電子帳簿保存法

電子帳簿保存法第10条の電子取引データの保存要件が変わる!改正後の条文や経過措置も解説

公開日:2021.12.31更新日:2022.06.04

新型コロナを契機にしたリモートワークの推進や、DXの流れを受けて、企業取引の電子化が広がっています。そのような状況下で2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法は、国税関連の帳簿書類の電子データ化に拍車をかける内容になっています。

改正法の中でも特に重要なポイントは、電子取引の取り扱いが大きく変わった点です。電子取引データをプリントアウトして紙の形で保存することを認めた旧10条が修正され、オリジナルの電子データとして保存することが義務づけられました。これによって、希望する企業が行えばよかった帳簿書類の電子データ化が、あらゆる企業に関係するようになりました。

本記事では、旧10条からの変更点と、新たに電子取引データの保存について規定した改正法第7条について、解説していきます。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法(電帳法)は、国税関連の帳簿や書類について一定の条件を満たすことを条件に電子データで保存することを認めた法律です。高度情報化・ペーパーレス化に対応し、納税者の負担軽減を図るため、1998年に制定されました。

当時、会計処理に関わる業務でパソコンなどを使用した帳簿の作成が行われていました。パソコンを活用した経理業務の利便性は、さまざまな業界から注目を浴び、帳簿の電子データとほか保存媒体による記録の保存の容認が切望されていました。

電子帳簿保存法はその後、利便性の向上や社会情勢の変化にあわせて改正が行われてきました。以下が主なものです。

1998年:決算書データの電子保存が可能に
2005年:e-文書法施行。スキャンによる電子保存が可能に
2016年:スマートフォン撮影の画像も認められるように
2020年:ユーザーが改変できないものはデータ保存が可能に
2021年:電子データ保存の要件が緩和・電子取引の電子保存が義務に

この2021年の改正が2022年1月に施行されました。電子取引の電子データ保存義務化が最も重要なポイントといえます(参照元:国税庁|制度創設等の背景)。

電子帳簿保存法ガイドバナー

改正電子帳簿保存法第7条と旧10条の違いは?

電子帳簿保存法旧10条は、電子データで保存すべき取引情報について規定したものですが、改正法では、その内容は第7条において規定されています

旧電子帳簿保存法第10条(令和元年12月16日施行)

以下が、旧電子帳簿保存法第10条の条文です。

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)第十条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

第10条は、電子商取引の普及を受けて2004年に追加された条項で、電子商取引関連の情報保存条件を規定しました。電子取引を「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」と定義して、電子データの保存要件を規定しました。

対象とする取引情報は、電子メール、クラウドサービス、EDI(電子データ交換)取引、インターネットを介した取引情報の授受などがあります。

条文に「当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」とあるように、本来は電子データの保存を求めるものですが、「その電磁的記録を出力することにより作成した書面は、この限りではない」として、紙にプリントアウトした形の保存も認められました。

これは、時代的にまだ多くの業務が紙媒体に依存していて、電子データ保存を徹底するのは難しいとの判断から例外としてとられた措置でした。

改正電子帳簿保存法第7条(令和4年1月1日施行)

以下が、改正電子帳簿保存法における第7条の条文です。

(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)第七条 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

参照元:e-Gov法令検索|電子帳簿保存法施行規則(施行日:令和四年一月一日)

旧10条の内容を受け継いだ改正7条では、紙での保存を認める例外規定がなくなっています。

例外規定は、「紙媒体での保管に安心感がある」「デジタル化のノウハウがない」「紙媒体で問題ないなら、無理にデジタル化する必要がない」といった社会環境から、電子データ保存を免除したものです。

その一方で、税務署では紙の文書の対応で事務量が減らないという問題を抱えていました。今回の改正は、企業のインターネット環境の成熟などで、紙保存の廃止が可能になったと判断したともいえます。

電子取引における情報の保存を電磁的記録で行うことが義務化

電子帳簿保存法の改正では、旧法第10条に記載されていた「但し書き」が削除されました。この結果、「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」については、すべて電子データで保存することが義務となりました。

従来は、希望する企業のみが電子データ保存を導入していましたが、電子取引に関わる企業はすべて、電子データ保存が義務になります。

また電子データであれば、それでよいというわけでもありません。たとえば、受領したデータをプリントアウトして、これをスキャナで再電子データ化しても無効です。これでは、最初のデータから改ざんされていないことを保証できないためです。

参照元:国税庁|電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

電子保存義務化に2年間の猶予

電子取引データ保存の義務化に対して、令和3年12月に経過措置が設けられました。

「施行日までに要件を満たすのが困難」との声が多くの企業から出たことを受け、自民・公明党両党が決定した「令和4年度税制改正大綱」に盛り込まれました。電子保存義務化に2年間の猶予期間を設けるというものです。

改正法の施行は2022年1月ですが、対応できない事業者には、2年間紙媒体での保存が認められます。これによって2023年12月までの取引については、従来どおり紙での保存が可能になりました。一方で、2024年1月からの取引は規定どおり電子データの保存のみとなります。

