インボイス制度

インボイス制度はいつから始まる?企業がやるべきことついてわかりやすく解説

公開日:2021.12.29更新日:2022.08.25
請求書

消費税の10%への引き上げ、軽減税率の導入を受け、2023年10月からインボイス制度が始まります。インボイス制度が始まると、仕入税額控除を受けるためには、原則として「適格請求書(インボイス)」を保存しなければなりません。

また、適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者に限られます。そのためインボイス制度は、課税事業者だけでなく、今まで納税や仕入税額控除とは縁のなかった免税事業者にも大きく影響する制度となっています。

今回は、インボイス制度の概要や注意点、インボイス制度に向けて企業がやるべきことについて詳しく解説します。インボイス制度の概要を把握したい方や、事業者の対応方法について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

インボイス制度とは?いつから始まる?

インボイス制度とは、消費税による仕入税額控除を受けるために、一定の項目が記載された適格請求書(インボイス)の保存が要件となる制度のことです。

インボイス制度は、2023年10月から開始します。インボイス制度開始後は、原則として「適格請求書(インボイス)」を保存しなければ仕入税額控除を受けることができません。また、適格請求書の発行は国税庁に認められた課税事業者しかできないため、免税事業者は、取引先として課税事業者から敬遠される可能性があります。

また課税事業者にとっても、適格請求書発行事業者の承認申請や、必要な項目を満たしたインボイスの整備、電子インボイスへの対応などが必要であり、従来の業務を大きく見直す必要があります。

このようなインボイス制度がもたらす多大な影響を考慮して、免税事業者からの仕入れであっても仕入税額相当額の一定割合を控除できる、6年間の経過措置が設けられています。

  • ~2026年9月30日:免税事業者からの仕入れにつき80%控除可能
  • ~2029年9月30日:免税事業者からの仕入れにつき50%控除可能

なお、経過措置で一定割合の仕入税額控除を受けるためには、請求書の保存と、経過措置を適用する旨の記載が必要になります。インボイス制度導入から期間が経過するほど仕入税額控除の割合は下がっていき、2029年10月になると経過措置は終了します。

インボイス制度の詳細については、以下のリンクより資料をお受け取りください。

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適格請求書と区分記載請求書の違い

現在の請求書には、区分記載請求書が導入されています。区分記載請求書は2019年10月に施行された保存方式で、消費税の軽減税率が導入されると同時に始まりました。区分記載請求書は、8%と10%の品目を分けて記載するもので、軽減税率導入からインボイス制度導入までの「繋ぎ」と捉えられています

区分記載請求書の記載要件は以下の通りです。

  • 請求書を発行する事業者の氏名または名称
  • 取引のあった年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分した合計対価額
  • 書類の交付元となる事業者の氏名または名称

適格請求書では、上記の要件に以下の要件が追加されます。

  • 登録事業者ごとに付けられた登録番号
  • 適用税率
  • 税率ごとに分けられた消費税額

このように、インボイス制度が施行されると請求書に記載が必要な要件がさらに細かくなることがわかります

仕入税額控除とは?

仕入税額控除とは、課税売上の消費税額から、課税仕入にかかった消費税額を差し引くことです。大前提として、消費税の実質的な負担者は消費者です。しかし、商品やサービスが消費者の元に届くまでの間にもさまざまな取引が行われ、各取引ごとに消費税が発生します。そして、そこで発生する消費税額は各事業者が支払っています。

例えば、製造業を営む事業者が800円(税抜)の材料を購入し、それを加工して製造した商品を1,000円(税抜)で一般消費者へと販売する場合を考えます。

1,000円の商品を一般消費者へ販売するので、この商品に係る消費税は100円です。100円の納税を行うのは製造を行なった事業者ですが 、100円を実際に負担するのは消費者です。しかし、事業者は800円の材料を購入しており、そこでは80円の消費税が発生しています。

そうなると、事業者は80円の消費税を納税していることになり、二重課税となってしまいます。仕入税額控除は、こうした多重課税を解消するための仕組みです。

上のケースの場合、製造事業者が納税する金額としては、100円から80円を控除した20円となります。残りの80円の消費税は、800円の材料を販売した事業者やその上流で取引を行う事業者が納税します。

なお、仕入税額控除を行うためには一定の要件を満たした請求書が必要であり、それが上述でも触れている区分記載請求書です。そして2023年10月1日施行予定のインボイス制度においては、適格請求書(=インボイス)の保存が必要となります。

仕入税額控除について、さらに理解を深めたい方は、以下の記事をご確認ください。

インボイス制度はなぜ必要?背景について解説

インボイス制度が制定された背景としては大きく二つあります。

一つ目は複数税率の問題です。日本は2019年10月1日から8%と10%の複数税率を新たに採用しました。税率が1つであれば全ての品目の税率が同じになるため、平等でシンプルな経理処理が可能です。しかし、2つの税率が存在していると、どの品目がどちらの税率であるのかがわかりづらく、経理処理が複雑化します。そのため、インボイス制度で適用税率や税率ごとの消費税額の記載を義務付けることによって、取引における正確な消費税額を把握するという目的があります。

二つ目は免税事業者の益税問題です。年間売上が1,000万円を下回る「免税事業者」は、消費税の納税義務がありません。そのため、免税事業者は課税売上に含まれる消費税がそのまま利益(=益税)になってしまいます。インボイス制度が施行されると、今まで免税事業者の「益税」となっていた金額は、実質的に仕入税額控除を行えない取引先へ転嫁されます。また、仕入税額控除の観点から免税事業者との取引が敬遠されるリスクから、免税事業者の課税転換が進むと考えられます。

2023年のインボイス制度導入で何が変わる?

