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リース期間の判定基準とは?新リース会計基準の延長・解約オプションの判断と根拠の残し方

更新日:2026.09.08

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リース期間の判定_延長・解約オプション

リース期間の判定とは、新リース会計基準のもとで借手のリース期間を何年にするかを決めることです。出発点は、借手が原資産、つまり借りている物件や設備を使う権利を持ち、中途で解約できない期間になります。そこに、延長オプションのうち行使が「合理的に確実」な期間と、解約オプションのうち行使しないことが合理的に確実な期間を足します。契約書に書かれた年数がそのままリース期間になるとは限りません。延長や解約の可能性は、経営者の意向ではなく、借手に行使する経済的なインセンティブがあるかどうかで判断します。1

監査で問われるのは、何年と決めたかよりも、その時点で分かっていた事実からなぜその年数が合理的だったのかを再現できるかどうかです。リース期間の3つの要素から、「合理的に確実」の判断基準、見積りの手順、賃貸借契約や自動更新契約の考え方、再判定の時期、監査に説明できる根拠資料と議事録の残し方までを、企業会計基準第34号と適用指針第33号の原文と設例にもとづいて整理しました。

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リース期間の判定とは?新リース会計基準における3つの要素

リース期間は、解約不能期間、延長オプションの期間、解約オプションの期間の3つで組み立てます。この3つを足して借手のリース期間を決める、というのが企業会計基準第34号第31項の定めです。オプションの期間を足すかどうかは、行使するか行使しないかが合理的に確実かで決まります。決めた年数は、借りる権利を資産として計上する使用権資産と、リース料の支払義務であるリース負債の金額にそのまま反映されます。財務数値への影響の全体像は、新リース会計基準の対応ガイドで解説しています。1

新リース会計基準の変更点と対応に関する記事はこちら

借手のリース期間は解約不能期間に合理的に確実な延長オプション期間と解約オプション期間を加えて決まることを示す図

解約不能期間と延長オプション・解約オプションの3つの要素

3つの要素は、契約書のどの条項を見るかと、誰が権利を持っているかで見分けます。借手だけが解約できる場合、その権利は借手が使えるオプションとして扱い、貸手だけが解約できる場合、その期間は借手の解約不能期間に含めます。この扱いは企業会計基準第34号第31項の後段が定めています。双方が解約できる契約について会計基準は個別の定めを置いていないため、実務では解約不能期間をどこまでとみるかを契約ごとに判断します。1

▼ リース期間を構成する3つの要素と契約書の確認箇所

要素意味契約書で見る条項誰が権利を持つか
解約不能期間借手が原資産を使用する権利を持ち、中途で解約できない期間契約期間、中途解約条項、解約予告期間借手が解約できなければ全期間。借手が予告して解約できるなら予告期間まで
延長オプションの対象期間借手が更新や延長を選べる期間のうち、行使することが合理的に確実な部分更新条項、自動更新条項、更新料、更新後の賃料借手に更新の選択権があるとき
解約オプションの対象期間借手が途中で解約できる期間のうち、行使しないことが合理的に確実な部分中途解約条項、違約金、原状回復条項借手に解約の選択権があるとき。貸手だけが解約できる期間は解約不能期間に含める

契約期間とリース期間が一致しない2つのケース

契約書の年数とリース期間がずれる方向は2つあります。長くなるのは、更新や延長オプションの行使が合理的に確実なときです。短くなるのは、借手が予告すれば解約できる契約で、解約不能期間が契約期間より短いときです。適用指針の設例では、契約期間1年でも借手が3か月前に通知して解約できるなら解約不能期間は3か月、契約期間40年でも6か月前の通知で解約できるなら解約不能期間は6か月と整理されています。そこから先を何年にするかは、経済的インセンティブの判断で決まります。2

旧リース会計基準やIFRS第16号との違い

新基準は、借手のリース期間の決め方をIFRS第16号と整合させ、延長オプションや解約オプションの行使可能性まで含めて判断することとしました。企業会計基準第34号BC36がその経緯を説明しています。貸手については、借手と同じ方法によるか、企業会計基準第13号の定めを踏襲した方法によるかを選べます。IFRS第16号との違いは別記事で解説しています。1

