請求書の保存期間は7年?10年?【最新法改正から実務の注意点まで徹底解説】

請求書の保存期間は、次の通りです。

✅ 請求書の保存期間

  • 法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年
  • 個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者は7年

個人事業主であっても、消費税納税業者であれば請求書の保存期間は7年です。また、令和5年に導入されるインボイス制度では、受け取った請求書だけではなく発行した請求書についても7年間の保存義務があります。

筆者は上場企業で経理担当をしており、請求書の保存業務も行っていました。この記事では、請求書の保存期間やその方法について最新の法律改正も交えて解説します。

請求書の保存期間は何年?【10年保管が確実】

請求書の保存期間は、法人か個人事業主かによって異なります。基本的には次の通りです。

✅ 請求書の保存期間

  • 法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年
  • 個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者は7年

請求書の保存期間に関わる法律としては、法人税法、所得税法、消費税法などがあります。法人・個人事業主に分けて解説していきます。

請求書の保存期間:法人の場合7年が基本、10年が確実

普通法人等は、前条第一項に規定する帳簿及び前項各号に掲げる書類を整理し、第五十九条第二項(帳簿書類の整理保存)に規定する起算日から七年間、これを納税地(前項第一号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない

法人税法施行規則第67条の2

法人税法では、請求書に限らず、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などの帳簿書類を7年間保存することを求めています。

ここでいう7年とは、発行日から7年ではなく、「事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間」(国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法」)と定められているので注意してください。確定申告の提出期限は、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。

たとえば、3月決算の会社が2021年1月に受け取った納品書の保存期間は以下になります。

納品書の保存期間の例
  • 納品書の受け取り:2021年1月
  • 決算:2021年3月末
  • 確定申告の提出期限:2021年5月末
  • 納品書の保管期限:2028年5月末

さらに、欠損金の繰越控除(赤字部分を翌年の利益から控除できるしくみ)を適用する場合には、書類の保存期間は次のようになっています。

  • ~平成30年4月1日:欠損金が生じた事業年度の請求書の保存期間は9年間
  • 平成30年4月1日~:欠損金が生じた事業年度の請求書の保存期間は10年間

つまり、平成30年4月1日以降で赤字になった年度の請求書は10年間保管する必要があるということです。このことから、法人は請求書を10年間保存しておけば安心と言えるでしょう。

請求書の保存期間:個人事業主は5年、消費税課税事業者は7年

個人事業主は青色申告・白色申告を問わず、請求書の保存期間は基本的に5年です。法人と同じく、発行日から5年ではなく、”確定申告の提出期限から5年”です。

個人事業主は法人ではないのので、法人税法の適用を受けません。主に関係するのは所得税法で、会計に関する書類の保存期間は次のように定められています。

第六十条第一項(決算)に規定する青色申告者は、次に掲げる帳簿及び書類を整理し、起算日から七年間(第三号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあつては、五年間)、これをその者の住所地若しくは居所地又はその営む事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。

所得税法第六十三条

請求書は「現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のもの」に該当するので、保存期間は5年です。

平成26年度までは、白色申告事業者のうち事業所得が300万円以下であれば帳簿書類などの保存義務がありませんでした。税制改正によって、現在はすべての事業者が帳簿書類の保存を義務付けられています。

また、年間の課税売上が1,000万円を超えるなど条件を満たした場合には、個人事業主であっても消費税の納税義務がある「消費税課税事業者」となります。消費税課税事業者の請求書の保存期間は7年です。

なお、消費税の納税義務のない「免税事業者」であっても、会計帳簿の保存期間は7年となります。請求書も7年間保管しておくと管理がしやすいです。

請求書の発行側は請求書控え(写し)の保存義務がある?

請求書を受け取った側は法人税法などで決められた期間は保存する必要がありますが、請求書の発行側の場合はどうなるのでしょうか?

