見積書の保管期間はいつまで?適切な保管方法や電子化のアイデアをご紹介!

見積書、請求書、そして納品書などの書類は証憑(しょうひょう)書類と呼ばれ、紙または電子の形式に関わらず、法律で保管が義務付けられています。特に見積書は保管することで取引上のトラブル回避にも役立ちます。本記事では見積書の保管期間や保管方法について紹介します。定められたルールに則して正しく保管しましょう。

見積書の役割

見積書とは、金額やサービス範囲などの条件を、相手方に提示する為の書類です。ビジネスの初期段階でやり取りされ、取引をスタートさせる役割があります。発注者は見積書によって費用の概算を確認することができ、実際に取引に進むべきかの判断材料となります。

また、見積書によって発注者と受注者の取引内容への認識が一致し、トラブルを未然に防ぐ役割をします。このように、見積書は取引上重要な書類であるために、一定期間の保管が義務付けられています。

見積書の法的な意味

後々のトラブルを考慮して、基本的にはビジネスでは契約書を結ぶことが良しとされています。一方、民法によると、一方の当事者による「申込み」に対して他方の当事者が「承諾」をした場合は、契約書が発行されていなくとも、発注書などで承諾の意思表示をすれば、当事者間に契約が成立します。

見積書は契約の「申込み」としての性格を有しているため、契約書が発行されていない場合などで契約有無を示す重要な書類となり得ます。したがって、その取り扱いには注意が必要であると言えるでしょう。

民法522条(契約の成立と方式)

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

見積書の保管期間

見積書は取引を証明する書類である「証憑(しょうひょう)書類」の一種で、保管義務があります。法人か個人事業主か、また、決算内容や事業課税状況に応じて、5年〜10年の保管期間が定められています。

法人の場合は原則7年

法人の場合、見積書の保管期間は、法人税法によって原則7年と義務付けられています。これは万が一、脱税が発覚した場合、さかのぼって追徴課税ができる期間に基づいています。

なお、保管期間の起算点は、見積書の「発行日」ではなく、「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間」(国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法」)である点に注意が必要です。

例:3月決算の法人が「2022年1月発行日」の見積書で考えた場合、「次の確定申告期限は2022年5月末日」となる為、その7年後の「2029年5月末」までが保管期間となります。

赤字決算の場合は10年

法人の場合、保管期間は原則7年です。しかし例外として、赤字決算の場合は保管期間が10年に伸長されます。これは、「繰越欠損金制度」の利用期間が10年であることに基づいています。

「繰越欠損金制度」とは、過去の赤字と将来の黒字を相殺することで課税額を抑制できる制度です。過去にさかのぼれる期間が10年間であり、青色申告であることが条件です。なお、この繰越欠損金制度は幾度か法改正されています。赤字の発生した事業年度が平成20年4月1日〜平成30年3月31日の場合は9年間、平成30年4月1日以降であれば10年間の保管となっています。

しかし、細かく分類して保管することは手間とコストがかかる為、赤字が出たら一括で10年保管とすることが無難でしょう。

個人事業主の場合は5年か7年

個人事業主の場合の保管期間は、7年間か5年間となります。前々年度の課税売上高が1000万円を超えている場合は、消費税の課税対象事業者となり、7年間の保管期間が必要となります。一方、前々年度の課税売上高が1000万円を超えていなければ5年間となります。

青色申告か白色申告かで期間が分かれると思われがちですが、前々年度の課税売上高である点に留意しましょう。

見積書の保管方法

見積書は最大で10年間の保管が必要となります。手間なく管理する為には、適切なルールを設けることが大切です。保管方法は紙または電子データのいずれかです。、紙での保管は時間とコストがかかるだけでなく、紛失などのリスクもあります。なお、契約に至らなかった場合は、保管義務はありません。

紙で保管する

見積書を紙で保管する場合は、事業年度ごとの分類や、取引先ごとの分類が一般的です。紛失のリスクに配慮して、受け取った見積書は小まめに処理することをお勧めします。

作業の流れは、郵送やFAXで届いた見積書を、ルールに沿って仕訳しファイリングするという簡単なものです。しかし、複数人が作業する場合は、仕分けが適当でない場合もある為、定期的に保管状況を確認することが望ましいです。法定の保管期間を意識して、計画的に管理を行いましょう。