IFRS16と新リース会計基準の違いに関する記事はこちら

延長オプションと解約オプションの判断基準、合理的に確実とは

延長オプションを行使するか、解約オプションを行使しないかが合理的に確実といえるかは、借手に行使する経済的インセンティブがあるかどうかで判断します。適用指針第33号BC30は、借手のリース期間について「経営者の意図や見込みのみに基づく年数ではなく、借手が行使する経済的インセンティブを生じさせる要因に焦点を当てて決定される」と説明しています。使う期間が結果として超長期になる可能性があっても、リース期間が必ずその超長期になるわけではありません。3

合理的に確実の閾値の考え方

「合理的に確実」に数値の閾値はありません。適用指針第33号の結論の背景BC29は、蓋然性が相当程度高いことを示すとしたうえで、米国基準の結論の根拠には、発生する可能性の方が高いという水準よりは高く、ほぼ確実という水準よりは低いと記載されていることを紹介しています。50%を超えれば足りる話ではなく、100%近い確信までは求められない、という位置づけです。社内で何%と線を引くと、その%を満たしたことをどう立証するかを別途問われます。要因ごとに延長する方向の事実と延長しない方向の事実を並べ、どちらに傾いたかを文章で残し、判断の枠組みは監査法人と先に合わせておきます。3

経済的インセンティブの5つの要因と確認する事実

判断の材料は、適用指針第33号第17項が例示する5つの要因です。オプションの対象期間に係る契約条件、大幅な賃借設備の改良の有無、リースの解約に関連して生じるコスト、企業の事業内容に照らした原資産の重要性、オプションの行使条件を総合的に勘案します。要因ごとにどの事実を確かめ、それがどの資料に残っているかまで対応させると、判定と証跡づくりが同時に進みます。要因が相反したときは点数を付けて合計せず、結論を左右した事実を1つ特定して書き切ると、監査人の質問に答えやすくなります。3

▼ 合理的に確実の判断で考慮する5つの要因と確認する事実

要因確認する事実証拠になる資料判断への効き方
オプションの対象期間に係る契約条件延長後の賃料が市場水準より有利か、違約金、残価保証、購入オプションの有無契約書の賃料改定条項と違約金条項、市場賃料の調査資料有利な条件は延長する方向、重い違約金は解約しない方向に働く
大幅な賃借設備の改良の有無内装や設備に多額の投資をしているか、移設できるか、除去にいくらかかるか設備投資の稟議書、固定資産台帳、原状回復の見積書改良の金額と移設の可否で総合判断する。除却を避ける動機になる
リースの解約に関連して生じるコスト移転費用、撤去費用、代替資産の調達コストの見込み移転や解体の見積書、代替物件の調査記録コストが大きいほど延長する、または解約しない方向に働く
企業の事業内容に照らした原資産の重要性その拠点や設備が事業の中核か、代替が容易か事業計画、拠点別の損益資料、経営会議の資料戦略的に重要な資産ほど継続使用の蓋然性が上がる
オプションの行使条件行使の条件が借手にとって有利か不利か契約書の更新条項と解約条項借手に有利な条件は経済的インセンティブを生む

解約オプションの逆向きの判断

解約オプションは延長オプションと判断の向きが逆になります。借手が解約できる権利を持っていても、行使しないことが合理的に確実なら、解約できる日以降の期間もリース期間に含めます。適用指針の設例8-4は、借手が6か月前の通知で解約できる土地に店舗用の建物を建てたケースです。解約すれば建物の解体費用が生じ、収益が計画どおりでなければ残りの使用可能期間を転貸する予定もあったため、20年間は自社の事業または転貸で使い続けるとして、20年までは解約しないことが合理的に確実と判断されました。20年を超える期間は建て替えのコストが要るため、合理的に確実とはいえないと整理されています。前提と結論は後掲の一覧表にまとめました。解約そのものの可否や違約金の考え方は、別記事で解説しています。2

リース契約の解約と新リース会計基準の注意点に関する記事はこちら

過去の更新実績や経営者の意向だけでは根拠にならない

過去に毎回更新してきた事実は判断材料の一つにすぎず、それだけを根拠にリース期間を延ばすことはできません。適用指針第33号BC33は、特定の種類の資産を通常使用してきた過去の慣行及び経済的理由は有用な情報を提供する可能性があるとしています。ただし、一概に過去の慣行に重きを置いて判断することを要求するものではなく、将来の見積りに焦点を当てる必要があり、判断は諸要因を総合的に勘案して行うとも述べています。設例8-5では、過去に別の立地で10年間オフィスを借りた経験がある会社が登場します。それでも重要な附属設備、つまり内装や造作など建物に取り付けて使う設備がなく、代替の立地も探せるため、5年の解約不能期間を超えて延長する可能性は合理的に確実より低いと判断されました。更新実績は、賃料の有利さや設備投資、移転コストといった経済的な事実と組み合わせて初めて根拠になります。なお適用指針第33号BC31は、リース期間終了後の代替資産の調達に要するコストを考慮すると、解約不能期間が短いほど延長オプションを行使する可能性や解約オプションを行使しない可能性が高くなる場合があり、解約不能期間が十分に長い場合には低くなる場合があるとしています。32