猶予期間ができたとはいえ、全面電子化は大変な作業なので、できるだけ早く着手して、2024年に間に合わせる必要があるでしょう。

電子帳簿保存法第7条(旧10条)が指す「電子取引」の範囲と対象書類

第7条(旧10条)で言う「取引情報のやりとりを電磁的方式で行う取引」とは、以下のものを指します。

  • EDI(電子データ交換)取引
  • インターネット等による取引
  • 電子メールによって取引情報をやり取りする取引
  • インターネット上のサイトでやり取りする取引

また、対象書類としては、電子取引でやり取りした発注書、請求書、領収書、契約書、見積書などが該当します。データの種類としては、以下のようなものがあります。

  • アプリ決済の履歴など
  • クレジットカードやデビットカードなどの利用明細
  • メール、およびメールに添付されたファイル
  • Webサービスを介したもの、およびそのスクリーンショットなど
  • ペーパーレスFAXで送られるPDFなど
  • 電子データを入力した記録媒体
  • クラウドサービス経由で送られるもの

電子取引の対象は幅広く、ほかにも該当するものが多くあります。取引の形式や電子データの形式で区別せず、すべての記録を残しておく方が安全です。

電子取引データ保存における要件緩和

電子取引データ保存が義務化されましたが、施行にあわせて要件緩和が行われました。以下では、具体的な要件緩和について説明します。

タイムスタンプの付与期限を緩和

電子取引データ保存の義務化とあわせて導入された緩和措置のひとつに、タイムスタンプ要件の変更があります。

タイムスタンプは、電子データが特定の日時に存在し、その時点から変更がないことを証明する技術です。電子データの「存在証明」と「非改ざん証明」の役割を持ち、電子データが原本で真正性を持つことを保証します。

電子帳簿保存法では、電子商取引データやスキャナ保存する際、タイムスタンプを付与することを定めています。この付与の要件は、今回の改正電子帳簿保存法で緩和されました。

具体的には、電子データにタイムスタンプを付与するまでの期間が延長されました。受領あるいは紙の書類をスキャナ保存した時点から「遅滞なく(3営業日以内)」付与するとされていたのを、「最長約2ヵ月とおおむね7営業日以内」に変更しました

また、電子データの訂正または削除を行った場合に、確実な方法で、その事実および内容を確認できれば、タイムスタンプ付与の省略も可能となりました。

検索項目が3項目に限定

もうひとつの緩和項目は、保存する電子データの検索に関するものです。

旧法で必要とされていた検索項目を絞り込み、「日付」「取引金額」「取引先」の3項目で足りるとしました。この3つの項目を複数組み合わせ、あるいは特定の範囲で検索できることが必要です。

ただし、組み合わせ検索の機能は、税務職員からの電子データのダウンロードの求めに応じる場合は、不要となります。

電子取引データの保存要件

電子取引データは、一定の要件を満たしながら保存する必要があります。データとして利用できる状態を保っておくためで、以下の4項目です。

  • 真実性の確保
  • 見読性の確保
  • 検索機能の確保
  • 関連書類の備え付け

真実性の確保

真実性とは、保存する内容が改ざんされていないことと、本物である証明ができることです。真実性の要件を満たすには、以下の措置のいずれかを行う必要があります。

  • 取引データにタイムスタンプが付与されたあとに、取引先とデータを授受する
  • 取引データを授受したあと、すぐにタイムスタンプを付与し、保存者や保存業務の監督者の情報が確認できるようにする
  • 取引データの内容を変更または削除した際に、その操作の記録が残るシステムか、内容の変更または削除ができないシステムで取引データを保存する
  • 悪意のある訂正や削除を防止する事務処理規程を用意し、その規程に沿った運用をする

見読性の確保

見読性とは、内容を目視で確認できることです。税務署などからの要求があった場合に、開示しなくてはなりません。保存してあるといっても暗号化されて簡単に見られない状態では役立ちません。

したがって、以下の要件が定められています。

  • 4ポイント文字が判読できる
  • 原本と電子データの内容が同程度に読み取れる
  • 規則的に整理されている、かつはっきりとした状態で紙媒体などで出力できる
  • 拡大および縮小ができる

また、表示のための14インチ以上のディスプレイや、カラープリンターなども必要です。

検索機能の確保

検索機能は、要件の緩和でも触れましたが、基本的には「日付」「取引金額」「取引先」の3項目を1つ以上選んで検索できることが要件となります2つ、または3つを選択しての条件検索も必須です。

また、日付と金額では、範囲を設定して絞り込みができることも求められます。

関連書類の備え付け

一般的に電子取引に使用されるシステムには、市販の会計ソフトやWebサービスなどがあります。また、社内に開発部門が存在し、自社開発したツールやシステムがある場合は、その自社開発製品を使用できます。ただし、自社開発製品を使用している場合は、その製品の概要の文書などを用意する必要があります

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まとめ

改正電子帳簿保存法が2022年1月に施行され、すべての企業に関係するようになりました。

この法律は何度も改正され、時代に即した項目の追加や、不正防止や業務の負担軽減を図る整備が行われてきました。今回の改正では、電子取引について紙でのデータ保存が廃止され、オリジナルの電子データで保存することが義務づけられました。

この義務化には2年間の猶予期間が設けられており、当面は紙のプリントアウトでも認められています。しかし、2024年1月からは厳格に適用されるようになるので、関係する企業は対応が必須です。

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