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電子帳簿保存法に対応した請求書の保存方法を解説【2023年最新】

更新日:2024.02.13

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電子帳簿保存法 請求書のアイキャッチ画像

2年の猶予を経て、2024年1月から対応が必須とされる改正電子帳簿保存法。準備を急ぐ経理部の方も多いでしょう。また2023年10月から開始されたインボイス制度下においては、請求書の控え(写し)の発行と保存の義務が生じるため、請求書周りの業務はより煩雑化します(後述)。

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本記事では、改正電子帳簿保存法に対応したい経理担当者向けに、請求書の保存方法について詳しく解説します。請求書の受領側と発行側それぞれにおける対応や、電子保存の要件インボイス制度の影響についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

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電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、各税法で保存が義務付けられている国税関係帳簿や国税関係書類を、一定の条件を満たすことで電子化して保存できるという法律です。請求書をはじめとする国税関係書類に関しては、紙で授受した場合は「スキャナ保存」電子データ上で授受した場合は「電子取引」という方式で電子保存できます。

また、電子帳簿保存法は1998年の施行以降、社会環境の変化に応じて以下のような改正が行われてきました。

  • 2015年:電子署名の義務化・金額上限の廃止
  • 2016年:スキャナ保存要件の緩和
  • 2020年:電子決済の利用明細を証憑と認める
  • 2022年(2年猶予):紙保存の廃止、タイムスタンプ要件緩和、税務署長の承認不要

最新の2022年1月の改正では、電子的に授受した取引情報を紙面印刷して保存することが認められなくなったり(2年間の猶予期間あり)、今までは厳格であったタイムスタンプ付与の要件が緩和されたり、電子帳簿保存法の適用に関して税務署長から承認をもらう手続きが廃止されるといった、電子化を促す要件緩和が進められました。

他にもさまざまな改正項目があるので、電子帳簿保存法改正の詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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※令和5年度税制改正大綱により、やむを得ない事情がある場合は、2024年1月以降も電子データを書面に出力して保存することが認められます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

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受領した請求書の保存方法

保存が必要となる請求書には、「取引先から受領した請求書」と、「自社で発行した請求書(控え)」の大きく2種類があります。ここではまず、「取引先から受領した請求書」の保存方法について詳しく説明します。

また、取引先から請求書を受領するケースの中でも、請求書の種類が「紙の場合」「電子データ(PDF等)の場合」の2つがありますので、それぞれ分けて説明します。

請求書を紙で受領した場合

取引先から紙の請求書を受け取った場合、請求書の保存方法は以下の2つです。

  1. 紙のまま保存
  2. 紙の請求書をスキャンし、電子データで保存

「1.紙のまま保存」は多くの企業にとって馴染みのある保存方法でしょう。一連の会計処理が終わった後、タグ付けやファイリング等の作業を行い、書類庫に保管します。紙の請求書処理を効率的に行う方法については以下の記事で解説しています。
▶︎請求書のファイリング方法について解説した記事を読む

「2.紙の請求書をスキャンし、電子データで保存」は、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存方式を利用した保存方法です。

受領〜保存までの大まかな流れは以下の通りです。

  1. スマートフォンで紙原本の撮影orスキャナで読み込み、
  2. 読み取ったデータをシステム上にアップロード
  3. 2ヶ月以内に画像データにタイムスタンプを付与する(訂正削除の記録が残るシステムであれば、タイムスタンプ付与は不要)
  4. 法的期間内システム上にデータを保管

なお外部ベンダーの提供しているタイムスタンプ付与型のシステムを利用すれば、基本的にはユーザーが画像データをアップロード後にタイムスタンプが自動的に付与されるため、3.に関してはユーザー側での特別な対応は不要です。

電子帳簿保存法におけるタイムスタンプについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:電子帳簿保存法にタイムスタンプは不要?費用や仕組みを徹底解説

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請求書を電子データで受領した場合

取引先から電子データの請求書を受領した場合、保存方法は以下の2つです。

  1. 電子データのまま保存
  2. 電子データを紙に出力して保存(2024年1月以降は廃止

「1.電子データのままの保存」は、電子帳簿保存法の電子取引方式に則った保存方法です。実際の運用としては、紙の電子化時と基本的には同じです。

  1. 受け取ったPDF等を自社開発or市販システム上にアップロード
  2. 2ヶ月以内に画像データにタイムスタンプを付与する(訂正削除の記録が残るシステムであれば、タイムスタンプ付与は不要)
  3. 法的期間内システム上にデータを保管