マンガでわかる!新リース会計基準強制適用企業の実務担当者が最初にやるべき取り組みとは?

リース期間は4つのステップで見積もる

リース期間の見積りは4つの手順で進めます。契約書から条項を抜き出し、類型ごとに判定ルールを決め、シナリオを置いて境目を決め、結果と根拠を台帳に記録する流れです。1件ずつ白紙から判断すると担当者ごとに結論がぶれ、監査で説明しにくくなるためです。先に類型ルールを固め、難しい契約だけ個別に検討すれば、件数が多くても回せます。なお適用初年度は、既存契約をいつ時点の事実で判定するかで集める資料の範囲が変わるため、採用する経過措置を会計方針として先に決めておきます。

リース期間の見積りを契約書の条項抽出、類型別ルール、シナリオによる境目の決定、台帳への記録の4ステップで示すフロー図

契約書から解約不能期間とオプション条項を抜き出す

最初に確かめるのは、契約書のどの条項がリース期間の3要素に対応するかです。契約期間だけでなく、誰が何か月前に通知すれば解約できるか、違約金はいくらかを条文単位で拾います。更新の有無、更新料や更新後の賃料の決め方、購入オプションや残価保証、原状回復の範囲も同じ台帳に載せます。請求書の月額だけでは、解約不能期間もオプションの有無も分かりません。原本が各部署や子会社に散らばっている場合は、判定の前に契約書を集める作業が要ります。

契約の類型ごとにグルーピングして判定ルールを決める

店舗、事務所、車両、OA機器、工場設備といった類型ごとに、典型的な契約条件と延長や解約の傾向を整理し、標準の判定ルールを先に決めます。同じ類型なら同じ考え方で判定し、標準から外れる契約だけを個別に検討すると、判断のばらつきを抑えられます。次の表は典型的な見方の例で、実際の判定は各契約の事実にもとづいて行います。

▼ 契約の類型別に整理する判定ルールの例

類型典型的な契約条件見るべき経済的インセンティブ判定ルールの立て方の例
店舗の賃貸借普通借家で1年から5年、自動更新、内装投資が大きい附属設備の改良、リニューアル周期、拠点の戦略的重要性附属設備の使用可能期間とリニューアル周期を軸に、拠点の重要度で分ける
事務所の賃貸借普通借家で2年から5年、更新は市場賃料代替立地の有無、移転コスト、設備投資の大きさ重要な設備投資がなく代替できるなら解約不能期間を基本にする
土地の賃貸借長期の普通借地、借手が予告して解約可能建物の解体費用、転用や転貸の可能性、建て替えコスト建物の物理的使用可能期間を上限の目安に、解約しない期間を判断する
車両のリース3年から5年、満了後は入替が中心再リース料の水準、代替調達の容易さ入替が常態なら解約不能期間を基本にし、再リースの扱いを全社で統一する
OA機器や複合機5年から6年、満了後は1年ごとの再リースが慣行再リース料が当初より大幅に低いか、入替コスト、保守契約との一体性再リースを独立したリースとして扱う方法を採るかを先に決める。再リース料が著しく低く継続使用が常態なら延長オプションとして評価する

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シナリオを置いて合理的に確実の境目を決める

何年にするかは、解約不能期間を出発点に現実的なシナリオを2つか3つ置いて決めます。要因を総合的に勘案し、延長する可能性が合理的に確実といえる境目がどこかを探す作業です。適用指針の設例8-2はこの進め方を示しています。1年ごとに更新できる店舗に、使用可能期間10年の重要な建物附属設備を設置し、5年ほどでリニューアルの除却と追加コストが生じる前提です。5年まで延長するシナリオは、附属設備の除却を避ける動機があるため合理的に確実といえる水準を上回ると判断されました。10年まで延長するシナリオは、リニューアルのコストを負担してまで延長するかが損益次第なので、この水準を下回るとされ、リース期間は5年に決まっています。境目を探すという発想に切り替えると、契約期間の1年か使用可能期間の10年かという二択で迷わずに済みます。2