インボイス制度が施行されると、事業者にとって上述の仕入税額控除が大きな問題となりますすでに解説している通り、インボイス制度によって適格請求書がなければ消費税控除ができなくなります。また、適格請求書を発行できるのは国税庁に認められた課税事業者です。

つまり、免税事業者は適格請求書を発行できないため、取引先にとって厄介な存在となることが予想されます。2029年9月30日までは免税事業者との取引でも、経過措置として一定割合の仕入税額控除はできるとしても、100%の控除ができないですし、2029年10月以降は一切仕入税額控除ができません。

したがって、インボイス制度で一番影響を受けるのは免税事業者ということです。

売り手の立場として必要な対応

インボイス制度導入における「売り手」の立場として、必要になる対応はいくつかあります。

  • 適格請求書発行事業者に登録する
  • 販売管理システムが適格請求書に対応するか確認する
  • インボイスの交付方法を検討する

以下、詳しく解説します。

適格請求書発行事業者に登録する

売り手の立場としては適格請求書を発行するため、「適格請求書発行事業者」の登録をする必要がありますただし、適格請求書発行事業者の登録は、課税事業者でなければならず、免税事業者は注意しましょう。免税事業者はまず課税事業者の登録をする必要があります。

また、課税事業者になると、消費税の納付義務が発生するため、慎重に検討しましょう。なお、適格請求書発行事業者の登録は2021年10月1日から開始されていますが、インボイス制度導入開始日の2023年10月1日に合わせるためには、原則として2023年3月31日までに登録申請を行わなければなりません

販売管理システムが適格請求書に対応するか確認する

自社で発行する請求書が適格請求書の要件を満たしているのか確認が必要です。適格請求書には、登録番号や消費税率などの記載が求められます。クラウドサービスを利用している場合は、請求書の様式が自動的に変更されるため、特に対応は必要ないでしょう。

しかし、自社独自のシステムで請求書を発行している場合は、様式の変更が求められます。適格請求書で新たに必要になる項目は以下の3つです。これらを記載した請求書を発行できるようにしましょう。

  • 登録事業者ごとに付けられた登録番号
  • 適用税率
  • 税率ごとに分けられた消費税額

インボイスの交付方法を検討する

インボイスを実際に交付する際は、「紙媒体」と「電子データ」で交付する方法があります。特に、電子データで交付する適格請求書を「電子インボイス」と呼んでいます。近年は、クラウドサービスの拡充によって、電子化された請求書の発行が容易になりました。

また、国税関係書類を電子データで保存する法律である「電子帳簿保存法」では、改正が行われる度に利用しやすい制度となってきています。今後もデジタル化の流れを考えると、インボイス制度の導入を良い機会と捉え、請求書の電子化を検討するのも良いかもしれません。

買い手の立場として必要な対応

インボイス制度導入における「買い手(仕入側)」の立場として、必要になる対応は主に2つです。

  • 経理・発注システムなどのシステムの見直し
  • 継続的な取引先へ確認をとる

以下、詳しく解説します。

経理・発注システムなどのシステムの見直し

買い手の立場としては、仕入税額控除を行うために適格請求書の保存が必要ですまた、適格請求書を発行できない免税事業者と取引をした場合は、仕入税額控除ができません。実際に消費税の納付税額を計算する場合は、これらの取引を区分してシステムに落とし込む必要があります。

クラウドサービスを利用していれば、サービス提供側で自動的に変更してくれますが、自社システムで運用している場合は変更作業が必要になります

継続的な取引先へ確認をとる

継続的に取引を行う取引先について、事前に適格請求書発行事業者の登録を受ける予定があるのか確認が必要です仮に予定がなければ仕入税額控除ができず、仕入にかかる費用が増えることになるため、取引条件の見直しや、取引の継続そのものを検討する必要が出てきます。

また、取引先がインボイス制度についての理解が不十分である場合も考えられます。その場合は、適格請求書発行事業者の登録を促すことが求められます。

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まとめ

インボイス制度は、2023年10月から施行される予定です。インボイス制度が施行されると、課税事業者と免税事業者との消費税納税格差がなくなります。また、仕入税額控除は国税庁に認められた事業者が発行する「適格請求書」でなければできなくなります。

インボイス制度の影響を大きく受けるのは、適格請求書の発行ができない免税事業者です。インボイス制度導入後、免税事業者には一定期間経過措置が適用されますが、2029年10月以降は保証されません。

もちろん、課税事業者となって適格請求書が発行できるようになるのが一番ですが、場合によっては赤字に転じる事業者も出てくる可能性があります。そのため、事業状況などに鑑みて慎重に検討するようにしましょう。

また、インボイス制度の気になる点についてわかりやすく解説した資料を配布しているので、気になる方はこちらも参考にしてください。

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