帳票管理

請求書の保存期間は?【最新法改正から実務の注意点まで解説】

公開日:2022.02.06更新日:2022.08.24
請求書の保存期間は、原則7年、欠損金繰越控除の利用時は10年

請求書の保存期間は、次の通りです。

  • 法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年
  • 個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者は7年

個人事業主であっても、消費税納税業者であれば請求書の保存期間(保管期間)は7年です。また、令和5年に導入されるインボイス制度では、受け取った請求書だけではなく発行した請求書についても7年間の保存義務があります。

筆者は上場企業で経理担当をしており、請求書の保存業務も行っていました。この記事では、請求書の保存期間やその方法について最新の法律改正も交えて解説します。

メールマガジンバナー

請求書の保存期間は何年?【10年保管が確実】


請求書の保存期間は、法人か個人事業主かによって異なります。基本的には次の通りです。

  • 法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年
  • 個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者は7年

請求書の保存期間に関わる法律としては、法人税法、所得税法、消費税法などがあります。法人・個人事業主に分けて解説していきます。

請求書の保存期間:法人の場合7年が基本、10年が確実

普通法人等は、前条第一項に規定する帳簿及び前項各号に掲げる書類を整理し、第五十九条第二項(帳簿書類の整理保存)に規定する起算日から七年間、これを納税地(前項第一号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない

法人税法施行規則第67条の2

法人税法では、請求書に限らず、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などの帳簿書類を7年間保存することを求めています。

ここでいう7年とは、発行日から7年ではなく、「事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間」(国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法」)と定められているので注意してください。確定申告の提出期限は、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。
たとえば、3月決算の会社が2021年1月に受け取った納品書の保存期間は以下になります。

  • 納品書の受け取り:2021年1月
  • 決算:2021年3月末
  • 確定申告の提出期限:2021年5月末
  • 納品書の保管期限:2028年5月末

さらに、欠損金の繰越控除(赤字部分を翌年の利益から控除できるしくみ)を適用する場合には、書類の保存期間は次のようになっています。

  • ~平成30年4月1日:欠損金が生じた事業年度の請求書の保存期間は9年間
  • 平成30年4月1日~:欠損金が生じた事業年度の請求書の保存期間は10年間

つまり、平成30年4月1日以降で赤字になった年度の請求書は10年間保管する必要があるということです。このことから、法人は請求書を10年間保存しておけば安心と言えるでしょう。

請求書の保存期間:個人事業主は5年、消費税課税事業者は7年

個人事業主は青色申告・白色申告を問わず、請求書の保存期間は基本的に5年です。法人と同じく、発行日から5年ではなく、”確定申告の提出期限から5年”です。

個人事業主は法人ではないのので、法人税法の適用を受けません。主に関係するのは所得税法で、会計に関する書類の保存期間は次のように定められています。

第六十条第一項(決算)に規定する青色申告者は、次に掲げる帳簿及び書類を整理し、起算日から七年間(第三号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあつては、五年間)、これをその者の住所地若しくは居所地又はその営む事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。

所得税法第六十三条

請求書は「現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のもの」に該当するので、保存期間は5年です。
平成26年度までは、白色申告事業者のうち事業所得が300万円以下であれば帳簿書類などの保存義務がありませんでした。税制改正によって、現在はすべての事業者が帳簿書類の保存を義務付けられています。

また、年間の課税売上が1,000万円を超えるなど条件を満たした場合には、個人事業主であっても消費税の納税義務がある「消費税課税事業者」となります。消費税課税事業者の請求書の保存期間は7年です。
なお、消費税の納税義務のない「免税事業者」であっても、会計帳簿の保存期間は7年となります。請求書も7年間保管しておくと管理がしやすいです。

請求書の発行側は請求書控え(写し)の保存義務がある?


請求書を受け取った側は法人税法などで決められた期間は保存する必要がありますが、請求書の発行側の場合はどうなるのでしょうか?

結論から言えば、請求書の控え(写し)を発行したのであれば、保存義務があります。
法人税法・所得税法で定められている保存義務のある書類は大きく2つです。

  • 取引に関して相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類
  • 自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

つまり、(1)取引先から受け取った書類、(2)自らが発行した書類の写しがあるものは保存義務があります。

言い換えると、写しがなければ保存義務もないことになります。請求書の写しは発行義務がないので、保存がされてなくても税務上の問題になることは少ないと考えられます。

ただし、発行した請求書の金額が、取引先からきちんと振り込まれているかを確認する必要はあります。請求書の控えを発行せずに社内システムなどで入金管理ができれば、控えは特になくても問題ないと言えるでしょう。

インボイス制度の適格請求書は控えの保管義務あり

令和5年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存制度)においては、適格請求書の発行、控えの保存が義務となります。

インボイス制度では、請求書の受け取り側・発行側ともに7年間の請求書の保存義務が生じることになります。インボイス制度の施行はまだ先ではありますが、影響が大きいので早めの対応が望ましいです。

インボイス制度の詳細は以下の記事をご参照ください。

TOKIUMインボイス資料ダウンロード TOKIUMインボイス資料ダウンロード

請求書の保管方法は?【法改正で変更点あり】

TAXと電卓
ここまでは請求書の保存期間について解説してきました。ここからは請求書の保存方法について紹介していきます。なお、2022年に電子帳簿保存法が改正され、従来の保管方法と大きく変わった部分があります。

紙の請求書→紙のままorスキャナ保存

紙で受け取った請求書の保存方法としては、1.紙のまま保存 2.スキャンして電子上で保存 の2つがあります。なおスキャンによる電子保存を行う際には、電子帳簿保存法の要件に則る必要があります。スキャンを行った後は、税法上では紙の原本を即時廃棄することも認められています。

2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、スキャナ保存については、タイムスタンプ要件の緩和や事前承認制度の廃止など、多くの企業が導入しやすい環境が整いつつあります。

電子帳簿保存法の要件には、大きく「真実性の確保」「可視性の確保」の2点があり、これらを満たした上でスキャナ保存を行う必要があります。細かい要件などはこちらの記事で解説しています。

【重要】電子で受け取った請求書→2024年からは電子保存のみ

最近では、PDF形式などの電子請求書を受け取る場面が増えてきたと思います。多くの企業は、現状、電子請求書を紙に印刷して保存していると思います。しかし結論から申し上げると、2024年1月1日以降は、電子で受け取った請求書は電子のまま保存する必要があります。すなわち、PDF形式の請求書を紙に出力して保存することができなくなる、ということです。

こちらも、先述した2022年の電子帳簿保存法改正が関係しています。この改正によって、企業の経理部は既存の業務フローや社内システムの見直しを迫られています。

請求書の保存期間まとめ

請求書の保存期間

  • 法人:税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年
  • 個人事業主:所得税法では5年、消費税納税業者は7年

請求書の保存は法律で決められているため、指定の期間は保存しておく義務があります。長期間にわたって保存が必要なので、必要な請求書がすぐに取り出せるように社内で管理ルールを設けておくことが望ましいです。

業務効率化に向けて、電子化を検討してみるのもよいでしょう。

TOKIUMインボイス資料ダウンロード TOKIUMインボイス資料ダウンロード
DOCUMENT
もっと役立つ情報を
知りたい方はこちら
請求書受領クラウドの選び方ガイド
インボイス制度の導入で経理の現場では何が起こる?

関連記事