適用指針の設例8-2にもとづき延長オプションの行使可能性が合理的に確実といえる境目からリース期間を5年と決める考え方を示す図

判定結果と根拠を台帳に記録し見直しの起点を置く

判定が終わったら、契約ごとに結論、考慮した要因と事実、判定日、次に見直す起点を台帳に残します。起点は、延長オプションの行使可能日の前、解約不能期間の終了前、大幅な改良や移転計画が決まった時点の3つです。自動更新の契約は更新のたびの書面が残らないため、賃料の支払履歴や改定の通知を、何年使ってきたかを示す資料として台帳に紐づけます。

賃貸借契約のリース期間は何年か、普通借家・定期借家・自動更新の判定

賃貸借契約のリース期間は、契約書の年数では決まりません。普通借家契約では、貸手に更新を拒絶する正当な事由があると認められない場合、借地借家法を根拠に借手が契約期間を超える延長オプションを持つと判断されます。定期借家契約は更新がなく期間満了で終了するため、契約期間が出発点です。1年ごとに更新できる契約は、経済的インセンティブ次第で5年にも10年にもなります。普通借地契約と普通借家契約は判断が難しいという意見が審議段階で寄せられたため、適用指針第33号は設例8-1から8-5を示しました。3

普通借家契約では貸手の更新拒絶が制限される

普通借家契約では、貸手は正当な事由がなければ契約の更新を拒絶できません。設例8-1は、契約期間1年、借手は3か月前の通知で解約できる建物の賃貸借契約で、貸手に更新を拒絶する正当な事由があるとは考えられないケースです。借手は借地借家法を根拠に、契約期間の1年を超える期間について延長オプションを持つと判断し、解約不能期間の3か月を超えて、行使が合理的に確実な延長オプションの期間を検討することになります。1年契約だからリース期間は1年、とはならない点が普通借家契約の出発点です。そこから何年になるかは、経済的インセンティブの要因を総合的に勘案して決めます。2

定期借家契約は契約期間が基本になる

会計基準と適用指針は定期借家契約について個別の定めや設例を置いていません。借地借家法上、定期借家契約は更新がなく期間満了で終了するため、実務では契約期間が解約不能期間の出発点になると考えられます。中途解約条項や再契約の取決めがある場合は、それらをオプションとして考慮します。期間満了後に同じ条件で再契約する運用が続いているケースでは、実質的に延長オプションと同じ経済的インセンティブがないかを確かめ、再契約の実績を一覧にしておくと、監査人の質問に契約単位で答えられます。不動産賃貸借契約の類型ごとの整理は、別記事で解説しています。

不動産賃貸借契約の新リース会計基準対応に関する記事はこちら

自動更新条項のある1年契約は経済的インセンティブで年数が分かれる

借手が更新を選択できる条項は延長オプションとして扱い、何年になるかは経済的インセンティブで分かれます。自動更新条項も、更新するかどうかを借手が実質的に選べるのであれば同様に考えられますが、会計基準と適用指針に個別の定めはないため、条項の建付けに即して判断します。先ほどの設例8-2と設例8-3は同じ契約条件ですが、結論は5年と10年に分かれました。分かれ目は店舗の位置づけです。8-3は戦略的に重要な店舗として多額の投資をし、損益だけで撤退を判断しない前提のため、附属設備の使用可能期間である10年までの延長が合理的に確実とされました。重要な附属設備がなく代替の立地も探せる事務所や倉庫では、延長を後押しする経済的インセンティブが乏しく、解約予告期間で区切られた解約不能期間が出発点になる場合が多くなります。ただし本社機能の集約、多額の原状回復費用、代替物件がないといった事実があれば結論は変わるため、類型ルールの例外として個別に判断します。2

設例8-1から8-5の判定結果を一覧で確認する

5つの設例を並べると、同じ契約形態でも事実によって結論が変わることが分かります。設例は思考の進め方を示す例示であり、事実と状況によって判断は異なり得るとBC34に明記されています。結論の年数をそのまま当てはめず、前提のどこが違うかを照らし合わせて使います。

