インボイス制度

適格請求書とは?発行や保存に向けて準備すべきことを解説

公開日:2022.12.13更新日:2023.01.05
適格請求書とは

2023年10月から施行される適格請求書等保存方式。本方式が始まると、新たに「適格請求書(インボイス)」が導入され、従来の請求書の扱いや仕入取引が大きく変化します。

本記事では、適格請求書の基本知識から、適格請求書の導入が経理業務へどんな影響を及ぼすかについて、国税庁の情報を元に分かりやすく簡単に説明します。記事後半では、適格請求書等保存方式に向けてどんな準備をすべきか、課税事業者と免税事業者に分けてそれぞれまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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適格請求書等保存方式とは?

適格請求書等保存方式とは、2023年10月から導入される、消費税の仕入税額控除の適用を受けるための新たな方式です。通称「インボイス制度」と呼ばれます。

現在は「区分記載請求書等保存方式」という方式が採用されており、適用税率ごとに区分した請求書(または納品書、領収書等)と区分経理に対応した帳簿を保存すれば、仕入税額控除の適用を受けることができます。しかし令和5年10月1日からは、より細かい記載事項や制限が設けられている「適格請求書(インボイス」を保存する必要が生じます。

インボイス制度のスケジュール

仕入税額控除とは?

仕入税額控除というのは、納税する消費税額を計算する際に、売上にかかる消費税額から仕入にかかる税額を差し引く処理のことです。課税事業者は、商品・サービスを販売した際に、売上にかかる消費税を国に納める義務がありますが、商品・サービスの仕入れ時にも消費税を支払っています。商品・サービスの売上にかかる消費税を全額納めてしまうと、仕入れ時に払った消費税が二重課税となってしまうため、その分を控除することができます。

仕入税額控除の仕組み

仕入税額控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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適格請求書(インボイス)とは?

適格請求書(インボイス)とは、一定の事項が記載された請求書や納品書、領収書などそれらに類する書類のことを指します。上述の通り、仕入税額控除の適用を受ける上でとても重要な書類になります。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

上は、国税庁が公表している適格請求書のサンプルと、必要な記載事項のリストになります。現在の区分記載請求書等保存方式で必要とされる項目に、登録番号適用税率税率ごとに区分した消費税額等の3つが追加されています。

なお、適格請求書の様式は法令等で定められていません。必要な事項が記載されたものであれば、名称を問わず、また手書きであっても適格請求書として認められます。

適格請求書が導入された目的・背景は?

消費税の仕入税額控除に適格請求書が導入された背景には、「複数税率の問題」があります。

日本は2019年10月1日から8%と10%の複数税率を新たに採用しました。税率が1つであれば全ての品目の税率が同じになるため、平等でシンプルな経理処理が可能です。しかし、2つの税率が存在していると、どの品目がどちらの税率であるのかがわかりづらく、経理処理が複雑化します。そのため適格請求書等保存方式は、適用税率や税率ごとの消費税額を請求書に記載することを義務付けることによって、取引における正確な消費税額を把握するという目的があります。

また、適格請求書の導入には「免税事業者の課税転換を促進させる」という目的もあります。適格請求書等保存方式において、適格請求書を交付できるのは課税事業者に限られます。これはすなわち、免税事業者から行なった仕入については、仕入税額控除を適用できないことを意味します。結果として、免税事業者との取引は敬遠されることが予想され、免税事業者の課税転換が促進されるでしょう。

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適格請求書(インボイス)の導入で何が変わる?

適格請求書(インボイス)の導入によって、具体的にどのような変化が生じるのでしょうか。ここでは、適格請求書等保存方式で押さえておくべき重要な5つの変化を説明します。

1.適格請求書を保存しないと仕入税額控除の適用を受けられない

課税事業者は、適格請求書を保存しなければ仕入税額控除の適用を受けられなくなります。保存期間は7年間(事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間)です。仕入税額控除の適用を受けられないというのは、本来納める必要のない税金を追加で納めることを意味しますのでとても重要です。

なお、制度が大きく変化することを考慮し、以下のように制度開始から6年間の経過措置が設けられています。令和11年(2029年)10月以降は控除が全く適用できなくなるので注意が必要です。

インボイス制度 経過措置
※仕入税額控除の適用にあたっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存と本経過措置の適用を受ける旨(8割控除・5割控除の特例を受ける課税仕入れである旨)を記載した帳簿の保存が必要

参考:財務省|インボイス制度実施に当たっての経過措置について

2.請求書の記載項目が増える

上で説明した通り、適格請求書とする書類の記載項目には、現行の方式で必要な項目に、登録番号適用税率税率ごとに区分した消費税額等の3つが追加されています。

区分記載請求書等保存方式適格請求書等保存方式
①書類の作成者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに合計した対価の額(税込み)


⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

3.適格請求書を交付できるのが登録事業者へ限られる

現行の区分記載請求書等保存方式では、原則として、誰でも請求書を交付できます。しかし適格請求書等保存方式では、必要な記載項目に「登録番号」が追加されたため、適格請求書を交付できるのは適格請求書発行事業者に限定されます。さらに、登録事業者になれるのは課税事業者のみであり、免税事業者はインボイスを交付できません

なお、適格請求書発行事業者の情報は「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されます。適格請求書に書かれた登録番号を検索にかけることで、事業者の氏名または名称、登録年月日等の情報を確認することができます。

4.登録事業者に適格請求書の交付と控えの保存義務が生じる

登録を受けた適格請求書発行事業者は、取引を行った際、適格請求書を交付する義務と控えを保存する義務が生じます。交付や保存は電子帳簿保存法に基づいて電磁的記録で行っても構いません。なお、事業の性質上、適格請求書の交付が困難とされる一部の取引では、交付義務が免除されています。