事業年度ごとに分類する

時系列に沿って、事業年度ごとに分けて保管します。この保管方法は特別な技術は必要とせず、誰でも簡単に実行することができます。

保管ルールにプラスして、廃棄の流れまで決めておくことがポイントです。廃棄の流れを決めておくことで、個々の見積書の廃棄タイミングに悩むことなく、効率的に業務を進めることができます。

また、廃棄方法は毎年1年分の見積書を、廃棄業者に廃棄してもらう方法が簡単です。この機会に廃棄方法までルールに組み込んでおきましょう。

取引先ごとに分類する

取引先の数の変動が少なく、定期的な取引がある場合は取引ごとに分類する方法がオススメです。請求書や納品書など他の経理書類とまとめておくと、後から見返す場合にも探しやすく便利です。

また、経理書類の中には見積書の他にも10年保管のものがあるため、見積書と一緒にファイリングする方法もあります。なお、保管期間が過ぎた書類の廃棄は、事業年度ごとにファイリングするのに比べると、選別に時間を要する可能性があります。

紙保管のリスク

紙の見積書は、経年劣化により、文字が読みにくくなる可能性があります。そのため、適切な保管環境を用意する必要があります。また、仕分けやファイリングに人手がかかる点や、後から探すのが困難になる可能性も懸念として挙げられます。

電子データで保管する

前述のように、見積書を紙で保管することには諸々の課題があります。これらのリスク・手間・コストは、水や汚れに弱いという紙の性質や、仕分けを手作業で行うという実態を考えると、現場の創意工夫だけでは根本的な解決は図れません。

そこで、近年はデジタル化の後押しを受けて、紙への保管から電子データでの保管に移行する企業が増えています。具体的には「スキャナ保存」「電子データ保存」の2つのパターンが挙げられます。

1.紙の見積書をスキャナ保存

取引先から受け取った紙の見積書を、スキャナで読み取ったり、スマホで撮影したりすることで電子データ化し、保管する方法があります。この保管方法を「スキャナ保存」と言います。

令和3年度の税制改正において電子帳簿保存法が改正されたことにより、この「スキャナ保存」の要件が緩和されました。令和4年1月1日からは、税務署長の事前承認制度が廃止され、申請書の提出が不要となりますので、導入にまつわる事業者の負担が軽減されます。

2.電子データのまま保存

当初から電子データで作成・授受している見積書は、紙の形ではなく、電子データで保管する必要があります。これは電子帳簿保存法によって、所得税及び法人税の保存義務者に対し定められている義務です。

電帳法により、電子データ→紙保存はNGに

データで授受した見積書などの国税関係書類について、現行法では紙での保存が認められていますが、2022年以降は、全ての企業に対し、データで受け取った書類(電子取引書類)を印刷して保存する方法が基本的に認められなくなります(注:2021年12月の税制改正大綱により、2023年12月31日まで猶予が与えられることが決定)。

データで授受した書類とは、EDI取引やクラウドサーバ経由などの他に、PDFをメール送付する方法、Web請求書システムを利用する方法などが該当します。企業間の取引を行う上で、このような電子取引を避けては通れる企業は極めて少ないでしょう。

これまで「電帳法とは関係がない」と思っていた企業も、電帳法に対応した見積書の保存運用方法を検討する必要があるかと思われます。

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INVOICE POST画像

見積書を紙で送るか電子データで送るかを決めるのは得意先の企業であり、受け取る側が決めることはなかなか難しいです。したがって、受領から保管までのオペレーションが煩雑であり続け、実際に書類保管をする側の業務負荷は変わらないかと考えられます。

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まとめ

見積書は取引の開始に欠かせないビジネスツールであり、厳格な保管期間が定められています。故に保管コストや手間は小さくありません。さらに、電子帳簿保存法の改正により、2022年以降は電子取引に関係する見積書は紙での保管が出来なくなります。改正内容をしっかり確認して、間違いのないようにしましょう。