結論から言えば、請求書の控え(写し)を発行したのであれば、保存義務があります。

法人税法・所得税法で定められている保存義務のある書類は大きく2つです。

  1. 取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類
  2. 自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

法人税法施行規則第59条、所得税法施行規則第63条ほか

つまり、(1)取引先から受け取った書類、(2)自らが発行した書類の写しがあるものは保存義務があります。

言い換えると、写しがなければ保存義務もないことになります。請求書の写しは発行義務がないので、保存がされてなくても税務上の問題になることは少ないと考えられます。

ただし、発行した請求書の金額が、取引先からきちんと振り込まれているかを確認する必要はあります。請求書の控えを発行せずに社内システムなどで入金管理ができれば、控えは特になくても問題ないと言えるでしょう。

インボイス制度の適格請求書は控えの保管義務あり

令和5年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存制度)においては、適格請求書の発行、控えの保存が義務となります。

✅ インボイス制度の概要

  • 認定を受けた事業者が発行する適格請求書のみが仕入税額控除の対象になる
  • 適格請求書を発行するには課税事業者になる必要がある

インボイス制度では、請求書の受け取り側・発行側ともに7年間の請求書の保存義務が生じることになります。インボイス制度の施行はまだ先ではありますが、影響が大きいので早めの対応が望ましいです。

インボイス制度の詳細は以下の記事をご参照ください。

【要点解説】インボイス制度(適格請求書等保存方式)のポイントと事業・経理業務に与える影響をわかりやすく解説します

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請求書の保管方法は?【紙で保管が基本】

TAXと電卓

ここまでは請求書の保存期間について解説してきました。ここからは保存方法について紹介していきます。

請求書の保管方法と実務上の注意点

請求書は受け取った原本、つまり紙での保管が原則です。

帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則となります。したがって、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙により保存する必要があります。

国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法

請求書はただ保存するだけではなく、きちんと支払いを行うために管理しなければなりません。たとえば、電子メールに添付されているPDFの請求書であっても、プリントアウトして紙で保管することが求められます。

請求書が届いたら、まず請求額に不備がないか、振り込みに必要な情報が欠けていないかを確認して、不明点があれば早めに請求書の発行者に問い合わせる必要があります。

振込処理が終わった請求書は、未処理のものが混ざらないように分けて管理しておきましょう。請求書の管理方法としては、一般的に次のような方法があります。

請求書の管理方法の例
  • 「月末」「翌月末」など振込期日ごとに分けて管理し、月別にファイリング
  • 取引先別に分けてファイリング

請求書など書類の保存期間は7年など長いため、保存場所を確保する必要があります。書類の管理にかかる人件費・倉庫費用の負担は少なくありません。外部倉庫や業者等への委託や、次に述べる電子化の検討も進めてみると良いでしょう。

請求書の保管を電子化できる?

請求書のほか帳簿書類を電子化して保存することは可能です。ただし、電子帳簿保存法で定められた方法で管理し、税務署に事前の申請が必要になります。

【電子帳簿保存のための手続き】

  • 開始の3か月前までに税務署に届け出
  • 「真実性の確保」「可視性の確保」のための社内準備

「真実性の確保」「可視性の確保」には、条件を満たす専用ツールの導入や、社内ルールの整備などが必要になります。申請前に準備をしておきましょう。

リモートワークを進めるうえで、紙での業務が負担になっている会社も多いことでしょう。帳簿書類の電子化のハードルは低くはありませんが、社内での検討事項に加えておいてはいかがでしょうか。

電子帳簿保存法の最新情報について知りたい方は以下の記事もご参照ください。

【2020年最新】電子帳簿保存法改正のポイントは?経理のDXに必須知識を図解でわかりやすく

請求書の保存期間まとめ

✅ 請求書の保存期間

  • 法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年
  • 個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者は7年

請求書の保存は法律で決められているため、指定の期間は保存しておく義務があります。長期間にわたって保存が必要なので、必要な請求書がすぐに取り出せるように社内で管理ルールを設けておくことが望ましいです。

業務効率化に向けて、電子化を検討してみるのもよいでしょう。

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