なお外部ベンダーの提供しているタイムスタンプ付与型のシステムを利用すれば、基本的にはユーザーが画像データをアップロード後にタイムスタンプが自動的に付与されるため、2.に関してはユーザー側での特別な対応は不要です。

「2.電子データを紙に出力して保存」は、コピー機等で請求書の電子データを紙印刷し、紙で受領した請求書と同じように保存する方法です。こちらは多くの企業で行われる方法ですが、電子帳簿保存法の改正により、2024年1月以降は認められない保存方法になりますそのため、「1.電子データのまま保存」ができる体制を2024年までに構築する必要があります。詳細は以下の記事でご確認ください。

▶︎電子帳簿保存法改正についての解説記事を読む

※令和5年度税制改正大綱により、やむを得ない事情がある場合は、2024年1月以降も電子データを書面に出力して保存することが認められます。詳しくは以下の記事をご確認ください。

▶電子保存義務化の猶予が恒久に?令和5年度税制改正大綱を解説

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自社発行した請求書控えの保存方法

売り手の立場として、自社で発行した請求書の控えについても保存が必要です。こちらも、「紙で発行した場合」「電子(PDF等)で発行した場合」の2パターンが考えられ、それぞれ保存方法が異なります。

請求書を紙で発行した場合

請求書を紙で発行した場合、請求書控えの保存方法は以下の2つです。

  1. 紙の請求書控えを保存
  2. 紙の請求書をスキャンし、電子データで保存

紙で受領した請求書を保存する際と同様の、2つの方法での保存が可能です。(詳細は先述した受領側の保存方法に関する箇所をご確認ください)

請求書を電子上で発行した場合

請求書を電子上で発行した場合、請求書控えの保存方法は以下の2つです。

  1. 電子データのまま保存
  2. 電子データを紙に出力して保存(2024年1月以降は廃止

こちらに関しても、電子で受領した請求書を保存する際と同様に、2つの方法での保存が可能ですが、2024年1月以降は「1.電子データのまま保存」のみ認められます。(詳細は先述した受領側の保存方法に関する箇所をご確認ください)

インボイス制度開始後は控えの作成義務が生じるので注意

なおインボイス制度施行以前は、請求書控えを発行した場合は保存義務があるものの、作成自体の義務はありませんでした。一方、2023年10月よりインボイス制度が始まり、仕入税額控除を受ける上で請求書控えの作成+保存の義務が生じました。この件については、以下の記事でも触れているので改めてご確認ください。

▶︎請求書の控え(写し)の管理方法は?インボイス制度により作成・保存が義務化!

電帳法対応の請求書の保存方法【一覧まとめ】

請求書の保存方法をまとめると、以下のようになります。

授受する請求書の種類保存方法
紙で保存
電子保存(スキャナ保存要件)
電子紙で保存(2024年以降不可)
電子保存(電子取引要件)

紙の請求書を電子で保存する場合は「スキャナ保存」、電子を電子のまま保存する場合は「電子取引」の要件を満たす必要があります。

注意が必要なのは、2024年以降、電子上で授受した請求書は紙保存ができなくなる点です。未対応の企業については、電子保存ができるよう社内システム・業務フローを整備したり、法律に対応したクラウドサービスの導入を始めましょう。

▶︎改正電子帳簿保存法に完全対応!おすすめクラウドシステム12選を見てみる

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請求書を電子保存する際の要件【スキャナ保存/電子取引】

請求書の電子保存の方法としては、上述の通り「スキャナ保存方式」と「電子取引方式」の2つがあり、それぞれ保存要件が規定されています。

スキャナ保存の要件

請求書をスキャナデータで保存する際に必要な要件には、「真実性の確保」「可視性の確保」の二つがあります。

真実性とは、請求書をどのようなルールで誰がいつ行ったかなどの証拠を細かく残すことです。その証拠付けとしては、タイムスタンプを付与する方法があります。タイムスタンプを付与することで、後付けの請求書ではないことを立証し、データ改ざんを否定することになります。