また、小売業、飲食店業、タクシー業等の一部の事業者は適格簡易請求書(簡易インボイス)の交付が認められています。詳細はこちらをご確認ください。

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5.消費税額の計算方法が増える

現行の区分記載請求書等保存方式では、売上税額については割戻し計算、仕入税額については積上げ計算を行い消費税額を算出しますが、適格請求書等保存方式ではこの他にも2パターンの算出方法が可能になります。

インボイス制度 税額計算
出典:国税庁|適格請求書等保存方式の概要

売上税額計算で「積上げ計算」を選択した場合は、仕入税額の計算は「積上げ計算」のみ適用可能となります。一方、売上税額計算で「割戻し計算」を選択した場合は、仕入税額の計算においては「積上げ計算」「割戻し計算」のいずれかより選択できます。

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適格請求書の交付・保存に向けて準備すべきこと

適格請求書の交付や保存に向けて準備すべきことについて、課税事業者と免税事業者に分けてそれぞれ解説します。

課税事業者が準備すべきこと

1.適格請求書を交付できるようにする

適格請求書等保存方式に向け、まずは適格請求書を交付できるようにする必要があります。具体的な作業としては、適格請求書発行事業者への登録適格請求書のフォーマット作成の2つを行いましょう。

適格請求書発行事業者の登録申請の受付は2021年10月から開始されており、適格請求書等保存方式が始まる2023年(令和5年)10月1日に登録を間に合わせるためには、2023年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。登録申請書は、郵送のみならずe-Taxを利用して提出することも可能です。

登録申請がまだの方は、下記の記事を参考に申請を進めてみてください。

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登録が完了したら、自社の交付する請求書が適格請求書の記載項目を満たすように準備しましょう。必ずしも請求書である必要はなく、納品書や領収書、あるいは複数書類を一つの適格請求書とみなして交付することも可能です。なお、適格請求書等保存方式の開始前から適格請求書を交付していても問題ありません。

また以下の記事では、適格請求書等保存方式に対応した請求書と領収書のテンプレートを紹介しています。

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2.現状の取引を整理する

免税事業者との取引では、原則として仕入税額控除が適用できなくなり、登録事業者との取引と経理処理を分ける必要が生じます。登録事業者とそうでない事業者をきちんと把握できるようにしましょう。中には、適格請求書の保存が不要な取引や適格簡易請求書で代用できる取引もあるため、取引全般を一度整理することも必要です。

3.適格請求書の保存体制を整備する

上で説明した通り、受領した適格請求書及び発行した適格請求書の控えは7年間(事業年度の確定申告の提出期限の翌日から7年間)保存する必要があります。適格請求書を確実に保存できる体制を整えましょう。なお、適格請求書及び適格請求書控えは電子保存も認められています。

適格請求書の保存でネックとなるのが電子適格請求書(電子インボイス)の存在です。2024年1月からは電子帳簿保存法の電子保存義務化が始まるため、受領した電子インボイスは電子保存が必要になります※。したがって、電子インボイスの保存にも対応できるよう電子保存の体制も整備しましょう。

電子帳簿保存法の改正については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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※適格請求書等保存方式においては、電磁的に受領した適格請求書を紙に出力して保存しても仕入税額控除を適用できるとされています。しかし、電子帳簿保存法の電子保存義務化によって、この方法は法人税法及び所得税法では認めらなくなるため、受領した電子インボイスはそのまま電子上で保存する必要があります。

※令和5年度税制改正大綱により、やむを得ない事情がある場合は、2024年1月以降も電子データを書面に出力して保存することが認められます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。
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4.免税事業者との取引を見直す

適格請求書等保存方式の開始後は、免税事業者との取引における税負担が増加します。税負担の増加を加味して、免税事業者との取引条件を見直したり、場合によっては取引の停止も視野に入れましょう。なお、取引交渉の際には下請法独占禁止法に違反しないように注意が必要です。

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5.経理業務を効率化するシステムを導入する

適格請求書等保存方式が開始すると、経理の事務処理が大きく煩雑化することが予想されます。仕入取引先の登録番号を都度照合する作業や、受領書類が適格請求書の要件を満たしているかどうかの突合作業、登録事業者とそうでない事業者とで税額計算や記帳方法を分けるなど、今以上に作業工数がかさみます。

適格請求書等保存方式へ自力で対応することもできますが、業務効率の悪化は避けられないでしょう。そのため、「TOKIUMインボイス」をはじめとした請求書受領システムの導入を検討し、インボイス制度に備えることをお勧めします。。政府も適格請求書等保存方式への対応のためのIT導入補助金を設け、システム導入を推奨しています。

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免税事業者が準備すべきこと

課税転換をし登録事業者になることを検討する

繰り返し述べた通り、適格請求書等保存方式は免税事業者に不利な制度です。課税売上高が1,000万円以下でも、申請手続きを行えば課税事業者になることができます。課税事業者への売上が多い場合には、この機会に課税転換を検討すべきでしょう。

なお、簡易課税制度を利用すれば、課税事業者になっても節税や納税の手間削減に繋がる可能性があります。簡易課税制度の仕組みや条件についてはこちらをご確認ください。

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まとめ

本記事では、適格請求書の基本知識から、適格請求書等保存方式開始に向けた準備までを網羅的に説明してきました。適格請求書等保存方式は、経理業務や免税事業者の取引に大きな影響があります。制度開始まで一年を切っているため、対応がまだの事業者は準備を急ぎましょう。

特に適格請求書の受領側の業務は、業務が煩雑化するだけでなく改正電子帳簿保存法への対応も必要となります。単に法制度に対応するだけでは業務効率の悪化は避けられないため、システム導入も視野に入れて対応方法を検討しましょう

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出典:公式サイト

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