▼ 適用指針第33号の設例8-1から8-5の前提と結論

設例契約の類型と期間主な前提結論
8-1普通借家。契約期間1年、借手は3か月前通知で解約可貸手に更新拒絶の正当な事由なし解約不能期間は3か月。契約期間を超える延長オプションを持つと判断し要因を総合勘案する。年数の結論は示されず、1年契約でもリース期間が1年とは限らないことを示す設例
8-2普通借家の店舗。契約期間1年、毎年更新可、途中解約不可重要な附属設備を設置し使用可能期間10年。5年でリニューアル。戦略的に重要ではないリース期間5年
8-3普通借家の店舗。8-2と同じ契約条件戦略的に重要な店舗として多額の投資。損益だけで撤退を判断しないリース期間10年
8-4普通借地の土地。契約期間40年、借手は6か月前通知で解約可店舗用の建物を建設し使用可能期間20年。解約すると解体費用。立地は転用しやすく、収益が計画どおりでなければ残存期間を転貸する予定解約不能期間は6か月。解約しないことが合理的に確実な20年がリース期間
8-5普通借家のオフィス。契約期間5年、途中解約不可、更新可重要な附属設備なし。代替立地を探せる。過去に10年賃借した経験ありリース期間5年

自社の契約を当てはめるときは、結論の年数ではなく前提の並びを見ます。附属設備の重要性、リニューアルの周期、拠点の戦略的な位置づけ、代替できる立地があるか。この4つのどれが自社と違うかが分かれば、同じ思考の順序で自社の年数を導けます。

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リース期間の再判定はいつ必要になるか

リース期間は一度決めたら終わりではありません。企業会計基準第34号第41項は、契約条件の変更がなくても重要な事象や状況が生じたときは、合理的に確実かどうかを見直してリース期間を変更すると定めています。対象は、借手の統制下にあり、かつ延長オプションを行使するか解約オプションを行使しないかの判断に影響を与える事象です。延長オプションの行使等で解約不能期間が変わり、その結果リース期間を変更するときは、第42項によりリース負債の計上額を見直します。毎期の決算で機械的に見直すのではなく、引き金になる事象が起きたかどうかで判断します。1

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見直しの引き金は借手の統制下にある重要な事象

見直すかどうかは、その事象が借手の統制下にあるか、そして延長するか解約するかの判断に影響するかの2つで仕分けます。自社が決めた設備投資や移転の意思決定のように、両方を満たす事象が見直しの対象です。

▼ リース期間を見直す事象の仕分け

生じた事象借手の統制下か判断に影響するかリース期間の見直し(第41項)の要否
大幅な賃借設備の改良を実施した統制下にある延長する経済的インセンティブが生じる
拠点の移転や撤退を意思決定した統制下にある延長しない、または解約する方向に働く
延長オプションを行使して解約不能期間が変わった統制下にある解約不能期間そのものが変わる要。第42項により変更
市場賃料の相場が動いた統制下にない第41項の要件を満たさない第41項による見直しは不要。リース料に変更があるときは第40項(2)で別途検討する
貸手の事情が変わった統制下にない第41項の要件を満たさない第41項による見直しは不要。契約条件を変更したときは第39項で別途検討する

延長オプションの行使と契約条件の変更の違い

延長オプションの行使と、貸手と合意して契約期間を延長することは、会計上の入口が違います。当初の契約に含まれていたオプションを行使した場合は、契約条件の変更ではなく第42項の見直しとして扱います。契約書を変えて期間を延ばした場合は第39項の契約条件の変更にあたります。独立したリースとして処理できるのは、適用指針第33号第44項が定める、原資産の追加によってリースの範囲が拡大し、その分だけリース料が独立価格相当額で増額される場合に限られます。期間の延長だけであれば第45項により、変更後の条件を反映してリース負債を見直します。どちらの入口かで会計処理が変わるため、台帳には行使か変更かを区別して残します。見直し後のリース負債と使用権資産の計算は、別記事で解説しています。13

リース契約条件の変更と見直しに関する記事はこちら

短期リースを適用していた契約のリース期間が変わったとき

短期リースとして使用権資産とリース負債を計上せず費用処理していた契約でも、延長オプションを行使するなどしてリース期間が変わることがあります。適用指針第33号第50項は、変更前のリース期間の終了時点から変更後の終了時点までが12か月以内なら2つの方法を選べるとしています。1つは変更後のリース全体を短期リースとして扱う方法、もう1つは変更した時点から変更後の終了時点までが12か月以内である場合にかぎって短期リースとして扱う方法です。どちらを採るかは科目ごと、または性質や用途が類似する原資産のグループごとに選べます。第50項の要件を満たさない場合は短期リースの簡便的な取扱いを続けられず、原則どおり第44項から第46項の定めにより処理します。当初の契約にあるオプションの行使のように契約条件の変更を伴わない場合は第46項により、リース期間が変わった日にリース負債を修正し、その修正額を使用権資産に加減します。3