可視性とは、法令で決められた機器を用いて、かつ検索機能を付帯させることです。税務署の監査などにおいて、必要なデータをすぐに見つけられるようにしておく必要があります。

スキャナ保存に関する詳細な要件について興味のある方は、こちらの記事をご確認ください。

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電子取引の要件

電子データで授受した請求書を、電子データとして保存する際の要件も、「真実性の確保」「可視性の確保」の二つです。

電子データは受け取った日時がわかる、かつ訂正・削除の履歴が残るようにします。これは、主にデータ改ざんの可能性をなくすためです。

また、電子データが、どの帳簿に記載されているかを明らかにする必要があります。主に検索機能を付帯させることで、すぐに見つけられるようにしましょう。

加えて、電子データは、パソコンやプリンターを設置し、必要に応じて紙媒体にできる状態をつくっておかなければなりません。また、誰でもできるよう操作マニュアルなども置く必要があります。

電子取引における詳細な要件について興味のある方は、こちらの記事をご確認ください。

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請求書の保存期間

請求書の保存期間は、法人税法および所得税法にて以下のように定められています。この期間は紙保存、電子保存どちらも変わりません。

  • 法人:7年(欠損金の繰越控除は10年間適用)
  • 個人事業主:5年(消費税納税者は7年)

法人の場合は、帳簿および証憑書類を7年間保存する必要があります。また、平成30年4月以降の欠損金に関する請求書については、10年間の保存義務があります。

個人事業主の場合は、帳簿および証憑書類を5年間保存しなければなりません。なお、消費税課税事業者は7年間の保存義務があります。消費税課税事業者は、前々年度の課税売上高が1,000万円を超える事業者が対象です。

個人事業主は証憑書類を保存していないことで、青色申告が取り消しになる場合があります。念のために、帳簿および証憑書類は7年間保管するようにしましょう。

▶︎請求書の保存期間は7年?10年?【最新法改正から実務の注意点まで徹底解説】

請求書保管マニュアル

請求書の電子保存におすすめの請求書受領サービス

取引先から請求書を受け取る場合、原本を確認、開封して金額等のデータ入力をする必要があります。ミスが許されない業務であるため、この作業に毎月苦しむ経理部の方も多いのではないでしょうか?
また、上述のように電子帳簿保存法に対応しながら、請求書の保管準備を行うのは骨の折れる作業です。そのため、業務効率化をしながら電子帳簿保存法に対応できる「請求書受領サービス」の導入が多くの企業で進んでいます。

代表的な請求書受領サービス 「TOKIUMインボイス」は、紙やメール・ウェブシステム経由で届くあらゆる形式の請求書を受領代行し、請求書の確認・処理を電子化するサービスです。

請求書の受け取り・スキャン・データ化・原本管理まで全て代行され、システム上で一元管理できるため、ペーパーレス化と同時に請求書支払いにかける時間を約1/5にまで削減することができます。さらに、受け取った請求書はインボイス制度・電子帳簿保存法に対応する形で保管されるため、法対応に関する追加の手間をなくせる点も魅力です。

TOKIUMインボイストップ3
出典:TOKIUMインボイス公式

TOKIUMインボイスは、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証機関である日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に導入し、利用しているサービスです。

月額費用は、基本利用料(1万円〜)+請求書の件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数が無制限のため、利用者数が多い場合も追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで請求書業務を効率化できます。

「料金表や機能を詳しく知りたい」という方は、下記より資料をご覧ください。
※すぐにPDF資料をお受け取りいただけます

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電帳法だけでなくインボイス制度も見据えたシステム検討を

請求書の保存に関わる重要な法制度として、電子帳簿保存法だけでなく2023年10月から始まったインボイス制度があります。

インボイス制度が始まった状態においては、現行よりもさらに多くの項目を含む適格請求書を電帳法対応した上で保存しなければならない状況となります。請求書を電子保存する敷居が低くなった今、ぜひ費用対効果の取れるシステムを検討してみてはいかがでしょうか。

保存要件を細かく把握しておく必要がない、将来的な法改正にも対応できるといった観点からも、TOKIUMインボイスを始めとするクラウドサービスの利用をおすすめします。この機会に、法対応と共に経理業務の効率化を検討してみましょう。

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