つを決めておくと、適用初年度の棚卸しだけでなく毎期の見直しまで同じ流れで回せます。TOKIUM契約管理の新リース会計基準への対応内容は、製品資料でご確認いただけます。ぜひダウンロードしてご覧ください。
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まとめ、リース料の範囲は契約書の条項で決まる
リース会社が説明するリース料の内訳と、新リース会計基準でリース負債に含める借手のリース料は、別の枠組みです。内訳が物件価格や金利、税、保険、手数料の積み上げであるのに対し、会計上のリース料は固定リース料を軸にした5つの要素。変動リース料は何に連動するかで、残価保証は支払見込額で、購入選択権は行使の確実性で、共益費は財やサービスの対価かどうかで振り分けます。どれも契約書の条項に答えがあり、範囲を決める作業は契約書を集めて条項を読むところから始まります。条項を読む作業を誰が担うかを決めたうえで、契約書の一元管理と新リース判定を1つの基盤で行うならTOKIUM契約管理をご検討ください。
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リース料に含まれるものに関するよくある質問
リース料に消費税はかかりますか
リース料は原則として消費税の課税対象で、借手は仕入税額控除の対象にできます。税務上売買とされるリース取引では引渡し時の一括控除が原則で、賃貸借処理をしている場合は支払ごとの控除も認められています。詳しくはリース取引と消費税の記事で整理しています。※9※10
●リース取引の消費税に関する記事はこちら
短期リースや少額リースでもリース料の範囲の判定は必要ですか
短期リースや少額リースの簡便的な取扱いを選んだ契約では、使用権資産とリース負債を計上せず、借手のリース料をリース期間にわたって原則として定額法で費用処理します。そのため5つの要素を現在価値で測る作業は要りません。ただし少額リースに当たるかを契約1件当たりの金額で判定するときは、リース料に維持管理費用相当額が含まれていれば、その合理的な見積額を控除して判定できます。判定の基準額と手順は新リース会計基準の対応ガイドで整理しています。※2
●新リース会計基準の対応と変更点に関する記事はこちら
リース料の勘定科目は何を使いますか
使う科目は使用権資産、リース負債、支払利息、減価償却費です。使用権資産とリース負債を計上するリースでは、支払時にリース負債の返済と支払利息に分けて仕訳し、期末に使用権資産を減価償却します。短期リースや少額リースの簡便的な取扱いを適用する場合は、支払リース料や賃借料の科目で費用処理します。契約の種類ごとの仕訳はリース取引の仕訳の記事に早見表があります。
フリーレントやリース・インセンティブはリース料にどう影響しますか
フリーレント期間について借手側に個別の定めはなく、リース開始日に未払の借手のリース料を現在価値で測る考え方に沿って、無償期間も含めたリース期間全体の支払額で計算します。貸手から受け取ったリース・インセンティブは使用権資産の計上額から差し引くため、契約書でフリーレントが賃料の免除なのか、貸手からの支払なのかを確認しておく必要があります。不動産の契約に特有の論点は不動産賃貸借契約の記事にまとめています。※1
賃借料とリース料はどう違いますか
賃借料は建物や機器を借りる対価を費用として処理するときの勘定科目で、リース料はリース契約に基づいて支払う対価の呼び名です。旧基準ではオペレーティング・リースの支払を賃借料で費用処理してきました。新リース会計基準では原則としてすべてのリースで使用権資産とリース負債を計上するため、賃借料として費用処理できるのは短期リースや少額リースの簡便的な取扱いを適用する場合などに限られます。
リース料は未払計上しますか
使用権資産とリース負債を計上するリースでは、元本部分はすでにリース負債として計上されているため、別途の未払計上は不要です。ただし決算日までに発生した利息相当額は、支払日が未到来でも未払利息として計上します。簡便的な取扱いで費用処理するリースは、期間に対応する分を発生主義で計上するため、後払いで期末に未払の分があれば未払費用として計上します。※3
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- 企業会計基準委員会「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」(2024年9月13日公表・PDF)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 企業会計基準委員会「企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針」(2024年9月13日公表・PDF)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 企業会計基準委員会「企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針 設例」(PDF)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」D 新リース会計基準に対応する改正(PDF)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 株式会社TOKIUM プレスリリース「経理AIエージェントTOKIUM、累計導入社数が3,000社を突破」(2025年12月4日)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 株式会社TOKIUM「TOKIUM契約管理」製品ページ(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 株式会社TOKIUM「新リース会計基準対応ならTOKIUM契約管理」(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 株式会社TOKIUM プレスリリース「業務用食品卸売のトーホー、グループ16社にTOKIUM AI新リース判定を導入」(2026年6月19日)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 国税庁 タックスアンサー「No.6163 リース取引についての消費税の取扱いの概要」(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
- 国税庁 質疑応答事例「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎