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リース期間の判断根拠の残し方、監査で指摘されないための資料と議事録

監査人が求めるのは、判断した当時の資料一式です。契約書の条項、要因ごとの事実を示す資料、検討したシナリオ、結論、社内の承認、監査法人との協議記録の6点がそろって初めて、判断を再現できます。監査の直前にまとめて作るのではなく、判定と同時に残す前提で仕組みを組みます。

リース期間の判断根拠を契約書、事実と証拠、要因の評価、シナリオと結論、承認と協議、保存と見直しの6段で残し再判定へ循環させる流れを示す図

監査人がリース期間で確認する3つの点

指摘されやすいのは3つあります。契約上の期間と実態の乖離をどう判断したかが曖昧なこと、合理的に確実と判断した根拠の記録が足りないこと、第17項が例示する要因の検討漏れや反対方向の事実を残していないことです。協議は段階を分けると手戻りが減ります。まず会計方針として閾値の考え方と類型ごとの判定ルールを合わせ、次に類型ごとの代表契約を数件、判定シートごと事前に見てもらいます。全件を判定し終えてから持ち込むと、類型単位で結論が覆ったときの影響が大きくなります。

判断根拠として残す資料の一覧

残す資料を、判断で使った5つの要因と1対1で対応させると、抜けが分かります。移転計画や拠点の統廃合、赤字が続く拠点の存在といった反対方向の事実も同じ台帳に残します。都合のよい事実だけを集めた根拠は、監査人の質問で崩れやすいためです。

▼ リース期間の判断根拠として契約ごとに残す資料

対応する要因残す資料どこから取るか
契約条件契約書、契約変更書、覚書、更新通知、延長後の賃料の算定根拠、市場賃料の調査資料法務や総務の契約書保管、不動産の仲介資料
大幅な賃借設備の改良設備投資の稟議書、内装や設備の工事契約、固定資産台帳、原状回復の見積書稟議システム、固定資産台帳、施工会社の見積
解約に関連するコスト移転費用と撤去費用の見積、代替物件の調査記録、違約金の試算総務の移転計画、施工会社や仲介会社の見積
原資産の重要性と行使条件事業計画、中期経営計画、拠点別の売上と損益の資料、契約書の更新条項と解約条項の写し経営企画、管理会計の資料、契約書
反対方向の事実移転計画、拠点の統廃合計画、赤字拠点の一覧、設備の老朽化の記録経営会議の資料、拠点別損益
判断そのもの検討したシナリオ、結論、判定日、当時入手できた事実の一覧リース期間の判定シートや台帳

議事録と承認記録に残す内容

議事録や承認記録は、会計方針の決定、個別契約の判断、監査法人との協議の3つの層で残します。会計方針の層に残すのは、合理的に確実の考え方、類型ごとの判定ルール、見直しの方針といった経理部門の決定です。個別契約の層では、契約ごとの結論と要因の事実、検討したシナリオ、反対方向の事実を、社内の決裁記録である稟議書や経営会議の記録に残します。協議の層は、監査法人と話した論点、合意した内容、持ち越した論点の協議議事録です。どの層でも、判断した日付と、その時点で入手できていた事実を一緒に残すことが、後から見直したときの説明の軸になります。

▼ リース期間の判定に関する議事録と承認記録の3つの層

会議体や決裁の例残す項目
会計方針の決定経理部門の方針決定、監査法人との事前協議合理的に確実の考え方、類型別の判定ルール、見直しの方針、適用開始時期
個別契約の判断稟議、経営会議、拠点の投資や撤退の決定対象契約、結論の年数、5つの要因ごとの事実、検討したシナリオ、反対方向の事実、判定日、承認者
監査法人との協議監査法人との定例協議論点、合意事項、未決事項、次回までの宿題、協議日

