経費精算とは? 最低限知っておきたい基本【企業の経理担当者が徹底解説】

「経費精算ってそもそも何?」「なるべく経費にしたほうが節税になるって聞くけど何で?」

この記事ではこういった疑問を解決します。

社会人なら知っておきたい「経費精算」の基本事項を網羅してまとめています。

筆者は上場企業の経理経験があり、実際に経費精算に携わっていました。

経費精算をする従業員の人、経費精算をチェックする経理の人、どちらにも役立つ記事なので、ぜひ読んでみてください。

経費精算とは?最低限知っておきたいしくみと経理の基礎


「会社にとっては、なるべく経費にするほうがいい。」って聞いたことがあるけれど、費用は少ない方が利益が出ていいんじゃないの?

この疑問に対する答えを図解で紹介します。

社会人が知っておきたい「経費」の基本の考え方なので、ぜひ読んでみてください。

経費精算とは従業員が立替えたお金を会社に請求すること

会社で経費精算をする、というと一般的には「立替えたお金を会社に請求して払ってもらうこと」を指します。

例えば、会社で使う文房具を買ったときや出張で交通費を払ったときなどに、経費精算をして給与と一緒に振り込んでもらったり現金で受け取ったりします。

従業員目線では、会社の業務のために使ったお金だから、会社に払ってもらうべきお金。

一方、会社目線では、経費精算をすることで、正しい会計ができて節税になるんです。次の章で図を使って解説します。

経費精算と経理の基礎【社会人が知っておきたい「経費」のこと】

【経費精算と税金の関係】
経費精算と税金
※簡略化のため損金不算入などは考慮していません。

「なるべく経費に落としたほうがいい」っていわれるのはなぜなのか。ざっくりいうと、経費が多いほど払う税金が減るからです。

上の図が、経理の基本的な考え方です。どうせ払うなら経費にした方が、会社にとっては節税になることがわかりますね。

経費精算は、従業員が立替えていたお金を経費にする、つまり節税になるということです。

会社の経理目線でいうと、会社の事業で利益を生み出すためにかかった費用を計上する、という意味があります。

以下で少し踏み込んで、経理の考え方について紹介します。社会人なら知っておくと損はない知識なので、経理以外の人も目を通してみてください。

会計の考え方3種類

会社の経理は大きく「財務会計」「管理会計」「税務会計」の3つに分けられます。

  1. 財務会計:株主や銀行など外部に経営成績を示すための会計
  2. 管理会計:経営者などが会社の状態を知るための会計
  3. 税務会計:支払うべき税金を計算するための会計

先ほど述べた、経費精算が「節税になる」というのは③税務会計の考え方。

この節税効果についてだけ紹介しているサイトも多いですが、もう少し深く経費精算を知るには①財務会計、②管理会計における意味も知っておきたいところです。

経費精算はかかった費用を正しく計上することで会社の正しい経営状態を知る、という意味があります。

極端な例ですが、100万円の売上、利益が30万円の事業があったとします。実は従業員が経費精算していない20万円の費用がかかっていたのに、反映されていなかった。

本来の利益は100万円の売上に対して10万円なのに、経費をきちんと計上していないために利益が30万円となっている。

財務会計の資料を見る投資家や銀行の融資担当者、管理会計の資料を見る経営者が、判断を誤る可能性があります。

このように、経費精算は節税のためだけではなく、正しい会計を行うにも必要なのです。

経費精算と税務会計

経費精算 財務会計と税務会計

上の図は、財務会計と税務会計について示しています。計算式にすると以下の通り。

  • 収益-費用=利益
  • 益金-損金=所得

「益金と損金って何?」ってなると思いますが、簡単にいうと、財務会計の「利益」「費用」とほぼ同じと思ってOKです。

ただし、税金を計算するうえでは、損金にならないもの(損金不算入)、益金に入れないといけないもの(益金算入)、がありずれが生じます。

例えば、交際費。

財務会計では経費になりますが、税務会計では損金不算入が原則です。

「税金を払いたくないから飲み会でたくさん経費を使ってしまおう」なんて考える人が出てきては困るからです。

次の章では、経費精算で注意すべき勘定科目を解説します。

経費精算の勘定科目と注意すべき勘定科目

よく使われる経費精算の勘定科目は以下の通りです。

勘定科目名 具体例
消耗品費 文房具、インクカートリッジ、10万円以下のパソコンなど
旅費交通費 出張・外出でかかった公共交通機関の料金やタクシー代、宿泊費
新聞図書費 業務に必要な書籍や新聞などの費用
研修費 社内研修や外部のセミナー参加費用など
通信費 切手代や携帯代、インターネット代など
交際費 取引先とのゴルフやご祝儀、お悔やみなど
社外飲食接待費 取引先の接待のための飲食費
会議費 1人当たり5,000円以内の飲食や会議のためのお茶・菓子・手土産など
福利厚生費 従業員全員を対象にした慰労会などにかかった費用など

上記の勘定科目のうち、「交際費」「社外飲食接待費」「会議費」「福利厚生費」の判断は、税務調査での論点になりやすいので慎重な判断が必要です。

交際費にかかわる内容は、詳しくは以下の記事を確認してください。

交際費は損金算入ができる?判定基準のフローと実務を徹底解説

経費精算に領収書が必要な理由【税法で決められている】

「経費精算で領収書やレシートを、のりで貼り付けて経理に出すのがめんどくさいな」と感じている人も多いと思います。

経費精算に領収書が欠かせないのには2つの理由があります。

✅ 経費精算に領収書が必要な理由

  • 架空の経費精算などの従業員の不正を防ぐ
  • 領収書は7年間の保存期間が税法で義務付けられている

架空の経費精算などの不正を防ぐ目的もありますが、実は税法では領収書の保存が義務付けられているのです。

領収書は「経費にした費用を確かに払いました」と証明する大切な書類。

領収書なしで何でも経費にして税金の支払いを免れる、といったことを防ぐためです。

領収書がきちんと保管されているかは税務調査でもチェックされます。

領収書の保管については以下の記事でまとめています。

領収書の保管期間は7年?10年?【電子帳簿保存法の解説も】

経費精算のやり方は?ワークフロー・経費精算書の書き方

経費精算に関する考え方について述べてきました。

ここからは、経費精算の実際のやり方や流れを解説します。

経費精算のワークフロー【不正を防ぐ社内ルールが大切】

一般的な経費精算の流れを紹介します。

✅ 一般的な経費精算の流れ

  1. 従業員が立替え払いをして領収書を受け取る
  2. 経費精算書に記入
  3. 経費精算書に上司の承認の印鑑をもらう
  4. 領収書と経費精算書を経理に提出
  5. 経理でチェック・承認
  6. 経理で伝票を起票
  7. 従業員に給与と一緒に振り込まれる

海外出張など大きな金額を立替える場合には、事前に申請して「仮払い」を受けることもあります。

出張を行った場合の経費精算の流れの例を見てみましょう。

✅ 出張の経費精算の流れの例

  1. 仮払経費申請書を記入して上司の承認をもらう
  2. 経理でチェックして経費のためのお金を振込む
  3. 出張に行く。かかった費用については領収書を受け取っておく
  4. 仮払経費精算書・出張旅費精算書を記入、上司の承認をもらう
  5. 仮払経費精算書・出張旅費精算書と領収書を経理に提出
  6. 経理で伝票を起票
  7. 従業員に給与と一緒に振り込まれる

このように、内部統制の観点から、経費精算は上司と経理の二重チェックを行うルールにしている会社が多いです。

経費精算はお金の受け渡しが発生するので、不正が起きない社内ルールの整備が必須。

さらに、社内ルールが徹底されるように就業規則などに明記して従業員に広く周知することも必要です。

経費精算書の書き方は?

経費精算に使われる書類には目的別に複数のフォーマットが会社で用意されていることが多いです。

✅ 経費精算書の種類

  • 立替経費精算書:いったん立替えたお金を精算するための書類
  • 仮払経費申請書:出張前などに使用。仮払金を受けるための書類
  • 仮払経費精算書:仮払経費申請書とセット。仮払の精算のための書類
  • 交通費精算書:外出時の公共交通機関やタクシーでかかった交通費精算のための書類
  • 出張旅費精算書:出張にかかった交通費や宿泊費、日当などを精算するための書類

経費精算の書類はこの形式じゃなきゃだめ!っていう決まりはないので会社ごとにフォーマットが異なりますし、書類の名称も異なることもあり得ます。

以下では立替経費精算書と交通費精算書の例を紹介します。

立替経費精算書の書き方の例

立替経費精算書には以下の項目は必ず設けます。

✅ 立替経費精算書の必須項目

  1. 申請日
  2. 申請者名
  3. 支払日
  4. 支払先
  5. 支払った内容
  6. 支払った金額
  7. 備考欄
  8. 承認欄

また、取引先との会食の費用を立替えた場合、会食に参加した取引先名や人数などを備考欄に記載するようにします。

社外飲食接待費か会議費かの判断に必要だからです。

立替経費精算がスムーズにできるように項目を増やしても構いません。

経理担当者が勘定科目の判別に困らないように、内容をすべて記載してもらう社内ルールを従業員に共有しておきましょう。

交通費精算書の書き方の例

交通費精算書には以下の項目は入れるようにしましょう。

✅ 交通費精算書の必須項目

  1. 申請日
  2. 申請者名
  3. 支払日
  4. 交通手段(電車、タクシーなど)
  5. 利用した区間
  6. 目的
  7. 金額
  8. 備考欄
  9. 承認欄

交通費精算の場合には、定期区間は除外しているか、故意に料金の高いルートで申請していないかなどを経理で確認します。

また、タクシー代は理由を備考欄に記載するルールを設けている会社もあります。

接待に使用したタクシー代は、旅費交通費ではなく交際費になるためです。

経費精算はいつまでにするもの?【締め日を設けて月に1度を目安に】

経費精算は経費の立替をする都度に行うのが最も良いですが、毎日毎日、経費精算をすることは現実的ではありません。

実務では締め日を設けて月に1回、従業員が経費精算をして給料と一緒に振込むのが一般的です。

✅ 1か月の経費精算のフロー例

  • 5月分の経費精算の締め日6月5日
  • 6月25日の給料と一緒に振込み

月末を締め日にすると月末に使った経費の精算が間に合わないこともあるので、次月に締め日を設ける会社が多いようです。

締め日の直前は経費精算が集中するので、経費精算書などに不備が見つかると経費精算が遅れる原因になります。

経理目線としては、忙しい時期である月末月初となるべく被らないように経費精算をしてくれると、余裕をもって対応ができます。

経費精算は少額だと溜めてしまいがちですが、年度をまたぐことがないように気をつけましょう。

経費精算がめんどくさい!効率化するには?


経費精算の一般的なフローを紹介してきましたが、「めんどくさい!」と感じる人も多いのではないでしょうか。

在宅勤務やテレワークの導入が推奨されて、働き方改革を行う中で紙の領収書がその妨げになっていることも。

この章では、経費精算を効率化する方法について解説します。

経費精算と電子帳簿保存法の切っても切れない関係

経費精算を効率化するなら知っておきたい前提知識として「電子帳簿保存法」があります。

電子帳簿保存法とは、簡単にいえば「これまで紙で保存しないといけなかった帳簿を、電子化していいよ。」と定めた法律です。

経費精算にかかわる部分では次のような点が挙げられます。

✅ 電子帳簿保存法と経費精算

  • スマートフォンで撮影したデータも証憑にしてOK
  • キャッシュレス決済は領収書不要で経費にできる
  • クレジットカードや交通系ICカードの利用履歴が領収書の代わりになる

電子帳簿保存法は1998年の制定以降、時代に合わせて改正され、2020年の改正では電子マネーやクレジットカードなど利用者の側が改ざんできないデータであれば、領収書の代わりにできることになりました。

これによって、クレジットカードや交通系ICカードを利用した場合の経費精算を自動化することも可能になりました。

電子帳簿保存法については、詳しくは以下の記事で確認してください。

【2020年最新】電子帳簿保存法改正のポイントは?経理のDXに必須の知識を図解で解説!

経費精算を効率化する無料アプリを使う【隙間時間に使いやすい】

個人レベルで経費精算を効率化するならば、無料の交通費精算メモのアプリを利用すると良いでしょう。

無料でも以下のような機能がついているアプリがあるので、使いやすいものを探してみてください。

✅ 交通費精算アプリの機能の例

  • 公共交通機関のルートを登録しておき、ワンタップで記録
  • PDFやエクセルに出力できる
  • (車利用者向け)走行距離や人数でガソリン代を算出できる

経費精算システムを導入【ハードルは高いが導入の価値あり】

経費精算システムは会社全体で導入する必要があり、従業員に理解を進めてもらうことやシステムの連携などハードルは高いものの、効率化の効果が非常に高いです。

経費精算システムでは次のような機能が利用できます。

✅ 経費精算システムの機能の例

  • 交通系ICカードをかざすだけで経費精算ができる
  • レシートを撮影すれば仕訳まで自動で行う
  • スマートフォンで経費精算の申請から上司の承認までできる
  • クレジットカードの明細を自動連携

先に述べた電子帳簿保存法によって、このような経費精算システムの機能が可能になりました。

経費精算をほぼ自動化することができ、従業員の入力ミスや紙の領収書の管理などが不要になり、テレワークの促進にも役立ちます。

経費精算とは|まとめ

  • 経費精算とは「立替えたお金を会社に請求して払ってもらうこと」
  • 経費精算を正しく行うと節税になる
  • 経費精算の効率化には電子帳簿保存法が深くかかわっている

経費精算について深堀して解説してきました。

めんどうで後回しになりがちな経費精算ですが、会社全体でみると正しい会計のため、節税のためにも必要です。

経費精算の業務フローは、通常はかなり煩雑ですが経費精算システムを導入することでかなり自動化が可能です。

経費精算システムの導入は経理担当者はもちろん、申請をする従業員にもメリットがあります。導入コスト以上の業務削減の効果が期待できるので、社内で検討してみてはいかがでしょうか。

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