判定根拠を契約単位で保存し更新のたびに再判定できる仕組み

判定は初年度で終わりません。更新や契約変更のたびに再判定が必要になり、そのつど根拠資料が増えます。表計算ソフトと共有フォルダの運用では、契約書と判定メモの保管場所が別で突き合わせに時間がかかり、更新後も旧判定が残ってどれが現行の結論か分からなくなり、グループ会社ごとに様式が違って連結で集計できません。根拠資料は契約書と同じ場所に契約単位で判定日を付けて保存し、更新や変更のたびに再判定の履歴を積む形にしておくと、監査での説明を契約書から一気通貫でたどれます。契約書がリースに該当するかの判定を自動化する方法は、別記事で解説しています。

リース識別のAIによる自動化に関する記事はこちら

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リース期間の判定を続けられる体制、契約書の一元収集と判定根拠の記録

リース期間の判定を続けるには、契約書が1か所に集まっていること、判定の理由と根拠が契約書と一緒に残ること、更新や変更を見逃さない仕組みの3つが要ります。累計導入社数3,000社、上場企業300社以上にご利用いただいているTOKIUMシリーズのうち、TOKIUM契約管理では契約書のデータ化と一元管理ができます。契約期間や自動更新の有無に加え、違約金、解約不能期間、敷金、賃料が無償になるフリーレントの期間といった契約書の記載項目をAIが自動でデータ化するため、判定に使う条項を探し直す手間を減らせます。毎月1日には契約更新が迫っている契約の一覧を担当者にメールで通知するため、更新時期を見落とさずに再判定の検討に入れます。4

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各部署とグループ会社の契約書を一元収集して判定の前提を揃える

判定の前提は、対象になる契約書が漏れなく手元にあることです。各部署や子会社が契約書を個別に保管していると、洗い出しの段階で抜けが生じ、判定の根拠も部門ごとに散らばります。業務用食品卸売の株式会社トーホーは、グループ16社にTOKIUM AI新リース判定を導入しました。グループ全体で管理する契約書は1万件以上あり、これらをひとつの基盤に集約して判定を効率化しています。契約書の一元管理を法務・コンプライアンス部門が、新リース会計基準への対応を経理部門が担う体制です。紙の契約書もスキャンとデータ化、原本保管をTOKIUMが代行するため、拠点に眠る原本を同じ基盤に載せられます。5

▼ リース期間の判定を続ける運用の役割分担の例

担当役割使うもの
各部署や子会社新規契約と契約変更のたびに契約書を登録する契約書の登録、スキャン代行
法務や総務契約条項の確認、更新と解約の期日管理契約更新の通知、条項のデータ
経理リースに該当するかの確認、リース期間の判定と根拠の記録、再判定判定理由と根拠条文、リース期間の判定シート
監査法人判断の枠組みと個別判断の確認協議議事録、根拠資料

判定理由と根拠条文を自動で残し監査への説明に使う

TOKIUM AI新リース判定は、登録した契約書をAIが確認し、企業会計基準委員会が示す判断基準に沿ってリースに該当する可能性を判定します。2026年7月の機能追加により、AIが判定の根拠とした契約書の条文をハイライト表示し、判定理由と該当条文を同じ画面で照らし合わせて確認できます。判定結果と根拠条文はCSVでダウンロードできるため、監査への説明資料や各リース資産管理システムへの連携に使えます。リースに該当するかの判定理由と根拠条文はAIが残し、リース期間の判断根拠は5つの要因ごとの資料として人が残します。この役割分担にすると、契約書とリース識別の判定根拠を同じ場所で管理しながら、リース期間の判断記録と突き合わせられます。導入して終わりではなく、更新や新規契約のたびに誰が登録し、誰が判定し、誰が承認するかを先に決めておくことが、監査に耐える運用を続ける条件です。契約書からリースに該当するかを判定し、その根拠を残す流れは、TOKIUM AI新リース判定の資料でご確認いただけます。ぜひダウンロードしてご覧ください。67

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まとめ、リース期間の判定は根拠を残す運用まで含めて設計する

リース期間は解約不能期間に、行使が合理的に確実なオプションの期間を足して決めます。判断の軸は経営者の意向ではなく、5つの要因が示す経済的インセンティブです。年数に迷ったら、シナリオを2つか3つ置いて境目を探します。契約書、事実と証拠、要因の評価、結論、承認、協議記録を契約単位で残し、延長オプションの行使や大幅な改良が起きたら再判定する運用まで設計しておけば、初年度で終わらない対応が続けられます。新リース会計基準への対応を、契約書の収集から判定理由の記録まで一つの基盤で進めたい方は、TOKIUM契約管理とTOKIUM AI新リース判定の資料をあわせてご覧ください。

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リース期間の判定に関するよくある質問

本文で触れなかった周辺の疑問に、要点だけ答えます。

貸手のリース期間はどう決めますか

貸手は企業会計基準第34号第32項の2つの方法から選べます。1つは借手のリース期間と同様に決定する方法、もう1つは、解約不能期間に事実上解約不能と認められる期間を含めたうえで、借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を足す方法です。BC38は、継続して適用することを条件として、この2つのいずれも認めています。貸手は借手のオプション行使の可能性を評価しにくいことから、後者も認められています。1

税務上のリース期間と会計上のリース期間は同じですか

同じではありません。法人税では、リース期間と法定耐用年数を比べて所有権移転外リース取引に当たるかを判定するなど、契約上の期間を前提とした整理が続いています。会計上オンバランスしたリースは、使用権資産の減価償却費や支払利息と、税務上の損金となる支払賃借料との差額を申告調整することになります。会計と税務のズレは契約ごとに管理が必要です。8

リース期間は附属設備の耐用年数や資産除去債務の期間と揃える必要がありますか

必ずしも揃える必要はありません。適用指針第33号BC34は、借手のリース期間と附属設備の耐用年数は互いに影響しうるものの、判断と閾値が異なるため必ずしも整合しない場合があると説明しています。リース期間中の除去や期間後の使用を見込んでいない附属設備であれば、耐用年数が整合することもあります。期間が異なる場合は、その理由を判定シートに書き添えておきます。3

リース資産の減価償却と耐用年数に関する記事はこちら

リース期間が12か月以内なら短期リースとして費用処理できますか

できます。対象になるのは、購入オプションを含まず、リース開始日の時点で借手のリース期間が12か月以内におさまるリース、つまり短期リースです。この場合、使用権資産とリース負債を計上せず、リース料をリース期間にわたって原則として定額法で費用計上する簡便的な取扱いを選べます。ここでいうリース期間は契約書の期間ではなく、延長オプションを含めて判定した借手のリース期間なので、1年契約でも更新が合理的に確実なら短期リースにはなりません。適用の単位は科目ごと、または性質や用途が類似する原資産のグループごとに選びます。3

再リース期間はリース期間に含めますか

まず企業会計基準第34号第31項により、リース開始日に再リース期間を借手のリース期間に含めるかどうかを判断します。基準に再リースそのものの定義はなく、企業会計基準第34号第17項が再リース期間を定めているだけです。BC27は、我が国の再リースの一般的な特徴として、再リースの条項が当初の契約に明示され、経済的耐用年数を考慮した解約不能期間の経過後に、当初の月額リース料程度の年間リース料による1年間のリースとして行われることを挙げています。判断の結果、リース開始日に再リース期間を借手のリース期間に含めなかった場合は、適用指針第33号第52項により、再リースを当初のリースとは独立したリースとして会計処理することを選べます。再リースを独立したリースとして扱わない場合は、再リース期間が延長オプションの対象期間に含まれると考えられるため、行使が合理的に確実かの判断が要ります。どちらの方法で処理するかは、車両や機器のリースの類型ルールとして先に決めておくと迷いません。3

IFRS第16号のリース期間と日本の新リース会計基準の違いは何ですか

借手のリース期間の決め方は、日本の新リース会計基準がIFRS第16号と整合させて定めたため、基本的な考え方は同じです。企業会計基準第34号BC36がその経緯を説明しています。違いが出るのは貸手側です。詳しくは貸手のリース期間の設問をご覧ください。IFRS第16号全体との差異は別記事で解説しています。1

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  1. 企業会計基準委員会「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」(2024年9月13日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  2. 企業会計基準委員会「企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針 設例」(2025年10月16日修正・PDF)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  3. 企業会計基準委員会「企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針」(2024年9月13日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  4. TOKIUM「TOKIUM契約管理」製品ページ(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  5. TOKIUM「業務用食品卸売のトーホー、グループ16社にTOKIUM AI新リース判定を導入」(2026年6月19日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  6. TOKIUM「TOKIUM AI新リース判定、AI判定の根拠条文をハイライトする機能を追加」(2026年7月30日公表)(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  7. TOKIUM「TOKIUM AI新リース判定」製品ページ(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
  8. 国税庁「No.5704 所有権移転外リース取引」(最終確認日:2026年9月8日) ↩︎
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